留学生からのメッセージ 留学生からのメッセージ

留学生
からのメッセージ

    • Brigham and Women's Hospital 留学便り

      武岡 由樹(平成21年卒)
    • ケープコッドでの家族写真。観光にもマスクが必須です。

      私は2018年10月より米国マサチューセッツ州ボストンにありますHarvard大学Brigham and Women’s Hospitalに留学しております。こちらでは整形外科教授のJames D. Kang先生と准教授の水野秀一先生にご指導いただきながら、椎間板再生に関する研究を進めています。
      ボストンは、冬の寒さを除いては住みやすく気に入っているのですが、2020年はCOVID-19の流行により全てが変わってしまいました。アメリカはご存知の通り世界最大の感染国となりましたが、マサチューセッツ州でも3月中旬から感染者が増え、ロックダウンの措置が取られました。また、もともとアメリカ人は健康な人が感染予防目的でマスクをする習慣はなかったのですが、外出時にマスクが義務化され、すっかり定着しています。その他にも、ソーシャルディスタンスを指導されたり、電車・バス内、スーパーのレジなどには大きなプラスチックボードで飛沫を防ぐ処置が取られたり、様々な変化がありました。さらに5月末からBlack lives matter運動が加わり、アメリカの根深い人種差別問題の一端を垣間見たような気がしました。
      暖かくなるにつれ新規感染者も落ち着き始め、各種規制も段階的に緩められるようになりましたが、市民の社会活動が再開していくにつれ、そして気候が再度寒くなってくるにつれ、COVID-19感染者も再増加しました。一方でワクチンがFDAの緊急使用許可を経て実用化され、12月15日から接種開始となったことは大きな希望でした。当院でも感染リスクと必要度に応じて職員を層別化し、順に接種するプログラムが組まれ、私は2021年2月にモデルナ社のワクチンを接種することができました。このあたりのスピード感は日本とアメリカでかなり違うなとしみじみ思いました。
      この1年、患者として見るアメリカの医療、アジア人として見る人種差別問題、国内で見る大統領選挙など、社会的な意味で多くの物事を見聞きし、感じました。多くの方のサポートで留学の機会を頂けたことに感謝しながら、この状況下にアメリカで過ごすという稀有な経験を糧に変え、日本に還元できるように引き続き取り組んで参ります。

    • The Steadman Clinic/Steadman Philippon Research Institute 留学便り

      深瀬 直政(平成15年卒)
    • 早いもので渡米後2年が過ぎようとしています。私の滞在するコロラド州のロッキー山脈を望む標高2500メートルの街Vailは、3月に入り一気に日差しが春めいてきており、雪のシーズンの終焉への少々の淋しさとともに、1年以上続くコロナ禍の収束への期待感が高まってきております。渡米前には心配事ばかりで随分と気苦労を重ねましたが、親切な人が多い土地柄のおかげで生活面では幸いトラブルもなく、多くの友人にも恵まれこのような状況の中でも充実した留学生活を送っております。硏究の方は、この一年はCOVID-19に翻弄され、思い通りに行かないことばかりでした。周到に準備をしていた大規模な動物実験が直前で突然キャンセルされたり、同室者がコロナに感染して緊張が走ったりと誤算続きで、トラブルシューティングばかりしていた時期もありました。ラボも1ヶ月半閉鎖され、その後段階的に再開されました。再開後は複数のプロジェクトが同時に動き出し、逆に大変忙しい毎日となりましたが、異国で自分自身の力がどこまで通用するのかを試す良い機会になりました。最近ようやくゴールが見えてきて、少し落ち着いてアメリカ生活を楽しめるようになってきたところです。

