研究することの喜びを本コースの履修内容
基礎配属の実験コースの期間に基礎研究の基本的実験手技等を学んだ後、本コースを履修すると、更に高度な実験手技、科学的思考法、科学英語等を各分野のスタッフやティーチング・アシスタントから直接学ぶことができます。
研究成果を発表し、他の研究者との交流を通して研究することの喜びを体験できることを目指しています。
膜動態学
膜動態学とは、ホルモンや神経伝達物質、サイトカインなどの種々の生理活性物質の細胞外への分泌(エキソサイトーシス)や細胞内への取り込み(エンドサイトーシス)という細胞内小胞輸送を扱う学問です。教育面では、細胞生物学と生化学の学部授業を一部担当しております。
細胞生理学
基礎医学研究は、我々ヒトという謎の多い未知なる小宇宙がその対象であり、そこにはエキサイティングな発見・発明に繋がる数多くの基本原理が眠っていると思います。また、基礎医学研究で得られる発見・発明は、我々ヒトを苦しめる病気の解明・治療へと応用されることが期待されます。私たちの研究室では、生物の形態形成を制御する細胞内シグナル伝達機構と、その異常によって引き起こされる奇形やがん・炎症等の病態の解明を目指して、分子・細胞・個体レベルでの研究を行っています。未だ答えのない未知なる難問にチャレンジする高い志と精神力を育んでもらいたいと思います。
生理学
ヒトゲノム計画は医学に莫大な恩恵をもたらしました。病気も分子レベルで理解されるようになり、医療にとっても今なお最大の課題である癌では分子標的治療なるものも日常化しています。また糖尿病をはじめとする生活習慣病の理解も深まってきました。このような時代においても、脳はもっとも理解の遅れている臓器であり、脳科学・神経科学領域には沢山の未開拓分野が今なお残されています。もともとは脳(こころ)を分子で理解したいという発想で、脳機能の変異という理解のもと、精神疾患・発達障害に興味を持って研究を進めています。分子から細胞(シナプス)、回路、個体に至るまで多階層レベルでの研究を展開しています。例えば、ヒトのゲノム解析で見出した情報をもとに、ゲノム編集等の最先端技術を用いて細胞・動物(マウスなど)の疾患モデルを作製し、その解析を通して病態の理解を目指すというものです。神経回路や個体レベルでの解析では、回路遺伝学やバーチャルリアリティー・機械学習といった昨今の流行りの手技も取りいれています(図)。ヒトES細胞モデルでは、オルガノイド培養でヒト疾患モデル脳が作れる時代です。臨床からスタートして臨床に戻っていくことを理想とします。また、これからの課題としては、臨床を含むビッグデータにデータサイエンスを駆使してどのように脳(こころ)、そしてヒト(の病気)を理解するのか。一緒に考えましょう。
神経生理学
人は喜び、怒り、悲しみ、そして楽しみ、その人だけのドラマ、人生を演じています。人の心が宿るのは脳です。その脳が侵されると、心の病になります。当分野は、脳の神経細胞が発生する電気信号を記録して調べること(電気生理学)で、「脳の働きとその仕組み」を解き明かすことを目指しています。そして、人の人生を豊かにし、心の病の予防、診断、治療に貢献しようと努力しています。皆さんが神経生理学を理解し、この大きな目標に共にチャレンジできるよう、大いにサポートします。
生体構造解剖学
『モノの「かたち」を詳細に観察して、その「はたらき」を知る』、この形態学的手法は、歴史的には肉眼で見える形態の観察(マクロ形態学Morphology・解剖学Anatomy)から始まりましたが、時代とともに大きく進歩し、現在ではナノメートルレベルの分子の「かたち」やさらに小さい原子までも観察することが可能になりました(分子形態学Molecular Morphology)。私たちは、X線やクライオ電子顕微鏡を使用して様々な分子の「かたち」を観察してその「はたらき」に迫ります。発生のメカニズムを解明したり、難病(神経系、循環器系、血液系など)の発症機構を明らかにすることで治療法の開発にも繋げたいと考えています。ぜひ私たちと一緒に、世界で初めて観る生物の、人間のナノの世界を楽しみましょう。
