神戸大学 医学部付属病院

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放射線診断学 令和4年度6年生 吉井 隆浩「主体的だからこそ、楽しい」

※専攻・学年は取材時のものです。

写真:吉井 隆浩

Q.いつ頃から医学研究コースを履修しようと考え始めたのですか?
またそのきっかけは何ですか?
3年生の2月頃です。放射線診断科の臨床講義で、AI(人工知能)をテーマにした講義を聴講したのがきっかけです。
Q.この分野を選んだ理由は?
私は本学には編入学しており、以前の大学ではマウスを使い(いわゆるウェットな)基礎医学の研究をしていました。当時、情報学を専攻している学生と話していると、”ディープラーニング”等の言葉がよく聞かれました。また先生からも「できると便利だよ」と説かれた記憶があります。当時はまだAIが世間一般には浸透しておらず、関心はありましたが、元々パソコンを触ったりするのが苦手な方だったので、深くは勉強しませんでした。
前の大学卒業後、社会人となり、AIは頭の隅によけられていたのですが、先述の講義がきっかけで思い出し、時間がある学生のうちに苦手を克服しようと思い、本分野を選びました。

写真:吉井 隆浩

Q.このプログラムの魅力は何ですか?
自由度が高く、自分の考えやペースでできる部分が多い点です。
私の場合は、目標の設定から自分で行い、「卒業までに学会発表」を目標にしたいと先生に相談しました。すると、6年生は国家試験の勉強等で忙しくなるというアドバイスをいただき、5年生の3月までに学会発表をするという具体的な目標を立てました。そこから、参加できる学会とその日程を調べ、日にちを逆算して、予定を立てていきました。
医学部の通常のカリキュラムでは、目標はすでに定められています(何年生の何月のテストで何点以上取る必要がある等)。もちろん、これをクリアすることは医師になるために必須で非常に大切です。しかし、他人から与えられた目標より、自分で定めた目標の方が、クリアした時の達成感が大きく、自信にもなり、将来に繋がると思います。
Q.現在の取り組み、今後の取り組みを教えて下さい。
AIを用いた研究をしています。慢性血栓塞栓性肺高血圧症の患者さんの胸部単純撮影検査や心エコー検査、採血のデータから、肺動脈の血圧(肺動脈平均圧)を予測するモデルを作成しています。肺動脈平均圧は、本疾患において重症度や予後予測のための指標で、右心カテーテル検査で測定されます。しかし、この検査では感染のリスク等があり、侵襲度が高い検査です。本モデルが上手く機能し、右心カテーテルを用いずに肺動脈平均圧を予測できるようになれば、患者さんへのリスクが低減されると考えます。
これを書いている現在(5年生の12月)は、目標としていた学会発表が終わったばかりで、一息ついているところです笑

写真:吉井 隆浩

Q.このプログラムに参加し、得たことがあなたの将来にどのように活かされると思いますか?
まず、目標達成で得た自信です。これは、今後新しい事にチャレンジする際、最初の一歩を踏み出すことへの後押しになると思います。また、その過程での失敗や試行錯誤の経験は、反面教師のような形で次回に活きると考えます。
次に、仕事を進める上での技術面です。例えば、論理的思考力や情報収集、進捗管理、先生とディスカッションする力や発表の技術などです。これらは日々の研究活動の中で使用するので、自然と鍛えられます。研究に限らず、臨床においても、もっというと医師以外の職業においても大切な力であり、将来に活きると思います。
Q.これから履修を考えている学生へ一言
ここまで読んでいただき、履修しようかなと心が揺らぎましたでしょうか?笑。中には、「興味はあるけど、部活やバイトで時間が無いし」と思われた方もいるかもしれません。
確かに、部活やバイトで時間が無い方は多いと思います。私も運動部に入っていて最後まで続けたかったですし、バイトも金銭的に辞めるわけにはいきませんでした。これも先生に相談すれば、ある程度解決できるかもしれません。私の場合は、最初に、上記理由を先生に伝え、「優先順位として、1番目は大学の勉強、2番目は部活、3番目はバイト、そして研究は4番目になってしまいますが、構いませんか」と相談しました。もちろん、研究室により進め方はまちまちですので、このような意見が通るか一概には言えませんが。各々ができる範囲の中で、しかしやっている時は没頭し、最大限のパフォーマンスが出せれば良いのではないでしょうか。
ここまで書いてきたように、本プログラムは学生が主体的にできる部分が多く、このような環境で研究できるのはすごく贅沢だと思っています。主体的だからこそ楽しい部分もあり、実際にやって良かったと本当に思っているので、オススメしています。
さあ、やる気になってきましたか!そう感じていただけたのであれば、幸いです。