臨床治験・臨床試験・先進医療
当科は肝胆膵癌の専門施設として、手術を中心とした標準治療の豊富な実績を有しています。しかしながら、現在の標準治療だけでは治療が難しいケースや、新しい治療法によって体への負担の軽減が見込めることも少なくありません。
当科では常に新しい治療法の開発と治療域の拡大を目的として、臨床治験や先進的医療を行っています。ご興味のある方や、治療法に困っておられる方は、ぜひご遠慮なくお問い合わせください。
肝臓
肝切除における術中胆道造影超音波併用リークテストの有用性に関する臨床試験
参加・治療対象 |
肝疾患に対して肝切除を予定している患者さま |
目的・プロトコール・内容 |
肝切除の合併症の一つである胆汁漏を防止するために、術中にリークテストという胆汁の漏れを調べる手技を行いますが、本試験ではソナゾイドという造影剤を注入して超音波で胆管を確認することにより確実にリークテストを行うことを目的としています。これによりリークテストの精度が向上し、胆汁漏の予防にもつながると考えています。 |
症例数(期間) |
目標症例数 100例(2025年3月31日まで) |
研究代表者 |
福本 巧(神戸大学 肝胆膵外科) |
参加施設 |
神戸大学医学部附属病院 |
当院での責任者・問合せ先 |
福本 巧(fukumoto@med.kobe-u.ac.jp) |
切除可能肝細胞癌に対する陽子線治療と外科的切除の非ランダム化同時対照試験
参加・治療対象 |
切除可能な肝細胞癌患者さま |
目的・プロトコール・内容 |
根治切除可能な初発・単発・結節型肝細胞癌患者を対象として、標準治療である外科的切除に対して、試験治療である陽子線治療が全生存期間で劣っていないことを非ランダム化同時対照試験により検証する。 |
症例数(期間) |
目標症例数 290例(登録期間6.5年、追跡期間5年 ) |
研究代表者 |
秋元哲夫(国立がんセンター東病院 放射線治療科) 佐野圭二(帝京大学医学部 外科学講座) |
参加施設 |
神戸大学、国立がんセンター、他多数 |
当院での責任者・問合せ先 |
福本 巧(fukumoto@med.kobe-u.ac.jp) |
胆道
KHBO1901 肝葉切除を伴わない胆道癌切除例を対象としたゲムシタビン/シスプラチン(GC)併用療法とゲムシタビン/S-1(GS)併用療法の術後補助化学療法のランダム化第II相試験
参加・治療対象 |
当院で手術を受けられる患者さんが対象です。 |
目的・プロトコール・内容 |
肝切除を伴わない根治切除を施行した胆道癌(肝門部胆管癌、遠位胆管癌、胆嚢癌、乳頭部癌)に対し、術後補助化学療法としてGC群はゲムシタビン(1,000 mg/m2)およびシスプラチン(25 mg/m2)を点滴し、GS群はゲムシタビン(800 mg/m2)点滴およびS-1(50-75 mg/日)を内服し、術後 GC 療法および術後GS療法の有効性・安全性をランダム化比較試験にて検証する。ゲムシタビン、シスプラチンは1日目、8日目に点滴し、S-1は朝夕食後の 1 日 2 回、14 日間(28回)連日経口投与する。1コースは21日間で、 これを8 コースまで施行する。 |
症例数(期間) |
106例 |
研究代表者 |
柳本泰明 |
参加施設 |
神戸大学、他多施設共同研究 |
当院での責任者・問合せ先 |
柳本泰明(yanagimh@med.kobe-u.ac.jp) |
JCOG1920 切除可能胆道癌に対する術前補助化学療法としてのゲムシタビン+シスプラチン+S-1(GCS)療法の第III相試験
参加・治療対象 |
当院で手術を受けられる患者さんが対象です。 |
目的・プロトコール・内容 |
胆道癌(肝内胆管癌、肝門部胆管癌、遠位胆管癌、胆嚢癌、乳頭部癌)に置いて標準治療とされる手術+術後S-1に対して、術前補助化学療法としてゲムシタビン(1,000 mg/m2)およびシスプラチン(25 mg/m2)の点滴、S-1(80-120 mg/body)の内服を行い、術後S-1内服を行う。標準治療に対する術前GCS治療の有効性をランダム化比較試験にて検証する。ゲムシタビン、シスプラチンは1日目に点滴し、S-1は朝夕食後の1日2回、7日間連日経口投与、7日間休薬する。2週間を1コースとし計3コース行う。術後S-1補助化学療法は28日間連日経口投与・14日間休薬し、これを4 コース施行する。 |
症例数(期間) |
300例 |
研究代表者 |
奥坂拓志 |
参加施設 |
神戸大学、国立がん研究センターなど(多施設共同研究) |
当院での責任者・問合せ先 |
柳本泰明(yanagimh@med.kobe-u.ac.jp) |
膵臓