神経分化・再生
私たちは、神経系発生の分子機構解明を目指して研究を行っています。神経系発生を制御する細胞・分子の振る舞いを明らかにするために、遺伝子改変マウスの作製・組織解析に、細胞生物学、生化学、分子生物学的手法、さらに生体イメージング解析法を機能的に組み合わせて研究を進めています。また、神経系に異常を呈する小児疾患群に同定された遺伝子異変をマウスに導入し、その神経系発生を追跡することで、変異遺伝子産物が正常発生をどのように侵入して病態を導入するのか解析しています。以上の研究により、神経の発生と病理の分子機構の理解を深め、神経系疾患の新たな治療法開発の糸口を見つけることを目指しています。
血管生物学
血管とリンパ管は、私たちの体のいたるところに分布して、体液を効率良く循環させるライフラインです。酸素や栄養素を供給し老廃物などを取り除いて、生命を維持するために大変重要な役割を果たしています。私たちは、哺乳類の血管とリンパ管のでき方とそれらの異常で胎児に浮腫(むくみ)が生じることの原因や病態について研究し、将来の医療へ貢献できる研究と人材の育成を目指しています。
疾患モデル動物病態生理学
動脈硬化が原因する心血管疾患は、世界の死因の一位、国内の死因の二位です。私たちの研究室では、動物実験施設と協力して、神戸大学で開発したヒトの心血管疾患のモデル動物(WHHLMIウサギ、ノーベル賞受賞研究に貢献)を用いて、病態の解明、発症に関わる血清マーカーの開発、治療薬の開発などの研究を行っています。また、国内外の研究者の要望に応じてWHHLMIウサギを提供しています。動物実験の基本の一つは、実験結果をヒトに応用できるかどうかです。リポ蛋白代謝のみならず、動脈硬化、心筋梗塞の病態がヒトに極めてよく類似しているWHHLMIウサギを研究に用いることによって、心血管疾患の克服を目指しています。
発生・再生医学
生化学
われわれの体では、ホルモン、細胞増殖因子、神経伝達物質などの各種情報伝達分子が細胞膜の脂質代謝を引き起こし、その結果、多岐にわたる生命現象が調節されています。当教室では、これらの情報伝達に関与する酵素や活性調節因子などを生化学的、或いは分子細胞生物学的手法を用いて解析し、その生理的意義や病態との関係を解明することを目標としています。
分子生物学
現在日本人の死因の第一位を占める病気はがんです。がんは、細三の増殖や分化を調節する細胞内シグナル伝達系の異常で発生します。私たちの研究室では、「がんはなぜ、どのようにしてできるのか?」の疑間を解き明かすため、がんの発生する仕組みについて遺伝子および蛋白質のレベルで解析しています。また、がんの発生に密接に関与する蛋白質に着目し、この蛋白質を標的とした新しいタイプの抗がん剤の開発も行っています。 学生教育では、呼吸、循環、消化器、体液・腎臓などの生理機能について講義 実習し、臨床医学に進むための基礎の確立を目指しています。
分子細胞生物学
私たちの体を構成する脳神経系や心臓血管系などが正常に働くためには、細胞が正しく配列し、細胞同士で的確な情報交換が行われることが必要です。一方、この過程の破たんは、各種の疾患につながりますこ分子細胞生物学分野では、細胞同士を結び付ける接着装置を介した細胞間および細胞内の情報伝達機構の解明と、その破綻の結果起ここ霧神経系や感覚器などの異常、およびがんの病態の解明を研究目標としています。これらの研究を通じ、生化学・分子生物学の知識や技荷を用いて世界の第一線で活躍できる研究者と医師の育成を目指しています。
膜生物学