      Steadman Clinicは膝、股、肩、肘関節、手、足、脊椎の治療に特化した全米屈指のスポーツクリニックで、私のボスであるDr. Johnny Huardのこれまでの基礎研究の成果を元にした臨床試験が盛んに行われています。世界最高峰の治療を患者に提供するという理念のもとに将来的な臨床応用を目指した基礎研究を付属の研究施設であるSteadman Philippon Research Institute (SPRI)で日々進めています。こちらではアメリカ人のみならず、ヨーロッパ各国、中国、インド、カナダ出身の医師、獣医、科学者、エンジニアとも共同で研究を進めており、コロナ禍で急速に普及したWeb会議も毎週行われています。私は現在、Dr. Johnny Huardの指導の下に、この2年間で行なった軟骨再生、骨再生の基礎研究の解析を進めております。また股関節鏡の第一人者であるDr. Marc Philipponの指導の下、ロボットを用いた股関節バイオメカニクスの研究や、臨床研究を行なっており、本年のAAOSで発表予定です。このような素晴らしい留学の機会を与えていただいた黒田教授をはじめ、教室ならびに同門の先生方に感謝しつつ、残された留学生活で多くのものを吸収して帰国したいと思います。

    • University of Pittsburgh 留学便り

      西田 京平(平成20年卒)
    • BossのDr Freddie Fu(左)と帰国前の記念撮影。

      2018年10月よりアメリカのピッツバーグ大学整形外科に留学させていただいております。アメリカでの生活も2年5ヶ月が経過し残すところ1か月となりました。現在ピッツバーグ大学整形外科には同門の平成21年卒の田中聡一先生も留学されており、同じLabに所属しております。
      ピッツバーグはワシントンDCまたはシカゴからフライトで約1時間、アメリカ東北部にある人口30万人程度の街です。短い夏は涼しく低湿度で過ごしやすい(30度弱)ですが、長い冬は厳しい寒さに見舞われます(基本氷点下、2021年1.2月は連日積雪)。かつて鉄鋼の街として栄えたことは有名ですが、その後ハイテク産業・教育・医療に投資しモデルチェンジ、学術都市としても栄えており、ピッツバーグ大学医学部には整形外科のみならず各分野において世界中から医師が集まっております。
      私のボスであるピッツバーグ大学整形外科教授Dr. Freddie Fuは膝スポーツ医学分野で非常に高名な先生であり各国からアスリートが治療に訪れます。過去に来られたアスリートのユニフォームがクリニックに飾られていますが圧巻です。Dr. FuはPatient First! を常に口にされ、患者さんに対して非常に細やかな心配りをされますので、診療に対する姿勢など学ぶことが多いです。また数多くのLabをお持ちで、臨床研究・基礎研究成果を世界に発信しております。私はそのLabのなかでBioDynamics Laboratoryに所属し、膝のin vivo biomechanicsの研究を行っております。Labには世界でも数少ないDyanmic biplane radiography system (DBR) があり、CTまたはMRIデータから作成した3DモデルとDBRにより2方向から連続撮影したレントゲン写真をマッチングさせることにより精度の非常に高い動作解析が可能です。Labのエンジニア・工学部の大学院生や学生・医学生・整形外科のレジデント、そして私のようなinternational fellow、計20名程度が協力しながら研究を進めるという環境で充実しております。
      パンデミックと留学生活の約半分が重なったことは残念ですが、残された貴重な日々を大切に過ごしたいと思います。このような機会を下さり、サポートして下さっております同門の先生方に感謝申し上げます。

    • University of Pittsburgh 留学便り

      田中 聡一(平成21年卒)
    • 2020年10月よりアメリカ、ペンシルバニア州のピッツバーグ大学整形外科にresearch fellowとして留学させていただいております。早いものでアメリカ生活も約半年が経過しました。
      ピッツバーグはアメリカ北東部にある人口30万人程度の街です。短い夏は涼しく低湿度で過ごしやすいですが、長い冬は厳しい寒さに見舞われます。かつて鉄鋼の街として栄えたことは有名ですが、その後ハイテク産業・教育・医療にシフトチェンジ、学術都市としても栄えており、ピッツバーグ大学医学部には整形外科のみならず各分野において世界中から医師が集まっております。
      私のボスであるDr. Freddie Fuは膝スポーツ医学分野で非常に高名な先生であり各国からアスリートが治療に訪れます。過去に来られたアスリートのユニフォームがクリニックに飾られていますが圧巻です。Dr. FuはPatient First!をモットーに患者さんに対して非常に細やかな心配りをされますので、診療に対する姿勢など学ぶことが多いです。 私は整形外科のLabの中で、Biodynamics Laboratoryに所属し、ACL関連のBiomechanicsの研究を行っております。LabにはDynamic Stereo X-ray (DSX) systemがあり、CTデータまたはMRIをマッチングさせることによりrunning・jumping中の動作解析をおこなうことが可能です。COVID-19の影響でLab内の部屋の人数制限や実験の制限があり、新規の動作撮影はなかなか開始できない状況ですが、まずはCOVID-19以前の撮影したデータの解析を中心に研究を進めております。
      今後はこれまで同様に研究生活を基本としつつ、少しずつ慣れてきたアメリカ暮らしを満喫し、実りある留学生活となるように励みたいと思います。このような機会を与えていただき、またサポートして頂いております同門の先生方に感謝申し上げます。

