ABOUT US

教室の沿革

教室全体の歩み

神戸大学耳鼻咽喉科学教室は、1944(昭和19)年、兵庫県立医学専門学校の開校とともに開講されました。県立病院耳鼻咽喉科部長を務めていた中村良太郎を初代教授とし、耳鼻咽喉科の診療・教育の基盤が築かれました。

浅井良三教授のもとで頭頸部外科学が発展し、服部浩教授のもとでは耳科学・難聴診療が大きな柱となりました。天津睦郎教授が開発した喉頭摘出後の音声再建法「天津法」は、喉頭・頭頸部がんの治療と機能再建を結びつける教室の伝統を象徴しています。その伝統を受け継いだ丹生健一教授は、関連診療科・多職種による頭頸部がんのチーム医療を築くとともに、頭頸部がん専門医制度の創設や全国規模の症例登録の整備を主導し、日本の頭頸部外科の体制づくりに携わりました。

1996(平成8)年には、教室の形成班が形成外科として独立し、田原真也が同科初代教授に就任しました。

2001(平成13)年から2026(令和8)年3月までの25年間、丹生健一教授のもとで教室は大きく広がりました。掲げられたのは、教室員一人ひとりがいずれかの領域のエキスパートとなり、あらゆる耳鼻咽喉科・頭頸部外科疾患に対応できる教室をつくる、という方針でした。この「一人ひとりが主役になれる教室」という考え方は、現在の教室にも受け継がれています。

鼻科学では内視鏡下頭蓋底手術、喉頭科学では早期喉頭がんの低侵襲手術や音声改善手術、耳科学・神経耳科学では人工内耳を含む人工聴覚器手術や難聴の遺伝学的診断へと、診療の幅が広がりました。2014(平成26)年の低侵襲総合診療棟の完成と2017(平成29)年の神戸国際がん医療・研究センター(ICCRC)の開院により手術枠が増え、頭頸部がんの手術に加えて、耳・鼻・音声・嚥下・甲状腺の手術を定期手術として計画できるようになりました。2025年の手術件数は、本院とICCRCを併せて1,600件超となっています。

2026(令和8)年4月には、第六代主任教授として藤田岳が就任しました。歴代の診療・研究・教育の蓄積を引き継ぎ、耳科・難聴診療を含む各領域の専門性を深めながら、次世代の医師・研究者の育成に取り組んでいます。

歴代主任教授

中村 良太郎 教授

初代

中村 良太郎 教授

なかむら りょうたろう

1947年8月4日〜1958年7月26日
(昭和22年〜昭和33年)

1924(大正13)年 京都帝国大学卒

県立病院耳鼻咽喉科部長を務め、当教室の初代教授に就任しました。

浅井 良三 教授

第二代

浅井 良三 教授

あさい りょうぞう

1959年2月1日〜1969年3月31日
(昭和34年〜昭和44年)

1930(昭和5)年 京都帝国大学卒

本邦の頭頸部外科学の創始者として知られ、教室の頭頸部外科の基盤を築きました。

服部 浩 教授

第三代

服部 浩 教授

はっとり ひろし

1971年7月1日〜1986年3月31日
(昭和46年〜昭和61年)

1947(昭和22)年 京都大学卒

難聴診療の大家として、耳科学・難聴診療の発展に尽力しました。

天津 睦郎 教授

第四代

天津 睦郎 教授

あまつ むつお

1986年11月16日〜2001年3月31日
(昭和61年〜平成13年)

1962(昭和37)年 神戸医科大学卒

喉頭摘出後の音声再建法「天津法」を開発し、喉頭科学・頭頸部外科学の発展に貢献しました。

丹生 健一 教授

第五代

丹生 健一 教授

にぶ けんいち

2001年4月1日〜2026年3月31日
(平成13年〜令和8年)

1986(昭和61)年 東京大学卒

頭頸部がんの臨床・研究・教育・啓発に取り組み、多職種によるチーム医療と各領域の専門体制を築きました。頭頸部がん専門医制度の創設を主導し、日本頭頸部癌学会理事長を務めました。

藤田 岳 教授

第六代

藤田 岳 教授

ふじた たけし

2026年4月1日〜現在
(令和8年〜現在)

2005(平成17)年 神戸大学卒

耳科学・難聴診療を専門とし、2026(令和8)年4月に主任教授に就任しました。歴代教授が築いた伝統を継承し、耳鼻咽喉科頭頸部外科の幅広い領域で診療・研究・教育の充実を目指しています。

兵庫県の耳鼻咽喉科医療との関わり

当教室は長年、兵庫県地方部会の事務局として、県内の耳鼻咽喉科診療の発展に関わってきました。戦後の混乱のなか、地域の医師の学問への情熱と努力により、1950(昭和25)年に兵庫県地方会が発足しました。それまで所属していた関西地方会から分離独立し、初代会長には兵庫県立医科大学(現・神戸大学医学部)の中村良太郎教授が就任しました。1975(昭和50)年には日本耳鼻咽喉科学会兵庫県地方部会へと名称が改められ、服部浩教授が会長に就任しました。

名称変更後の会長は、服部浩教授に続き、第二代・兵庫医科大学の雲井健雄教授(当教室出身)、第三代・天津睦郎教授、第四代・兵庫医科大学の阪上雅史教授へと引き継がれました。2007(平成19)年7月には、丹生健一教授が第五代会長に就任しました。現在は藤田岳教授が日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会兵庫県地方部会長を務めています。

同門会と活動報告

同門会を通じて、大学、関連病院、地域で診療に携わる医師がつながり、教室の活動を支えています。1987(昭和62)年に創刊した同門会誌は、教室の年次活動報告も兼ねて年1回発行し、診療・研究・教育の活動や論文・学会発表などを記録しています。

現在の教室

2026年4月より藤田岳教授のもと、耳・難聴、頭頸部腫瘍、鼻・副鼻腔、音声・嚥下などの各領域で診療と研究に取り組んでいます。関連診療科や多職種と連携し、患者さんの治療と生活に関わる機能を支えています。

教室には現在、大学病院と関連病院を併せて約80名の医師が勤務しています。常勤医を派遣している関連病院は22施設です。また、教室の同門会には約220名が名を連ね、大学・関連病院・地域で診療にあたる医師のつながりを支えています。

臨床研究と基礎研究に加え、医工連携やAIを用いた解析などにも取り組み、教室員それぞれが自分の研究テーマを育てることを目指しています。大学病院と関連施設での研修を通じて、次世代の医師・研究者を育成しています。