留学生からのメッセージ 留学生からのメッセージ

留学生
からのメッセージ

    • University of Pittsburgh 留学便り

      田中 聡一(平成22年卒)
    • 2020年10月よりアメリカ、ペンシルバニア州のピッツバーグ大学整形外科にresearch fellowとして留学させていただいております。早いものでアメリカ生活も1年5か月が経過しました。ピッツバーグはアメリカ北東部にある人口30万人程度の街です。短い夏は涼しく低湿度で過ごしやすいですが、長い冬は厳しい寒さに見舞われます。かつて鉄鋼の街として栄えたことは有名ですが、その後ハイテク産業・教育・医療にシフトチェンジ、学術都市としても栄えており、ピッツバーグ大学医学部には整形外科のみならず各分野において世界中から医師が集まっております。私は整形外科のLabの中で、Biodynamics Laboratoryに所属し、ACL関連のBiomechanicsの研究を行っております。LabにはDynamic biplane radiography system (DBR) があり、CTデータまたはMRIをマッチングさせることによりrunning・jumping中の動作解析をおこなうことが可能です。
      COVID-19に関しては、アメリカでは2021年初めごろにワクチン接種が進んだこともあり、春ごろから日常生活にこける外出、外食制限はほぼなくなりました。ただ、日本と同様にデルタ、オミクロン変異株が広まっているため屋内ではマスク着用を義務付けられている状態です。しかし、アメリカでは一般層でも自由にワクチン接種が可能な状況であるにもかかわらず接種率が60%台と伸び悩んでいるようで、それもあってこの夏は1日当たりの感染者数は平均15万人を超えており、日本と比べると一桁多く依然高水準ですので相変わらず注意しなければならないと感じています。とはいえ、春ごろまではリモート授業であった小学校はコロナ前の状態に戻り、対面授業や週末のサッカー教室やスケート教室も復活したため、親子ともどもアメリカのスクールライフを楽しめております。
      最後になりましたが、このような機会を与えていただき、またサポートして頂いております教室並びに同門の先生方に感謝申し上げます。今後もこれまで同様に研究生活を基本としつつアメリカ暮らしを満喫し、実りある留学生活となるように励みたいと思います。

      Freddie Fu教授と
      近くの農場にてPumpkin Patch
    • Western University Fowler Kennedy Sport Medicine Clinic 留学便り

      中西 雄太(平成24年卒)
    • 2021年8月よりカナダオンタリオ州ロンドン市にあります Western University Fowler Kennedy Sport Medicine Clinic に Orthopaedic sport medicine clinical fellow として臨床留学させて頂いております。
      ロンドン市は人口42万人の街であり、教育と医療の街としても知られ、私が勤務している Fowler Kennedy Sport Medicine Clinic にも市外、州外から多くの患者さんが受診に来られます。また、ロンドン市は、別名 "the forest city" ともいわれ、非常に自然豊かで、過ごしやすい街です。 今回私以外に3人の整形外科医(イギリス、バーレーン、アイルランドから1名ずつ)がclinical fellowとして来られています。 Clinical fellowship は4人のコンサルタントに対して fellow が1人ずつ配属されるプログラムとなっており、3カ月毎に違うコンサルタントに配属されることになっています。そのため、肩、膝、股関節、足関節と幅広く最先端の治療を経験することができ、非常に勉強になっています。外来や手術は基本的に研修医、私たちフェロー、そしてコンサルタントというチームで動いています。フェローとして手術の執刀、外来の担当がありますが、研修医の教育という役目もあり、それらの役目をしっかり果たせるように毎日緊張感を持ちながら過ごしています。
      留学中の1年は臨床が主となりますが、留学中に臨床研究、論文の執筆がプログラムに盛り込まれています。また、大学にあるスポーツチームのチームドクターとしての業務も担当を割り当てられます。私は男子ラグビーと女子のアイスホッケーの担当となっています。他チームドクターやトレーナーの方との交流があり、メディカルチームとしての活動で学ぶことも多くあります。
      最後となりましたが、このような貴重な機会を与えて頂きました神戸大学整形外科の先生方、スタッフの皆さまおよび同門の先生方に感謝申し上げます。1年という短い期間ですが、1日も無駄にすることなく、臨床、研究、そしてカナダの暮らしを満喫し、実りある留学生活になるよう励みたいと思います。

