神戸大学 医学部付属病院

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病理学 4年生 周 詩佳 診断や治療に応用できるマクロな視点に惹かれた

※専攻・学年は取材時のものです。

Q.いつ頃から医学研究コースを履修しようと考え始めたのですか?またそのきっかけは何ですか?
生命科学を勉強するうえでPCRや遺伝子操作、ウェスタンブロットなど多くの実験手技の理論とその応用方法を学びます。それらを実際に自分で駆使して新しい科学発見をしてみたいと思ったのが研究に興味を持ったきっかけです。2年生の基礎配属実習を通して興味が確信へと変わったので、そのまま継続する形で、3年生から医学研究コースを履修することになりました。
Q.この分野を選んだ理由は?
元々「病気がなぜおこるのか」「病気がどのように身体へ影響するか」を知ることが好きで、それを専門的とする病理学分野を初めから検討していました。また当研究室では癌細胞とその周辺細胞の相互関係について研究しており、分子生物学や細胞生物学などのミクロな視点と、診断や治療に応用できるマクロな視点の両方を持つことに惹かれこの分野を選びました。細胞培養、ウェスタンブロット、組織染色などハンズオンないろんな実験に触れることも病理学分野の魅力の一つです。
Q.このプログラムの魅力は何ですか?
低学年の内から研究に長期間、高いレベルで取り組めることだと思います。神戸大学医学部では多くの講義と実習が16時前に終了し、長期休暇も十分に設けているので、学部生の研究時間がしっかりと確保されています。研究室では教育熱心で研究に意欲的な先生方がマンツーマンで指導くださるので、研究に対しての理解が深まり、大変勉強になります。神戸大学特有の自由な校風がこのプログラムにも反映され、やりたい学生はとことんやれるよう、研究環境がとても整備されていると実感しています。
また、プログラムを通して学部内外の学生との研究発表会や交流会に参加できるので、医学研究を志す同士が見つかりますし、何よりも研究活動に対してお互い刺激を受け合うことができます。
Q.現在の取り組み、今後の取り組みを教えて下さい。
病理学分野では消化器癌を主な対象に、癌細胞とその周辺細胞がいかに癌の「かたちの変化」を形成しているかを研究しています。私自身は、昨年度(2020年)日本病理学会総会で食道扁平上皮癌の腫瘍関連マクロファージから分泌されているサイトカインについてポスター発表をしました。現在は同癌のmicroRNA及び関連遺伝子の発現変化について解析しています。日々自分が行える実験の幅が増えることにワクワクしていますが、今後は実験を遂行するではなく、仮説設定やプロトコール作成など自分自身で研究の舵を切れるよう取り組みたいと思います。
Q.このプログラムに参加し、得たことがあなたの将来にどのように活かされると思いますか?
医学は全て先人の研究成果の積み重ねです。医学部を卒業してからいろんなキャリアパスがありますが、臨床医、研究医へと進むのに関わらず、医学を扱う者として研究を避けて通ることはできません。私自身まだどの道へ進むか定かではありませんが、いずれにせよ学部生時代に本格的な研究を経験することで、医学知識の裏側、そして研究や医学論文をより深いレベルでの理解することが可能になるでしょう。
さらに、研究を実際にしてみると実験だけではなく、実験計画、データ分析、結果の考察、資料作成、プレゼンテーション、論文検索と読解、ディスカッションなどなど、たくさんのスキルが必要です。このような科学的な考え方と伝え方を身につけることはどのキャリアを選択しても活かされると思います。
Q.これから履修を考えている学生へ一言
学部は成果に捉われることなく、のびのびと研究活動を行える大変貴重な期間です。実際に、理学博士の友人や大学教員である父から、研究結果に対してのプレッシャーのことをよく耳にします。言い換えれば、ある程度時間がある学部生だからこそ、研究の本質を楽しみながら取り組めると思います。研究を始めると部活やアルバイト、遊ぶ時間がなくなるのではないかと心配するかもしれませんが、時間は自分で決められますし、研究をしながらでも他の活動を行う時間は十分にあります。是非、少しでも興味ある方は研究の世界に飛び込んでみてください。そこでしか見れない景色があるはずです。プログラムを通して医学会の若き研究者たちにお会いできることを楽しみにしています!