細胞膜を介したシグナル伝達機構は、生体の恒常性を維持するために最も重要なメカニズムの一つであり、その異常は免疫不全、がた、神経変性疾患など数多くの重篤な疾病につながります。中でも、がん細胞を特徴づける「無秩序な増殖」と「浸潤・転移」は、いずれも細胞膜を介したシグナル伝達の異常と、大規模な膜の動態変化によってもたらされます。本研究室では、細胞膜を構成するリン脂質の代謝と相互作用ネットワークに着目し、がん細胞における運動生向上のメカニズムと、メンブレントラフイック異常による細胞増電機構に関する研究を行なっています。特に、これまで意義が不明であった「生体膜の曲率」という新たなパラメーターに着目し、リン脂質シグナルの異常が引き起こす重篤な疾患の発生機序に迫ろうとしています。
超微構造生物学
シグナル統合学
蛋白質のチロシンリン酸化を介した細胞内シグナル伝達系は、細胞の増殖・接着・運動・代謝などの生命現象の基本となる細胞機能や、神経系・免疫系を始めとする高次生体機能の制御に重要な役割を果たしています。シグナル統合学では、この蛋白質チロシンリン酸化を介したシグナル伝達系を中心に、新規シグナル伝達系の同定とその機能解析に取り組んでいます。現在は、細胞間シグナル伝達システムCD47-SIRPα系、あるいは受容体型チロシンホスファターゼファミリーに着目し、細胞、組織、動物個体を用いてこれらシグナルシステムの生理機能の解明を進めています。最終的に、がんや神経疾患、代謝・内分泌疾患、動脈硬化、免疫異常をはじめとする様々な疾患の診断や治療につながるような研究を目指しています。
薬理学
薬物は生体内の特定の分子に作用して、治療効果や副作用を引き起こします。薬理学は、既存の薬物の作用を担う分子機序を明らかにして、その知見を新たな薬物の開発に役立てようとする学問です。近年では、治療の難しい疾患に関わる分子機序を同定し、それを標的として新たな薬物を開発する試みも行われています。当研究室では、うつ病や統合失調症など精神疾患創薬を目指し、認知や情動といった高次脳機能とその破綻、向精神薬の作用を担う分子・神経回路基盤を研究しています。効率よい精神疾患創薬を行うための細胞アッセイ系も開発しています。大学院教育では、基礎と臨床を橋渡しする薬理学研究者の育成を、学部教育では、病態や薬物の作用を分子レベルで理解し論理的に考える医師の育成を目指しています。
病理学
病理学はStudy(logos;ロゴス)of suffering(pathos;パトス)という2つの言葉からなり、病気によりもたらされる臓器・組織の形態学的変化(かたちの異常)を克明に記載し、その原因を明らかにする事により、近代医学の発展に深く貢献してきました。ゲノム計画の進展から分子レベルでの「ヒトの設計図」が手に入りつつある現在、病理学分野では、かたちの異常をもたらす分子さらには遺伝子の異常についての情報を蓄積し、これまでの病理形態学的知見と統合することで癌の発生・進展・転移、骨代謝および形態形成の研究を中心に病気のより深い理解を目指しています。教育面では講義・実習、Bed side learningなど病理学全般の教育を担当し、病理解剖や病理診断を通して臨床医学とも深く関わっています。
病理診断学
診察や検査、治療の過程で患者さんから採取された様々な組織に対して、顕微鏡を用いて最終診断を下すことが私たち病理医の役割です。病理医は先天異常、代謝異常、循環障害、炎症、腫瘍といった全ての疾病の成り立ちに精通し、病気が発するメッセージを1枚のプレパラートから読み解かなければなりません。私たちは臨床各科のスタッフとも緊密に連携し、患者さんがより適切な治療を受けられるよう日々努力すると共に、病理診断を補助する新たな手法を積極的に導入して、多彩な臨床病理学的研究を展開しています。
病理病態学
