薬理学 令和元年度卒業生 横山 諒一「最先端の研究に触れ、新たな視点を得た」
※専攻・学年は取材時のものです。
- Q.いつ頃から医学研究コースを履修しようと考え始めたのですか?
またそのきっかけは何ですか? - 2年生の基礎配属実習が終わった頃です。きっかけは、基礎配属実習の際、分子レベルの研究の奥深さを知り、蛍光顕微鏡画像の美しさに触れ、さらに研究をしたいと考えたからです。
- Q.この分野を選んだ理由は?
- 私は編入学で神戸大学医学部に入学したのですが、編入学前はfunctional MRIを使った、人の神経科学の研究に取り組んでいました。MRI画像解析の研究において、MRIの画像では解像度に限界がありました。
神戸大学の薬理学分野は、ストレスによる脳内の細胞生物学的変化とその意義の解明に関わる研究を行っています。ストレスによる情動変容や精神疾患について、脳局所での神経細胞やグリア細胞の機能形態変化に着目し、3次元電子顕微鏡等を用いた分子動態・形態解析を行っています。このような、組織切片や遺伝子レベルの解析は、今まで私が触れてこなかった領域でした。その研究に触れ、画像に現れない分子メカニズムや生命現象の本質・原理を探求してみたいと考え、この分野を選びました。
- Q.このプログラムの魅力は何ですか?
- (1)所属する研究室での研究活動が存分に行えます。授業後や休み時間、長期休暇の際に、先生方に貴重なアドバイスを頂きながら、未知の領域に挑戦できます。研究の手法やその分野の最新知識を獲得できます。
(2)基礎医学ゼミで他の研究分野の発表を聞くことができます。各分野間に所属する医学研究履修生との交流やディスカッションができ、新たな視点を得ることができます。
(3)基礎研究を行っている他大学の学生とのネットワークができます。全国リトリート(東京大学、京都大学、大阪大学、名古屋大学など)、関西研究医養成合宿(関西医大、大阪医大、奈良県立医大、兵庫医大)などを通じて、他大学の研究医養成コース履修者と交流することにより、日本の医学研究の将来を担う仲間と知り合うことのできる非常に貴重な機会に恵まれています。
(4)学会発表・旅費の経済的支援をして頂けます。学会参加や研究会などの参加に際し、旅費を援助していただけます。実際に研究に関わる学会や、サマースクールなどに参加させて頂きました。
- Q.現在の取り組み、今後の取り組みを教えて下さい。
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現在は、画像認識の最新技術を活用し、組織切片の画像解析に取り組んでいます。具体的には、Deep learningによる3次元顕微鏡画像中の細胞の立体構造解明に取り組んでいます。その成果は、以下の記事として出版されました。
- •「ディープラーニングを用いた手軽で高精度な画像認識」横山 諒一、味岡 雄大、実験医学 2019年8月号 Vol.37 No.13
- •「Grad-CAM:ディープ・ラーニング画像認識は画像上のどこから結論を出したのか~AI解析のブラックボックスを可視化する試みと基礎医学研究への展開」横山 諒一、神保 岳大、井元 裕也、小澤 孝彰、実験医学 2019年12月号 Vol.37 No.18
- Q.このプログラムに参加し、得たことがあなたの将来にどのように活かされると思いますか?
- 以前は画像の研究のみだったため、視野・研究知識が狭く限定されがちでした。しかし、実際の生体サンプルに触れる研究に取り組んだことで、研究の幅や視点を広げることができました。このことは、今後他分野の先生との共同研究や、学会で様々な先生方のお話を聞く際に活かされると思います。
- Q.これから履修を考えている学生へ一言
- 研究室には、その道のトップランナーがいらっしゃり、最先端の研究に触れることができます。時間的にある程度余裕がある学生のうちに、その時間を研究に費やすのはとても価値のあることだと思います。今後、臨床医、研究者どちらの道に進んでも、ここでの研究経験は必ず活かされると思うので、ぜひ積極的に挑戦してみてください。