神戸大学 医学部付属病院

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生体構造解剖学 6年生 山岸 陽助 研究は考える力を養う経験となる

※専攻・学年は取材時のものです。

写真:山岸 陽助

Q.いつ頃から医学研究コースを履修しようと考え始めたのですか?
またそのきっかけは何ですか?
私は以前、別の大学の文学部で学んでいました。そして社会人を経て医学部に入学した、いわゆる再入学生です。前の大学では考古学を専攻していて、徳川家康を祀る神社に並ぶ灯籠の研究をしていました。灯籠の数は200を超え、すべて全国の大名から寄進されたものです。「灯籠と本殿の距離が家康と寄進元の大名の距離感を表す」という仮説を立て、古文書を紐解きながら研究し、仮説を支持する結果を得ました。その経験から誰も知らない謎を解き明かす面白さを学びました。医学という別のフィールドでも、同じ喜びを味わいたいと、基礎配属後すぐにコースの履修を決めました。
Q.この分野を選んだ理由は?
もともと私は人間の脳に強い興味がありました。人間の意識や記憶、思考のプロセスがどのように成り立っているのか、知りたいと考えていました。医学部に入学したのも、脳について詳しく学びたかったというのが理由の一つです。そこで、現在の生体構造解剖学研究室の前身である神経発生学研究室で小脳の発生について研究していました。その後に仁田教授が着任され、電子顕微鏡を用いて微小管や関連するタンパク質の構造研究を始めました。当初の考えからは離れた分野でしたが、よりミクロな世界から人間を始めとした生物の謎を解き明かす研究にやりがいを感じています。

写真:山岸 陽助

Q.このプログラムの魅力は何ですか?
学生でも研究室の一員として扱っていただける点です。学生向けの実習課題ではなく、与えていただいた実際の研究テーマに取り組んでいます。生物実験の基本も知りませんでしたが、先生方が0から懇切丁寧に指導してくださっています。また、毎週のランチミーティングで、研究の進捗について報告し毎回フィードバックをいただいています。もちろん、普段から先生方が積極的に相談に乗ってくださるので、大変勉強になっています。
Q.現在の取り組み、今後の取り組みを教えて下さい。
現在はVASH1という微小管の翻訳後修飾に関わるタンパク質についての研究を進めています。昨年度にはこのテーマで日本解剖学会の学術集会でポスター発表をしました。現在もその研究を進めているほか、コンピューターを用いて電子顕微鏡で得られたタンパク質の2次元画像を3次元に再構成するアプリケーションの使い方を学んでいます。

写真:山岸 陽助

Q.このプログラムに参加し、得たことがあなたの将来にどのように活かされると思いますか?
私は、もともと研究に興味があり、医学部に再入学しました。しかし臨床にも興味がある上、年齢的にも他の学生より上なので、将来の進路に非常に悩んでいます。一方で、研究で学んだことが臨床実習で大変役にたっているのも事実です。例えば論文を探してプレゼン資料を用意するときにも、基礎研究での論文検索やポスター発表での資料作成の経験が活きています。将来的にいずれの道に進んだとしても、プログラムでの経験がダイレクトに活きると確信しております。
Q.これから履修を考えている学生へ一言
研究を通じて、ロジカルに物事を考えるのが得意になりました。最初の頃は、論文の内容を理解するのも困難でしたが、今では分野が違う研究でも理解できるようになってきたと感じています。このプログラムでは、学会参加だけでなく、学内や他大学との研究会など様々なイベントに参加できます。こうした経験を通じて、成長できること間違いなしです。研究志望の学生だけでなく、臨床志望の学生にも履修することを強くお勧めします。