留学生からのメッセージ 留学生からのメッセージ

留学生
からのメッセージ

    • Brigham and Women's Hospital 留学便り

      神田 裕太郎(平成22年卒)
    • 私は2021年8月よりアメリカのマサチューセッツ州ボストンにあります Brigham and Women's Hospital 整形外科にリサーチフェローとして留学しております。Brigham and Women's Hospital はハーバード大学の関連病院の一つで、ボストンレッドソックスの本拠地であるフェンウェイパーク近くのロングウッドというエリアに位置しており、世界中から患者、医師、研究者が集まってきています。私自身は学生時代や初期研修医の頃には、留学についてあまり具体像は描けずにいましたが、整形外科に入局して同門の先輩方から留学経験の話を聞いているうちに、留学したいと思うようになりこの度実現することができました。
      ボストンは全米トップ5に入る都会ですが、ヨーロッパ調の歴史ある街並みは美しく、治安も良いため、暮らしやすい街だと思います。また、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学があるために学術都市としても栄えており、留学先としても大変恵まれた環境ではないかと思っております。
      私はこちらでは整形外科教授の James D. Kang 先生、研究室の principal investigator の水野秀一先生に御指導いただきながら、椎間板に対して生体内の浸透圧や静水圧などの微小環境を再現することでの治療効果や、バイオマテリアルを用いて変性した微小環境を回復することで椎間板再生を目指す研究を進めております。お二人とも家族のように接してくださり、ハード面ソフト面ともに大変恵まれた環境で研究を行うことができています。また、毎週金曜日にはカンファレンスがあり、脊椎外科に関するレクチャーや臨床症例のケースプレゼンテーションに触れる機会もあり、臨床的な知識もアップデートすることができております。生活面では COVID-19 の影響を感じることは最近ではほとんどなく、2年目ということもあってアメリカならではのハロウィンやクリスマスなどのイベントを楽しむことができました。
      今後はさらに研究を進めつつ、実りある留学生活となるように励みたいと思っております。最後になりましたが、このような貴重な機会を頂けたことを、教室並びに同門の先生方に改めて御礼申し上げます。

      Dr. Kangの自宅でのホームパーティ
      フェンウェイパークでの野球観戦
    • Steadman Philippon Research Institute (SPRI) 留学便り

      山裏 耕平(平成23年卒)
    • 2021年9月より米国 Colorado 州 Vail にあります Steadman clinic / Steadman Philippon Research Institute (SPRI) に留学させて頂いております。渡米後約1年6か月が過ぎ、留学生活も残りあと半年となりました。  Steadman clinic は Vail に本拠を置く整形外科クリニックであり、全米でもスポーツ整形外科分野で大変有名であり、著名なプロスポーツ選手を含めた世界中の患者が治療に訪れています。SPRIはSteadman clinic に併設された研究施設であり、SPRIで行われた前臨床試験の結果を基に Steadman clinic にてさらなる臨床試験が行われており、臨床と研究が密に連携していることが特徴的です。現在 International research fellow として私を含めて日本人2名、ドイツ人1名、タイ人1名の合計4人の整形外科医がおり、基礎研究、屍体を用いた biomechanical study、臨床における outcome study と各々の研究を互いにサポートしながら研究を進めています。私は現在 Dr. Johnny Huard のご指導の下、nanofiber や microsphere など新たな biomaterial による軟骨再生に関する他大学との共同研究、世界的股関節鏡外科医である Dr. Marc J. Philippon のご指導の下、femoroacetabular impingement (FAI) 患者に関する軟骨研究などを進めております。また Vail は全米屈指のスノーリゾートであり、最寄りゴンドラまで徒歩7分と抜群の立地のため勤務の休憩時間にスキーを楽しむことも可能です。 最後になりましたが、このような大変貴重な留学の機会を頂戴し、黒田教授ならびに同門の先生方のご支援に心より御礼申し上げます。今後の留学生活がより充実したものとなるよう引き続き励みたいと思います。

      Vail の夏の紅葉
      Vail の街並みとスノーリゾート
    • University of Pittsburgh 留学便り

      山本 哲也(平成23年卒)
    • 2022年4月よりアメリカペンシルバニア州のピッツバーグ大学整形外科に research fellow として留学させて頂いております。ピッツバーグの中心地は2本の川が合流した位置にあり空港からダウンタウンへと向かうハイウェイからは左手に MLB と NFL の球場、右手にビル群を眺めることができます。MLB の球場(PNC パーク)からダウンタウンを眺める景観も美しくメジャーリーガーが憧れる球場の1つとされています。
      私は日々、バイオメカのラボで研究を行い、その間に外来や手術見学、リサーチミーティングに参加しております。バイオメカラボでは、方向からの透視画像と CT または MRI データをマッチングさせるシステムを使用し誤差の少ない動作解析をすることができます。私は“足と足関節”をメインに研究しており、距骨下関節など従来動作解析が難しかった関節の動きを調べています。
      他大学からアメリカに留学している先生もいますが、神戸大学のようにアメリカ各地に留学している大学は少なく恵まれた環境だと思います。同期が多いとそれぞれの留学先に遊びに行くことが出来るのでレジデント時代からの絆がさらに深まり楽しいです。
      アメリカでは基本的に早朝から働くため午後の時間を確保できます。日本と比べゴルフのプレイ料金が安いのでゴルフに行ったり、車で2時間かかりますがクリーブランドまでNBAの試合を観戦しに行ったりしています。
      学生時代は、時間はあるけどお金がない、働きだすと自由に使えるお金はあるが時間がないと感じることがあると思います。後期研修から専門医を取るまではがむしゃらに働くと思いますが、その先に留学の選択肢がある大学に入局することは自分自身の選択肢の幅が広がると思います。神戸大学整形外科は海外留学に力を入れている整形外科医局のひとつですので、海外の医療と生活を経験してみたいなと思う方がいれば、ぜひ話を聞きにいらしてください。お待ちしています。