    • Stanford University 留学便り

      壺坂 正徳(平成23年卒)
    • 2021年1月より米国カリフォルニア州スタンフォードにありますStanford Universityの整形外科に留学させて頂いております。
      スタンフォード大学は、サンフランシスコから約60km南東に位置し、Apple、Google、FacebookなどのIT企業の一大拠点であるシリコンバレーの中心に位置しています。また、キャンパスの広さは約33km2(東京ドーム約700個分)と世界第2位の広さを誇っています。シリコンバレーの気候は、夏は涼しく、冬は暖かく、年間を通して気温の変化が少なく非常に過ごしやすくなっています。
      私は整形外科教授のStuart B. Goodman先生のご指導のもと、大腿骨頭壊死に対する骨頭穿孔術に間葉系幹細胞とScaffoldを併用した治療効果や、骨欠損に対して間葉系幹細胞とScaffoldを併用した治療効果、Osteolysisに対する間葉系幹細胞の治療効果などの再生医療に関する研究を進めております。朝から晩まで研究に没頭できる最新の実験設備と、キャンパス内には24面のテニスコートやゴルフ場を兼ね備えており、心身ともに大変充実した留学生活を送ることが出来ております。
      最後になりましたが、この度はこのような大変貴重な機会を下さいまして、教室並びに同門の先生方のご支援に誠に感謝申し上げます。渡米後間もない為、様々な局面で苦労することもあり、またコロナ禍で生活にも制限はありますが、またとない機会を大切にし、悔いのない留学生活を送りたいと思っております。

    • Imperial College London 留学便り

      宮地 伸晃(平成22年卒)
    • 2020年1月より英国ロンドンにあるImperial College LondonのProf. Andrew Amis先生が在籍されておりますMechanical Engineering DepartmentのBiomechanics groupに留学させていただいております。Imperial College Londonはロンドンの中心部に位置し、医学部・工学部・理学部から成る世界最高位の理工系大学と評されております。勤務先のサウスケンジントンキャンパスはヒースロー空港から地下鉄で約1時間、バッキンガム宮殿やピカデリーサーカス、ナショナルギャラリーなど観光名所が数キロ以内にあるロンドンの中心部に位置しています。
      Amis先生の研究チームはこれまで前十字靭帯を中心に数多くの業績を残してきており、世界トップクラスのbiomechanics研究をしています。Biomechanics Groupは大学院生を基本として30名ほどで構成されており、着任時に整形外科医は私を含めて3名でしたが、現在研究室で実験を行っている整形外科医は私のみで、その他はエンジニアばかりです。ヨーロッパは勿論、中東やアジアなど世界各国から集まった大学院生が脊椎・肩関節・股関節・膝関節・足関節など様々な分野の研究を日々行っています。
      私はAmis先生の指導のもと、世界的に大変御高名なAndy Williams先生とも意見を交わしつつ、ベルギー人のエンジニアと新たな靭帯再建術に関する研究を行っています。偉大な先生方と意見交換もしやすい環境に身を置いていることを光栄に思います。Amis先生・Andy先生とともに、本当に良いものを世界に発信できるよう実験を続け成果を出したいと思っています。
      COVID-19のため制限だらけの生活ですが、今しか体験できないことを現地で味わいつつ、残された期間を過ごしたいと思います。最後に、黒田教授ならびに同門の先生方のお陰でこのような貴重な経験をさせていただいていることに感謝いたします。