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胆道がん・胆石症

胆道について

胆道について

胆道とは、肝細胞から分泌された胆汁が十二指腸に流出するまでの全経路をさします。肝外の胆道系は肝外胆管、胆嚢、十二指腸乳頭部に区分され、肝外胆管はさらに肝門部領域胆管、遠位胆管に区分されます。
この胆道に発生する疾患として悪性疾患である胆道がんから胆石症・胆嚢ポリープといった良性疾患、先天性疾患である膵・胆管合流異常までが外科治療の対象となります。

胆道がんについて

肝外胆道系に発生するがんについて、胆管に原発するがんを胆管がん、胆嚢および胆嚢管に原発するがんを胆嚢がん 、乳頭部に発生するがんを乳頭部がんとして扱います。なお、肝内胆管に発生するがんは現在のところ肝がん(肝内胆管がん)として取り扱われています。 胆道がんは比較的頻度は少ないがんですが、本邦ではがんの死因の7~8位にあたり、近年増加しているがんの 一つです。当科は全国胆道がん登録施設であり、1年間に経験する胆道がん切除症例は約50例で、当科は比較的豊富な 症例を有しているといえます。 以下に当科における胆道がんの治療方針を示します。

胆管がん

 胆管がんに対する治療として、最も有効な治療法は外科的切除です。肝転移、腹膜播種のない症例が手術適応となります。 胆管がんに対する手術は病変を含めて可能な限り広範囲な胆管とともに、がんが転移しやすい胆管周囲のリンパ節を一塊 切除することが原則です。肝門部領域胆管がんではがんが肝内胆管にまで広がっていることが多いために種々の肝臓切除が 必要になります。一方、遠位胆管がんでは膵臓への浸潤や膵臓周囲のリンパ節への転移を伴うことがあるため、 胆管・膵臓の頭部・十二指腸を一塊に切除する膵頭十二指腸切除術を施行します。

また、がんの広がる範囲によっては 肝臓切除と膵頭十二指腸切除を同時に行う必要があります。さらに、進行例に対しては拡大手術後に化学療法を加えた 集学的治療を行い、良好な治療成績を得ています。また局所進行切除不能胆管がんに対しては、兵庫県立粒子線医療センター・神戸陽子線センターなどと協力して、吸収性スペーサーを用いた粒子線治療も行っています。

胆嚢がん

胆嚢がんに対しても有効な治療法は外科的切除で、一般的には肝転移、腹膜播種のない症例が手術適応となります。 胆嚢がんに対する手術術式は、その進行度に応じて決定され、単一の定型手術が存在しませんが、基本的には早期がんには 胆嚢摘出術が、進行がんには各種の肝切除を含めた拡大手術が施行されます。肝切除が施行される症例では 十分な残肝予備能を有していることが必要となります。また、胆嚢がん進行例に対しても胆管がん同様に術後に化学療法を 加えた集学的治療を行い、良好な治療成績を得ています。

十二指腸乳頭部がん

乳頭部がんは近年、胃内視鏡による検診の普及により早期がんで発見されることが多く、当科の経験症例でも最近は約6割が 早期がんです。当科では乳頭部がんの進行度を手術前に消化器内視鏡専門医と共同で討論しながら治療方法を検討しています。 手術は膵頭十二指腸切除術を標準術式としています。

胆道がんに対する化学療法

当科では胆道がんに対する抗がん剤の効果の基礎的検討をもとに抗がん剤ゲムシタビン,S-1,シスプラチンをいち早く進行・再発胆管がんの治療に導入してきました。又、胆道がんに対する粒子線治療も導入し、2012年末までに232例の治療を行い、日本有数の症例数を経験しています。

また、2010年より関西広域での関西肝胆道オンコロジーグループ(KHBO)に参加し、新しい抗がん剤治療に関する様々な臨床試験を実施しています。

がん以外の疾患(良性疾患)について

胆道良性疾患

胆嚢結石、胆嚢ポリープ、総胆管結石などの良性疾患に対しては、内視鏡外科学会技術認定医を中心として 積極的に安全確実な腹腔鏡下手術を施行しています。

胆石症について

胆石は、胆嚢や胆管(胆道)に形成された胆汁成分の結晶の集合体で、胆汁色素であるビリルビンやコレステロール が主な成分です。結石が胆嚢内にある場合を胆嚢内結石症、総胆管内にある場合を総胆管結石症といいます。 総胆管結石は胆嚢から移動した結石によるものと、総肝胆管内に原発するものがあります。

胆管系が結石などによって閉塞すると細菌が繁殖、胆道感染を起こし、ときには肝膿瘍や細菌性胆管炎という、生命にかかわる感染症に進行することもあります。 この様な状態で細菌が血流によって広がり全身のさまざまな部分に感染が拡大し敗血症と言われる生命に関わる状態に陥る事もあります。

また胆嚢内から総胆管に結石が落下し総胆管の出口(十二指腸乳頭)付近で閉塞を生じると急性膵炎の原因ともなります。胆嚢結石症は女性に多くみられ、胆石形成の危険因子は高齢、肥満、過度の疲労、食生活、胆石の家族歴などが あります。その約50%は症状はありません。診断には、腹部超音波検査、腹部CT検査、腹部MRI検査がおこなわれますが、急性胆嚢炎や胆管炎を起こしている場合には血液検査による肝機能異常が診断の材料となります。

治療(手術:腹腔鏡下胆嚢摘出術)

胆石による腹痛(胆石発作)が認められる場合、胆嚢を手術にて摘出する適応となります。胆嚢を摘出しても一時的に消化吸収能が低下(下痢、便秘など)する場合がありますが、直に改善し将来的な消化吸収能に変化は無く、手術後に特別な食事制限は必要ありません。

現在、胆嚢摘出術の約90%は腹腔鏡下で行われますが、がんの疑いがある場合や以前に腹部の手術を受け腹腔内の癒着が高度の場合、腹腔鏡下での手術が出来ない場合があります。腹腔鏡下手術では、全身麻酔下に腹壁に小さな切開(0.5~1cm前後)を4か所に加え、その切開部から内視鏡および鉗子を挿入し胆嚢を摘出します(まれに手術中に開腹手術への変更の可能性があります)。

また、2010年より臍部の創1ヶ所で胆のうを摘出する単孔式手術を開始し、現在多くの患者様に施行しています。これらの手術は、従来の開腹手術に比べ身体への負担が少なく、手術創部の疼痛など手術後の痛みが軽減され、入院日数や術後に仕事を休む日数の大幅な短縮が可能になりました。

  • 腹腔鏡下胆嚢摘出術
  • 腹腔鏡下胆嚢摘出術

膵・胆管合流異常

膵・胆管合流異常とは膵管と胆管が十二指腸壁外で合流する先天性の奇形と定義されています。これらの 膵・胆管合流異常症例では胆道がんが高率に発生するために、予防的に手術が必要です。 当科では胆管非拡張例では腹腔鏡下胆嚢摘出術、先天性胆道拡張症のような胆管拡張例では拡張胆管切除・胆道再建術を施行しています。また、当科は兵庫県下で数少ない日本膵・胆管合流異常研究会の症例登録施設になっています。

当科における胆道がんの治療成績 (~2020年12月)

腹腔鏡下胆嚢摘出術

腹腔鏡下胆嚢摘出術

腹腔鏡下胆嚢摘出術

腹腔鏡下胆嚢摘出術

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