       バイオメカ研究室のボス(Bill 先生)
       臨床の足の外科のボス(Hogan 先生)
    • University of Pittsburgh 留学だより

      抽冬 晃司(平成24年卒)
    • 2022年10月よりアメリカ、ペンシルバニア州のピッツバーグ大学整形外科に research fellow として留学させていただいております。アメリカに来て5か月が経ちました。ピッツバーグは人口約30万人程度の街で、アメリカ北東部に位置し、夏は涼しくて過ごしやすく、冬は厳しい寒さに見舞われます。しかし、例年と比べると、今年の冬は暖かく、非常に快適な日々を過ごしております。ピッツバーグは、かつては鉄鋼の街でしたが、現在は大学や医療の街として知られ、物価や治安などの面からアメリカで最も住みやすい街の一つといわれております。
      ピッツバーグ大学整形外科には世界中から医師が集まっており、現在私はドイツやブラジルなどから来ている fellow とともに、膝スポーツ医学分野で非常に高名な Volker Musahl 先生のご指導の下、手術見学やACL関連の臨床研究を行っております。日本ではあまり見ることのできない allograft を用いた ACL 再建術や半月板移植術などの手術が行われており、大変貴重な経験をさせていただいております。また、整形外科のLabの一つである Biodynamics Laboratory にも所属し、ACL 関連の Biomechanics に関する研究を行っております。Lab には Dynamic biplane radiography system (DBR) があり、CT や MRI のデータをマッチングさせることにより、あらゆる関節の動作解析をおこなうことが可能です。Lab には、多くのエンジニアや医学生、整形外科のレジデントが在籍しており、大変恵まれた環境で研究を行うことができております。
      研究を中心に少しずつ慣れてきたアメリカ暮らしを満喫しながら、実りある留学生活となるように励みたいと思います。このような機会を与えていただき、サポートして頂いております教室並びに同門の先生方に感謝申し上げます。

      Dr. Musahl と Japanese fellow
      Fellow との workout
    • Mayo clinic 留学便り

      高島 良典(平成24年卒)
    • Prof. Weyand labo と 旦那の Prof. Golongy labo の
      共同クリスマスパーティーにて。
      皆でボウリング大会を行いました。後列左より5番目に Weyand 教授。

      2022年5月より米国ミネソタ州ロチェスターにあります Mayo clinic, Division of Immunology & Rheumatology の Cornelia M Weyand 教授の Lab に研究留学させていただいております。
      Mayo clinic は2022年度も米国内でNo.1の病院に選出される総合病院です。クリニックは1846年にアメリカ合衆国に移住したイギリス人移民の医師ウィリアム・ウォーラル・メイヨー、その息子であるメイヨー兄弟の3人による辺境の地での医療活動を開始したことを起源としております。病院のポリシーとして "The needs of the patient come first."(患者のニーズが第一)である。また、"Mayo will provide the best care to every patient every day through integrated clinical practice, education, and research."(メイヨーは統合的な医療活動、教育、研究を通じて、毎日、全ての患者に最善の治療を提供する)としており、臨床だけではなく研究教育にも非常に熱心であり、Mayo clinic がアメリカNo.1である所以です。
      Mayo clinic がありますミネソタ州は皆さんにはあまりなじみのない都市と思いますが、アメリカ中西部に位置し、冬には「アメリカの冷蔵庫」と言われるほどの極寒の地ではありますが、ロチェスター自体は非常に暮らしやすい町であり、夏の期間には気温も湿度も高くなく快適です。また、ロチェスターに住む人の3分の1が Mayo 関連の仕事をしているので住民の民度も高く、日本と同程度と思うほど安全で人々がとても優しい町であり、子育ての場所としては本当に素晴らしいと感じております。夏には近くの公園にはカナダグースの群れがおり自然にあふれ、冬にはソリや Ice castle と言われる氷の城が催されるなど寒い地域特有の楽しみ方もできます。食生活に関しても以前より Mayo clinic には多くの日本人が留学しているためか、州都であるミネアポリスやシカゴには豊富に日本食マーケットもあり家族も皆アメリカ生活を満喫しております。さらに Mayo 日本人会と呼ばれる Mayo clinic に留学されている他科の先生や企業の日本人の方々、ご家族との交流が夏の BBQ、ハロウィン、新年会など催し物もたくさんあり非常に充実した日々を過ごしております。
      研究に関しては、Mayo clinic の Weyand 教授は関節リウマチ(RA)、血管炎の世界で第一人者であり、臨床はもちろん基礎研究においても世界トップレベルの業績を出し続けている labo です。Weyand Lab は10人ほどのメンバーで構成され、ヒト化マウスによる RA・血管炎モデルマウスを使用し、T細胞、マクロファージ、線維芽細胞の働きに注目し、RA の進行と病期ごとの各細胞の機能や役割について研究しています。RA の研究では現在までに、RAにおけるミトコンドリアおよびリソソームの異常をあきらかとし、RAの次世代の治療介入方法として、無症候性 RA の期間中にT細胞の欠陥を再プログラミングするなどの開発を検討しております。私は RA Group に配属され、RA の病態で最も問題となる滑膜線維芽細胞にフォーカスをあてて研究をしております。
      以上のような日常生活、研究生活を行いながら日本では経験できない経験を日々することができています。医師として今後の人生における大きな視野を持つことのできるチャンスだと思っております。神戸大学整形外科は多くの留学先をもっており、海外留学に力を入れている医局のうちの一つです。海外留学、基礎研究に興味のある先生方の入局をお待ちしております。