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コンバージョン治療(切除不能がん)

切除不能膵がんに対するコンバージョン手術

切除不能膵癌(UR)に対する標準治療は化学療法や化学放射線療法ですが、治癒することは難しく、腫瘍の進行を遅らせることが目的になります。これらの治療の効果には個人差がありますが、近年、治療がよく効いた患者さんに、更なる長期生存や治癒をねらって切除をする、いわゆるコンバージョン手術を試み、長期生存を得たという報告があります。

コンバージョン手術のメリット

腫瘍を切除することで、長期生存や治癒を期待することができる。

コンバージョン手術のデメリット

比較的大きい手術になることが多く、体の負担や手術のリスクがかかる。
肉眼的に切除しても早期に再発することがあり、その場合損をする可能性がある。

上記のメリット、デメリットがあります。
どのような患者さんがコンバージョン手術で利益を受けるのかはまだはっきりとわかっていません。コンバージョン手術は通常の手術に比べると手術の難易度が高く、切除の判断が難しいため、どの程度切除できるかは施設や外科医によって異なることがあります。当科では長期生存や治癒をねらって積極的にコンバージョン手術おこなっており、実際に長期生存する患者さんもでてきています。他院で切除不能と判断された患者さんや、他院で治療中の患者さんでも切除できる可能性がありますので、ぜひ一度ご相談ください。セカンドオピニオンも随時受け付けていますのでご活用ください。

コンバージョン手術の可能性が検討できる方

遠隔転移(肝、腹膜、肺など)がない、または治療により転移が消失した切除不能膵癌をすでに他院で治療をおこなっている場合は、腫瘍マーカーの低下や画像上の縮小など一定の効果が期待される場合。

コンバージョン手術症例

症例1

コンバージョン手術症例

他院で切除不能膵癌と診断され、17ヶ月の化学療法で腫瘍が縮小、PETで集積が著減し、当科に切除の相談。
コンバージョン手術(膵体尾部切除+門脈合併切除後)をおこなった。

膵体尾部切除+門脈合併切除

コンバージョン手術症例

術後36ヶ月(化学療法開始後54ヶ月)無再発生存中。

症例2

コンバージョン手術症例

切除不能膵癌の診断で化学療法施行。6ヶ月の化学療法で腫瘍が縮小、PETで集積が減弱し、コンバージョン手術(膵全摘+門脈合併切除)を施行した。

膵全摘+門脈合併切除

コンバージョン手術症例

術後42ヶ月(化学療法開始後48ヶ月)無再発生存中。

症例3

コンバージョン手術症例

化学放射線療法後、小さな肝転移を認め、一旦切除を断念。しかしさらに約6ヶ月の化学療法を追加して肝転移消失し、コンバージョン手術を施行した。

膵頭十二指腸切除+門脈合併切除+外腸骨静脈グラフト再建

コンバージョン手術症例

術後50ヶ月(化学放射線療法開始後60ヶ月)無再発生存中。

コンバージョン治療(切除不能肝細胞がん)

昨今、肝細胞がんに対して非常に有効な薬物療法が多数使用できるようになりました。このため、手術で切除する事ができないような進行肝細胞がんに対して薬物療法を先行し、腫瘍が縮小してから手術や放射線治療などの局所治療でがんの根治を狙うコンバージョン治療が可能となってきました。

当科では切除可能な肝細胞がんに対しては積極的に切除を行っていますが、切除が出来ないような進行肝細胞がんに対してもコンバージョン治療の可能性を念頭において、可能な限り根治的治療を目指しています。コンバージョン後の局所治療としては、肝切除やラジオ波焼灼療法が一般的とされていますが、当科では兵庫県立粒子線医療センター・神戸陽子線センターとも緊密に連携し、粒子線治療も積極的に取り入れています。従来の治療手段では根治が望めなかった困難な病態に対しても、絶対諦めない治療を進めています。

コンバージョン手術症例

症例1(薬物療法後・肝切除)

コンバージョン手術症例

肝細胞がんは肝静脈に浸潤していました。がんの進行度としては切除可能でしたが、肝機能が不良であったため、切除不能と診断され薬物療法を施行しました。6ヶ月の薬物療法が奏功し、腫瘍が著明に縮小したため切除可能と判断され、コンバージョン手術(肝前区域切除)を行いました。

症例1 コンバージョン手術(肝前区域切除術)

コンバージョン手術症例

手術後13ヶ月(薬物療法開始後30ヶ月)再発なく経過中。
腫瘍マーカー正常化持続。
症例2(薬物療法後・粒子線治療)

コンバージョン手術症例

肝細胞がんは門脈に広く浸潤していました。切除可能限界をこえた浸潤を認めたため、切除不能と診断され薬物療法を施行しました。5ヶ月の薬物療法が奏功し、腫瘍が著明に縮小したためコンバージョンでの局所治療が可能な状態となりました。手術も可能でしたが、患者さまの希望で粒子線治療を選択され、コンバージョン粒子線治療を行いました。

症例2 コンバージョン粒子線治療

コンバージョン手術症例

粒子線治療後11ヶ月(薬物療法開始後19ヶ月)再発なく経過中。
腫瘍マーカー正常化持続

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