診察や検査、治療の過程で患者さんから採取された様々な組織に対して、顕微鏡を用いて最終診断を下すことが私たち病理医の役割です。病理医は先天異常、代謝異常、循環障害、炎症、腫瘍といった全ての疾病の成り立ちに精通し、病気が発するメッセージを1枚のプレパラートから読み解かなければなりません。私たちは臨床各科のスタッフとも緊密に連携し、患者さんがより適切な治療を受けられるよう日々努力すると共に、病理診断を補助する新たな手法を積極的に導入して、多彩な臨床病理学的研究を展開しています。
がん病理学
微生物学
微生物学分野では、主としてC型肝炎ウイルスおよびB型肝炎ウイルス感染症の研究を行っています。ウイルス増殖機構および病原性発現機構を分子・細胞・個体レベルで明らかにし、新規治療法・予防法の分子基盤を確立することを目標に研究を進めています。 肝炎ウイルスがヒトに感染し、宿主細胞の代謝・免疫状態を変化させ、宿主因子を巧みに利用して子孫ウイルスを産生し、慢性感染ののち、どのようにして肝癌を発生させるのかを明らかにしたいと思っています。国内だけでなく国外の研究者とも共同研究を進めており、グローバルな研究展開を目指しています。学生教育ではウイルス・細菌・真菌・原虫・寄生虫などの感染症全般を担当しています。
臨床ウイルス学
私たちの研究室では、ヘルペスウイルス感染症に関する研究を行っています。ヘルペスウイルスは、宿主に初感染した後、潜伏感染し、宿主と終生を共にするというユニークな性質をもっています。疲労、ストレスや免疫抑制状態などでウイルスは再活性化し、宿主に病気を引き起こします。ウイルスは宿主の代謝系を利用しないと増殖することができません。そこで、私たちはウイルスがどうのようにして宿主に侵入し、宿主の機構を借りて増殖し、子孫ウイルスを形成するかに関して詳細に研究しています。これらの研究は、ウイルスの病原性発現機構の解明やウイルス感染症の予防法および治療法の開発に繋がるからです。また、ウイルス学研究を通じて新たな生命現象の謎を解くことができればと思っています。
感染制御学
世界の4人に1人は感染症が原因で死亡しています。特に発展途上国では、肺炎や下痢症が依然として子供の死亡原因の上位を占めます。途上国ではさらに、エイズ・結核・マラリアなどの感染症の流行が、社会・経済発展の重大な支障になっています。感染症対策は途上国の課題であるとともに、日本など先進国にも共通した課題です。感染症対策の基本は「予防する」、「診断・治療する」の2つの対策があり、教室では予防・診断・治療する新しい方法(ツール)の開発を、分子生物学的な技術を用いて行っています。
感染治療学
かぜも肺炎もエイズも新型インフルエンザも感染症です。ニキビも胃潰瘍も胃ガンも子宮頚癌も広い意味では感染症と言えるかも知れません。本当に感染症ってたくさんあります。内科学教科書の王様、ハリソンの内科学で一番ページを割いているのも、感染症領域です。 感染症の適切な治療は簡単なようで難しいものです。適切な治療の前提には適切な診断があります。感染症の正しい診断もまた、簡単なようでなかなか得難いものです。この難題に一所懸命取り組み、よりよい感染症の診療のあり方を模索しています。目指すは患者さんや社会がより喜んでいただけるような診療のあり方です。
感染症フィールド学
感染・免疫学
循環器内科学
臨床に携わっていると、患者さんの治療に際し、自らの無力さを実感することがよくあります。まさに、その時代の医学の限界です。その際に、心の底から「新たな治療法が欲しい」と思います。これを解決するのが、基礎研究です。我々は、循環器疾患・生活習慣病において、現在の医学で解決できず患者さんが困っておられることを研究テーマとして取り上げ、基礎・臨床研究の両方から、新たな解決法を見つけ出す取り組みを継続して行っています。
まずは、循環器疾患の診断・治療における未解決問題を一緒に学び、それに対する画期的な解決方法を基礎研究・実験を通じて探索しましょう。あなたの努力が、未来の患者さんを救う可能性があります。Let's join us !!