膵癌に対する膵体尾部切除術におけるIsolation procedure vs. Conventional procedureの無作為化比較第Ⅱ相試験
参加・治療対象 |
切除可能膵癌で膵体尾部切除術を受ける患者 |
目的・プロトコール・内容 |
浸潤性膵管癌に対する膵体尾部切除術(膵尾部切除術を含む)において、脾静脈を最後に離断する標準手技(conventional procedure)群に対して、脾動静脈を先行して離断する手技(isolation procedure)群の有用性を検討する。 |
症例数(期間) |
100例 (2025年 9月 30日まで) |
研究代表者 |
山上 裕機(和歌山県立医科大学第二外科) |
参加施設 |
神戸大学、他全国10施設 |
当院での責任者・問合せ先 |
外山 博近(准教授)(toyama@med.kobe-u.ac.jp) |
切除可能膵癌に対する腹腔鏡下膵体尾部切除術の開腹膵体尾部切除術に対する非劣性を検証するランダム化比較第III相試験
参加・治療対象 |
切除可能膵癌で膵体尾部切除術を受ける患者 |
目的・プロトコール・内容 |
切除可能膵体尾部癌患者を対象に、標準治療である開腹膵体尾部切除術(Open distal pancreatectomy:ODP)に対する腹腔鏡下膵体尾部切除術(Laparoscopic distal pancreatectomy:LDP)の非劣性をランダム化比較第III相試験において検証する。 |
症例数(期間) |
370例 (2032年2月29日まで) |
研究代表者 |
中村 雅史(九州大学臨床腫瘍外科) |
参加施設 |
神戸大学、他全国41施設 |
当院での責任者・問合せ先 |
外山 博近(准教授)(toyama@med.kobe-u.ac.jp) |
切除不能膵癌に対するNab-paclitaxel /Gemcitabine /S-1 (NGS) 併用療法の第Ⅰ/Ⅱ相試験
参加・治療対象 |
非切除、非治癒切除膵癌で切除以外の治療(化学療法、放射線療法)がされていない患者 |
目的・プロトコール・内容 |
- 第Ⅰ相部分
- 切除不能膵癌に対するNGS療法の毒性を評価し、用量制限毒性(DLT)の発現頻度により第Ⅱ相試験における推奨用量(RD: Recommended Dose)を決定する。
- 第Ⅱ相部分
- 第Ⅰ相試験にて決定した推奨用量における有効性および安全性を検討する。
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症例数(期間) |
第Ⅰ相部分:各投与量レベル最大6例(合計最大24例) 第Ⅱ相部分:50例(第Ⅰ相部分の同レベルの患者も含む) (2025年9月30日まで)
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研究代表者 |
今村 善宣(神戸大学腫瘍血液内科) |
参加施設 |
神戸大学 |
当院での責任者・問合せ先 |
外山 博近(准教授)(toyama@med.kobe-u.ac.jp) |
膵癌におけるインドシアニングリーン(ICG)静脈内投与下近赤外線スコープによる腹腔鏡下の遠隔転移検索の有用性についての試験
参加・治療対象 |
手術での切除あるいは放射線治療を企図しており、審査腹腔鏡を行う予定の患者 |
目的・プロトコール・内容 |
膵癌で切除を企図する患者に対して、審査腹腔鏡を施行する際、従来の腹腔鏡による観察(通常観察)に加えて、インドシアニングリーンを用いた近赤外線スコープでの観察によって、通常観察で検出し得なかった転移巣の検出が可能かどうかを検討する探索的研究である。 |
症例数(期間) |
40例 (2024年2月28日まで) |
研究代表者 |
福本 巧 (神戸大学肝胆膵外科) |
参加施設 |
神戸大学、神戸大学医学部附属国際がん医療・研究センター |
当院での責任者・問合せ先 |
外山 博近(准教授)(toyama@med.kobe-u.ac.jp) |
膵切除後患者に対するアミノ酸製剤を用いた術後栄養療法の有用性に関する前向き試験
参加・治療対象 |
膵頭十二指腸切除術、膵全摘術を受ける予定の患者 |
目的・プロトコール・内容 |
膵切除後は、手術侵襲や消化管機能低下による経口摂取量の低下、膵外分泌機能不全および神経叢郭清による消化吸収不良により高頻度で低栄養状態に陥る。本試験では膵切除後のアミノ酸製剤を用いた栄養療法が、術後の栄養状態に与える影響を明らかにすることを目的とする。 |
症例数(期間) |
25例 (2024年12月31日まで) |
研究代表者 |
外山 博近(神戸大学肝胆膵外科) |
参加施設 |
神戸大学 |
当院での責任者・問合せ先 |
外山 博近(准教授)(toyama@med.kobe-u.ac.jp) |