研究概要
教室の研究領域の全体像と、共同研究のご相談について。
治療の成績を確かめ、
次の選択肢を探す。
日々の診療で積み重ねた症例と、全国規模で集められたデータの両方を手がかりに、頭頸部がんの治療成績を検証し、新しい治療標的を探しています。
外耳道がん、副咽頭間隙腫瘍、頸動脈小体腫瘍など、発生頻度の低い腫瘍を県内外からご紹介いただいてきました。症例数が少なく標準治療が定まりにくい疾患では、経験を記述し、病期分類や治療成績を検証すること自体が研究になります。外耳道がんについては、病期分類と治療成績に関する検討を続けています。
耳の腫瘍の手術は耳科手術を専門とするチームが担当し、頭蓋底に及ぶ病変では脳神経外科と協力して治療にあたります。診療の詳細は頭頸部腫瘍外来、耳・難聴外来のページをご覧ください。
手術で得られた組織を用いて、腫瘍の性質を分子のレベルで評価する研究に取り組んでいます。唾液腺がんは組織型が多彩で、術前の検査だけでは種類や悪性度を確定できないことがあります。病理組織における分子の発現を調べることで、診断の補助と治療標的の探索の両方につなげることを目指しています。嗅神経芽細胞腫や外耳道癌についても病理組織を用いた検討を行い、飲酒に関わる遺伝子多型と咽頭癌の予後の関係も検証してきました。
免疫チェックポイント阻害薬が頭頸部がんの治療に用いられるようになり、効果が得られる患者さんとそうでない患者さんの違いをどう見極めるかが課題になっています。当教室では2000年代から、遺伝子導入によって腫瘍に対する免疫を高める基礎研究を続けてきました。現在は免疫チェックポイント阻害薬との併用を含め、腫瘍と免疫細胞の関わりに着目して、治療効果を左右する仕組みの解明を目指しています。
甲状腺癌の手術では、声を担う反回神経とカルシウムを調節する副甲状腺の働きをどう守るかが課題であり、術後の機能を温存するための手術法と、その成績の検証に取り組んでいます。唾液腺癌では、頸部リンパ節転移の頻度と広がりを調べ、郭清範囲の考え方につなげています。
頭頸部がんは種類が多く、一つの施設で集まる症例数には限りがあります。当教室は、日本頭頸部癌学会の全国登録事業や、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)の頭頸部がんに関する臨床試験、頭頸部癌診療ガイドラインの作成に参加し、施設単位では見えにくい治療選択と予後の関係の検討や、まれな疾患・新しい治療法の評価に取り組んでいます。