消化器内科学
消化器内科学は、膵臓や肝臓、食道・胃・小腸・大腸など担当臓器が多く、研究内容も多岐に渡ります。予後の悪い膵癌や、近年患者数が増加した大腸癌、原因不明である自己免疫性膵炎、非アルコール性脂肪肝炎、過敏性腸症候群や炎症性腸疾患など、予後改善と病態解明を目指し臨床検体と動物モデルを組み合わせ研究しています。
研究紹介
- ・消化器疾患におけるバイオマーカー探索
- ・ステージI・II膵癌アポリポ蛋白A2アイソフォーム異常検出の検診応用実証研究
- ・膵癌切除検体を用いた遺伝子変異と予後の解析と膵癌マウスモデル(KCマウス等)を用いた膵癌の発生、進展の病態解析の研究
- ・非アルコール性肝炎、過敏性腸症候群、自己免疫性膵炎における、腸内細菌や腸内粘膜関連細菌と病態との関連の究明
- ・腸管腫瘍モデル(ApcMin/+マウス)を使用した食品成分と腫瘍発生機序の関連の究明と大腸癌予防法開発
- ・炎症性腸疾患モデル(IL-10欠損マウス等)を使用した食品成分と疾病修飾の研究
大学院生や海外からの研究留学生も多く、日々熱心に課題に取り組んでいます。国立がん研究センター、東京大学、京都大学や、世界をリードする海外研究室との交流も盛んで、ハーバード大学、イェール大学、コロンビア大学、ケンブリッジ大学等、研究留学経験者も数多く在室し指導をしています。医学部生や大学院生などの若手人材に対し、将来国内外で活躍できるクリニシャン・サイエンティスト養成を意識した指導を行っています。
呼吸器内科学
私たちの研究室では「咳」の克服をテーマに掲げ、気管支喘息を中心に様々な研究に取り組んでいます。呼吸器は、炎症、免疫、感染、がんと疾患が多彩で、様々な分野の研究を学ぶことが出来るのが大きな魅力です。呼吸器診療は、喘息に対する生物学的製剤、肺がんに対する分子標的治療薬、免疫療法などの登場により、大きく変わろうとしています。このような時代背景を受け、気道上皮細胞と免疫細胞の分子生物学的相互作用の解析を進め、分子標的治療薬の開発を目指しています。また、日本人のがんによる死亡の第一の原因である肺がんも重要な研究対象となっており、がん遺伝子Rasのエフェクタータンパク質の分子生物学的研究をはじめとして、抗がん剤の薬効薬理研究、肺がんのトランスレーショナル研究にも取り組んでいます。
糖尿病・内分泌内科学
私たちの体ではホルモンなどの生理活性物質が細胞の働きを調節することにより臓器、ひいては全身の生理的な恒常性を保っています。生活習慣の変化に代表される外的要因や遺伝子の異常などの内的要因でそのバランスが崩れると、様々な病気が引き起こされます。私達の教室では患者さんを診療する中で生まれた様々な謎や疑問を解明するために、最新の技術を用いた研究を行っています。
例えば、患者さんの遺伝子の情報や体内の様々な物質の変化を網羅的に調べ、得られた情報をもとにノックアウトマウスなどの遺伝子改変動物モデルを作成して病気の成り立ちを明らかとします。また、患者さんの細胞からiPS細胞を作ることにより、動物モデルでは調べることのできない病気の謎もわかってきます。このような研究を通じて、様々な病気の原因の解明や治療法の開発に繋がるような、いくつもの成果を挙げています。みなさんも私たちと一緒に病気の謎を解いてみませんか?
