神戸大学大学院医学研究科 外科系講座 耳鼻咽喉科頭頸部外科学分野 神戸大学大学院医学研究科
外科系講座 耳鼻咽喉科頭頸部外科学分野

めまい外来

1.めまい外来について

 めまい外来では、めまいに関する疾患を扱っています。
主にメニエール病、良性発作性頭位めまい症、前庭神経炎、めまいを伴う突発性難聴、遅発性内リンパ水腫、外リンパ瘻、両側前庭障害、持続性知覚性姿勢誘発めまい症などの疾患の他、不整脈、聴神経腫瘍、椎骨脳底動脈循環不全、脳卒中、起立性調節障害、前庭性片頭痛など耳性めまい以外が考えられる病態に対しても対応(他科依頼)が出来るようにしています。

2.担当医師

  •  横井 純

    耳鼻咽喉科専門医/補聴器相談医/めまい相談医/耳科学会認定医

  •  山下 俊彦

    耳鼻咽喉科専門医


3.受診と患者様のご紹介について

 めまいの病気で当院を受診希望される方は、かかりつけ医院から「診療情報提供書(紹介状)」と「地域予約」をお願いいたします。
 めまいに関連した患者様のご紹介は、火曜日のめまい外来宛に地域医療連携室を通じてご紹介頂けますと、スムーズに診療が可能です。また、めまい検査は完全予約制で月曜午後、木曜午後におこなっています。一人あたりの検査に1~1時間半近くかかりますので、まずは火曜のめまい外来にご紹介頂き、後日に検査日の調整を行いますのでよろしくお願いいたします。

午前 <めまい外来>
横井
山下
午後 <めまい検査>
横井
<めまい検査>
※隔週
横井

4.診療の特徴

 診療においては詳細な問診のほかに、検査として赤外線CCDカメラによる眼振検査、重心動揺検査、眼振電図(ENG)による温度刺激検査・視運動性眼振検査や指標追跡検査をはじめとした視刺激検査、前庭誘発筋電位検査(VEMP)、ビデオヘッドインパルス検査(vHIT)などを全て当外来医師が行っています。2020年にリオン社vHIT ICS Impluseを導入してから、三半規管の機能評価は温度刺激検査より患者様の負担の少ないvHIT検査を多く行う傾向にあります。現在、主に月曜日午後、隔週の木曜日午後にめまい検査外来としての専用枠を設定し、これまで原因の分からなかっためまい症に対して、上記前庭機能検査を行うことで前庭障害部位を可能な限り特定してより正確なめまいの診断に努めています。

また、2023年から当院でも内耳造影MRIの撮像を行っています。放射線部のご協力のもと、毎週月曜日に専用枠を設けており、内リンパ水腫の有無についてより正確な診断が可能となっています。さらに、2022年に保険収載された中耳洗浄液のコクリントモプロテイン(CTP)検査についても、2023年から検査部のご協力のもと、提出が可能となりました。いずれの検査も原因不明のめまいの診断に大きく役立っています。

治療に関しては、これまで同様に良性発作性頭位めまい症に対する浮遊耳石置換法や前庭リハビリテーションの指導を積極的に行い、日常の不安やストレスに感じていることを聞き出して信頼関係を築くとともに、先述した緒検査で分かったことを分かりやすく説明し、患者のめまいへの不安の解消に努めるようにしています。前庭障害以外の原因のめまい患者様も、総合病院である大学病院の強みを生かして、脳神経内科/外科、精神科、循環器内科、小児科などへのコンサルトもスムーズに行っています。また、2023年から第一医科株式会社と非侵襲中耳加圧装置EFET01の賃貸借契約を結び、難治性のメニエール病や遅発性内リンパ水腫に対する中耳加圧療法の導入も行っております。中耳加圧療法でも効果がない患者には、内リンパ嚢開放術も行っています。


5.手術・診療の実績

当院のめまい外来初診患者数はコロナ禍後から急増し、現在一年間で160人近く診察しています。2020年度からめまい初診枠を増やして対応にあたっています。

直近5年の初診患者数

6.研究

将来より良い医療を患者の皆さんに提供できるよう、当科では次のような研究に取り組んでいます。
既に当科で治療あるいは検査を受けられた方の中で、ご自身の既存情報(画像データ、検査データなど)が使われることを希望されない場合は治験・臨床研究にかかる患者相談窓口(078-382-6667)までご連絡ください。

臨床研究
  • 人工内耳植え込み術後の前庭機能についての研究

  • 頭頸部癌に対する放射線治療前後の前庭機能評価

基礎研究
  • アクアポリン受容体からみた内リンパ水腫メカニズムの解明研究