    • Stanford University 留学便り

      壺坂 正徳(平成23年卒)
    • 2021年1月より米国カリフォルニア州スタンフォードにありますStanford Universityの整形外科に留学させて頂いております。
      スタンフォード大学はサンフランシスコから約60km南東に位置し、Apple、Google、Meta、HPなどのIT企業の一大拠点であるシリコンバレーの中心に位置しています。また、キャンパスの広さは約33km2(東京ドーム約700個分)と世界第2位の広さを誇っています(ちなみに第1位はMoskva Universityです)。シリコンバレーの気候は、夏は涼しく、冬は暖かく、年間を通して気温の変化が少なく非常に過ごしやすくなっています。
      こちらではスタンフォード大学整形外科の臨床教授でもありながら、研究室のPrincipal InvestigatorであるStuart B. Goodman先生にご指導いただきながら、研究をさせて頂いております。現在の私の主な研究は、大腿骨頭壊死に対する骨頭穿孔術にFunctionally Graded Scaffold(FGS)と間葉系幹細胞(MSCs)を併用した治療効果についての研究です。具体的には、うさぎを用いてステロイド誘発性大腿骨頭壊死モデルを作成し、骨頭穿孔術を行い、これにFGSと遺伝子改変MSCsの両方を移植した際の効果についての検討です。朝から晩まで研究に没頭できる最新の実験設備と、キャンパス内には24面のテニスコートやゴルフ場を兼ね備えており、心身ともに大変充実した留学生活を送ることが出来ております。
      最後になりましたが、この度はこのような大変貴重な機会を下さいまして、教室並びに同門の先生方のご支援に誠に感謝申し上げます。渡米後1年が経過しアメリカでの生活にもやっと慣れてまいりました。また、こちらではコロナによる生活の制限も少しずつ緩和されてきております。アメリカ留学という、またとない機会を大切にし、悔いのない留学生活を送りたいと思っております。

    • チューリッヒ大学附属病院留学記

      隈部 洋平(平成22年卒)
    • 私は2021年1月よりスイスのチューリッヒ大学附属病院外傷部門に2年間の予定で留学しています。
      スイスは最も裕福な国のひとつとして知られていますが、物価が高いことを除けば、清潔で治安もよく、あらゆる面で整っていてすごく住みやすい国だと思います。とても自然豊かで、国中で美しい景観を楽しむことができるのも大きな魅力です。チューリッヒ市は巨大なチューリッヒ湖の北端に位置し、周囲を丘陵地に囲まれた人口約40万人のスイス最大の都市です。チューリッヒ 大学病院も斜面に沿って建っており、そこから美しいチューリッヒ湖を見ることが出来ます。
      研究室のボスである、外傷学講座教授 のDr. Hans-Christoph Pape は外傷学分野で非常に高名な人物であり、外傷患者における治療介入のタイミングや方針決定に関する研究で多くの業績を残されてきました。現在も彼の指導のもと、複数のプロジェクトが進行しております。私はもともと神戸大学でやっていた炭酸ガス治療の研究と、最近留学先の研究室が取り組み始めたLipidomicsという外傷分野では比較的新しい研究領域のふたつを中心に研究活動を行なっています。また、時々同僚の勤務に付いていって臨床見学をさせてもらったりもしています。アメリカ等よりルールが厳しくないようで、手術の助手をやらせてもらうこともあります。同僚達はドイツ出身者が最も多く、他にオーストリアやスイスのドイツ語圏、イタリア語圏からの出身者がいます。アジアから来ているのは私のみですが、みな流暢な英語で私とコミュニケーションを取ってくれるので、基本的には英語だけで仕事をこなしていくことが出来ます。
      今回の留学では、人やプロジェクトが国や所属、分野を超えて盛んに行き交っているのを目の当たりにし、そう言った中から何か新しいものが生まれてくるということを実感しました。海外留学は個人的に得難い経験となるのは言うまでもなく、医師、研究者としても大いに視野を広げることができる大変貴重なチャンスであると感じています。留学生活も折り返し地点となりましたが、より一層成長できるようなんでも吸収してやろうと思っています。 神戸大学整形外科は海外留学に最も力を入れている整形外科医局のひとつです。海外との交流に興味がおありの先生の入局をお待ちしています。