脳神経内科学
超高齢社会を迎え、高次脳機能の生理的なメカニズムの解明や神経変性疾患の病態研究は喫緊の課題です。我々は臨床現場で生じた疑問やアイデアをもとに特に高次脳機能のメカニズム・可塑性の解明や難治性神経疾患の病態解明に重点をおいて研究を進めています。
前者では、神経画像や脳表からの直接の脳波計測に最新のシステム神経科学的解析手法を取り入れ、高次脳機能のシステム的理解と病態下のネットワークレベルの可塑性の解明を統合的に目指しています。後者では免疫恒常性の維持が健康的な老化に必要であるという仮説に基づいて、神経炎症や神経変性過程における全身性の免疫応答の特徴を解析し、治療介入可能な表面受容体やサイトカインシグナルを同定し、その制御機構を明らかにすることを目的としています。
小児科学
小児科は新生児から思春期まで幅広くカバーする分野で、その研究テーマは多彩です。私たちは、主に新生児、血液腫瘍、神経・代謝・筋、腎臓分野などをテーマとし、臨床研究、基礎研究を行っております。臨床研究におきましては医師主導治験を多数行うなど、新たな治療におけるエビデンス作りに貢献しております。一方、基礎研究におきましてはあらゆる分子生物学的手法を駆使し、その発症メカニズムの解明、重症化の機序の解明や新規治療法の開発に関する研究を行っております。特に、遺伝子解析や操作技術を駆使し、様々な遺伝性疾患に焦点を当て、神戸大学発の治療法の開発も進めております。
災害救急医学分野
敗血症は、感染に対する制御不能な宿主反応に起因した生命を脅かす多臓器障害です。ガイドラインの制定や医療技術の進歩に伴って救命率は大きく改善されていますが、現在においても致死率の高い、非常に深刻な疾患です。とりわけ、65歳以上の高齢者では生存率が極めて低くなります。我々は、その原因が、加齢に伴う獲得免疫の疲弊にあると考え、研究に取り組んでいます。また、敗血症患者の長期予後に着目したテーマにも取り組んでおり、記憶や認知、運動機能障害の改善を目的とした研究も行っています。
受講生の声プログラム履修中の受講生のインタビュー
- 神戸大学医学部医学科では、基礎研究にふれリサーチマインドを涵養するカリキュラムを早くから整備しており、優れた基礎医学研究医を多数輩出してきました。
本プログラムは、学生生活における基礎医学研究を継続的に支援し、基礎医学研究医としてのキャリアパスをサポートするプログラムです。
これまでにも、多数の学生さんが本プログラムを選択し、熱心に基礎研究に参加していることを心から喜んでいます。
みなさんが、学内外の学生さんと互いに情報を共有しながら切磋琢磨し、将来の医学発展を担う研究者としてはばたかれんことを期待しています。
- 医学・医療には、必ず解決しなければならない未知の問題が起こってきます。未知の問題に向き合った時、既存の知識や技術では解決出来ません。その時に解決の方法を導き出せるよう、科学的な考え方を身につけることが必要です。本プログラムは、学部入学段階から卒後・大学院までの一貫した医学研究教育により、科学的な考え方を身につけた医師、医学研究者を育成することを目的としています。本プログラムで学んだ学生が、将来それぞれの領域で世界をリードする医師、医学研究者として活躍することを期待しています。
- 神戸大学医学部医学科は、これまで第一線で活躍する基礎医学研究者を数多く排出してきました。医学部では形態(解剖学・組織学・病理学)、機能(生理学・生化学・分子生物学・薬理学)、免疫(微生物学、ウイルス学)、社会医学(法医学、公衆衛生学)、そして臨床医学と、様々な角度から生命体、その中でも特に人間の体について学びます。この全人的、多角的な視点の育成こそが医学研究者のアイデンティティであり、医学研究者が活躍できる原動力となっています。しかし、卒後臨床研修の義務化・新専門医制度の導入・臨床実習期間の長期化など様々な要因によって全国的な基礎医学研究者の減少が顕在化しており、日本の医学研究は非常に厳しい局面に立たされています。そのような状況の中、基礎医学研究者養成の必要性の機運が高まり、各大学で独自の研究医養成プロジェクトを…続きをよむ