      学会の船上パーティーにて(ハンガリー・ブダペスト)
      マッターホルン
    • Steadman Philippon Research Institute (SPRI) 留学便り

      山裏 耕平(平成23年卒)
    • 2021年9月より米国コロラド州 Vail にあります Steadman clinic / Steadman Philippon Research Institute (SPRI) に留学させて頂いております。早いもので渡米後約半年が過ぎ、標高2500mにある全米屈指のスノーリゾートであるVailにも春の訪れを予感させる時期になりました。渡米前には生活面での不安も多々ありましたが、大変治安も良く、壮大な自然に囲まれて充実した留学生活を送ることができています。
      Steadman clinic は Vail に本拠を置く整形外科クリニックであり、Vail の他にコロラド州 Frisco, Edwards, Aspen にもクリニックを展開しています。全米でもスポーツ整形外科分野で有名であり、著名なプロスポーツ選手を含めた世界中の患者が治療に訪れています。 SPRIはSteadman clinic に併設された研究施設であり、SPRI で行われた前臨床試験の結果を基に Steadman clinic にてさらなる臨床試験が行われており、臨床と研究が密に連携していることが特徴的です。世界最高峰の治療を患者に提供するという病院理念の下、SPRI では新たな臨床応用を目指して日々基礎研究が進められております。現在 International research fellow として私を含めて日本人2名、ドイツ人2名、スイス人1名、タイ人1名の合計6人の整形外科医がおり、屍体を用いた biomechanical study、臨床における outcome study、基礎研究と各々の研究を互いにサポートしながら研究を進めています。私は現在 Dr. Johnny Huard のご指導の下、Northwestern 大学より提供を受けた TGF-β阻害剤を組み込んだ nanofiber による軟骨再生および腱治癒に関する研究、同種骨軟骨移植グラフトに関する研究などを主に進めております。
      最後になりましたが、このような大変貴重な留学の機会を頂戴し、黒田教授ならびに同門の先生方のご支援に心より御礼申し上げます。今後の留学生活がより充実したものとなるよう引き続き励みたいと思います。

    • Kantonsspital Baselland 留学だより

      原 仁美(平成12年卒)
    • 2021年9月からスイスの Kantonsspital Baselland(KSBL) に留学させていただいています。
      スイスは九州とほぼ同じ面積で人口が約860万人(九州は1420万人)という小さな国です。バーゼルはその北西部に位置するフランスとドイツの国境の街で、チューリッヒ、ジュネーブに次ぐスイス第3の都市です。ライン川を挟んで美しい旧市街が広がっています。バーゼルは文化、芸術、建築の街として知られており、ロシュやノバルティスの本社があるため、日本人の音楽家や建築家、製薬会社の職員が多く住んでいます。フランスやドイツの国境付近から通勤している人も多く、コロナ禍でも自由に両国へ往来することが出来ます。電車やバスは日本と同じくらい時間通りに運行していてとても便利です。スイスは、気候も治安も良好で、人々はとても親切できっちりしているので、とにかく物価が高いことを除けば日本と同じ感覚で過ごすことが出来ます。週末には美しい街並み、山、湖に出かけたり、美術館や博物館に行ったりと楽しんでいます。コロナ対策規制も緩和されつつあるので、他のヨーロッパ諸国への訪問も楽しみです。
      KSBL は州立病院ですから日本の県立病院といったところでしょうか。私がお世話になっている Prof. Hirschmann は膝関節疾患の専門家で、手術は特に TKA の revision が多く、その他、関節鏡視下手術や骨切り術、膝周囲の外傷の手術が行われています。2022年1月中旬からは Universitäts-Kinderspital beider Basel (UKBB) とUniversität Basel (USB) の Dr. Krieg 先生のもとで骨軟部腫瘍、小児整形の手術に参加させていただいています。UKBB は USB の隣に併設された小児センターで、10年前に大学病院から分離したそうでとてもきれいな病院です。いずれの病院でも最新の医療材料や機器が贅沢に使用されており、スイスの医療水準の高さを実感します。
      スイスに来てはや6か月が過ぎようとしています。とても貴重な経験をさせて頂き教室並びに同門の先生方には深く感謝申し上げます。帰国後には教室に貢献できるように残りの留学生活を充実したものにしたいと思います。

      Prof.Hirschmann(右中)と KSBL のレジデント、フェローと
      Lusern 湖から望む Pilatus 山
    • Washington University in St Louis 留学便り

      亀長 智幸(平成23年卒)
    • 2021年4月から、米国ミズーリ州にある Washington University in St LouisにPostdoctoral research fellow として留学させて頂いております。 Washington University といっても、首都のワシントンDC やシアトルにある University of Washington とは関連がなく、アメリカ中西部ミズーリ州の都市、セントルイスに位置する私立大学です。ミズーリ州セントルイスというと、全米有数の犯罪都市として有名ですが、実際には一部の危険な地域(イーストセントルイス)を除けば治安は保たれており、日常生活で身の危険を感じることはありません。大学近傍の生活圏は、MLB の名門カージナルスの本拠地から車で15分ほど、複数のゴルフ場、テニスコートを含む Forest Park の隣にあります。交通の便もよく自然へのアクセスもよい、住みやすいところで、寒い冬を除けば非常に過ごしやすいです。
      私のボスである、Dr Cecilia Pascual-Garrido は、生まれはアルゼンチンであることもあり陽気で、日本文化を愛する親切な、毎朝5-10マイル走る super active woman です。整形外科医としても非常に aggressive で、数多くの Hip Preservation Surgery (股関節鏡や骨切り術)や人工股関節置換術を行いながら、臨床研究、基礎研究の成果を世界に発信している、とても高名な先生です。私は、Dr Pascual 指導の下、股関節の軟骨変性に関する基礎研究(ラビットFAIモデル、二次性OAモデルを用いた in vivo study、RNA-sequence や軟骨細胞培養を用いた in vitro study)や臼蓋形成不全に関する臨床研究(3D-CTを用いたシュミレーション等)を行っています。また、Dr Pascual の配慮もあり、研究のみならず、cadaver training やセミナーに参加する機会もあり、日々充実した貴重な経験をさせて頂いております。

      Cadaver training 後
      St. Louis Gateway Arch

      最後になりましたが、このような貴重な機会をいただけたことを同門の先生方に改めて感謝申し上げます。研究面、プライベート面においても充実した生活を送れるよう、これからの日々を過ごして参りたいと思います。

    • Brigham and Women's Hospital 留学便り

      神田 裕太郎(平成22年卒)
    • 私は2021年8月よりアメリカのマサチューセッツ州ボストンにあります Brigham and Women’s Hospital 整形外科にリサーチフェローとして留学しております。 Brigham and Women's Hospital はハーバード大学の関連病院の一つで、ボストンレッドソックスの本拠地であるフェンウェイパーク近くのロングウッドというエリアに位置しています。私自身は学生時代や初期研修医の頃には、留学についてあまり具体像は描けずにいましたが、整形外科に入局して同門の先輩方から留学経験の話を聞いているうちに、留学したいと思うようになりました。この度幸い留学の機会をいただき、COVID-19 の影響で予定よりは少し遅れましたが、留学を実現することができました。
      ボストンは物価や家賃の高さでは全米トップ5に入る都会ですが、治安は比較的良く、暮らしやすい街だと思います。また、ボストンはアメリカでは最も歴史のある街の一つであり、アメリカ独立戦争由来の建築物や像などが市街地も中心に点在しています。学術都市としても栄えており、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学など、各分野において世界中から研究者が集まっております。
      私はこちらでは整形外科教授の James D. Kang 先生、研究室の principal investigator の水野秀一先生に御指導いただきながら、椎間板に対して生体内の浸透圧や静水圧などの微小環境を再現することでの治療効果や、バイオマテリアルを用いて変性した微小環境を回復することで椎間板再生を目指す研究を進めております。 COVID-19 の影響でカンファレンス等は日本と同様オンラインを中心に開催されておりますが、幸いにも出勤制限等はなく研究に没頭できる環境が整っております。
      今後はさらに研究を進めつつ、アメリカでの貴重な経験を日本に還元できるように励みたいと思っております。最後になりましたが、このような貴重な機会を頂けたことを、教室並びに同門の先生方に改めて御礼申し上げます。