診療内容

ホーム > 診療内容 > スペーサー+粒子線治療(膵癌など)

スペーサー+粒子線治療(膵癌など)

腹部悪性腫瘍に対するスペーサー手術

消化管が近接した腹部悪性腫瘍に対する粒子線治療の適応を広げるための外科治療

粒子線治療は従来の放射線治療と比較して、高い線量集中性や生物学効果を有しているため、根治度が高く悪性腫瘍の治療に適しているとされています。腹部悪性腫瘍の多くが、粒子線治療が有効とされ優れた治療効果が多数報告されています。

一方で粒子線治療の最大の弱点は、胃や腸などの消化管が近接していると、消化管の放射線障害が大きな問題となるため、根治的線量の照射が出来ない事です。この治療限界を克服すべく、当科では第1段階として開腹下に腫瘍と消化管の間にスペーサーという遮蔽物を留置し、術後に粒子線照射を施行する2段階治療を考案し、15年以上にわたり多くの患者様に治療を行ってきました。

今まではスペーサーとして非吸収性物質を挿入していましたが、神戸大学が主な開発を担当した吸収性スペーサーであるネスキープが2019年6月より実臨床で使用可能となり、現在では全例ネスキープを留置しています。スペーサー留置術自体も2019年12月から保険収載されており、ますます適応拡大が進んでいます。当科は我が国で最も多くのスペーサー手術の経験を有しております。いつでもご相談ください。

スペーサー手術+粒子線治療

腹部悪性腫瘍に対するスペーサー手術

進行膵癌に対する粒子線治療

消化管が近接した腹部悪性腫瘍に対する粒子線治療の適応を広げるための外科治療

2022年4月より、切除不能膵癌に対する粒子線治療が保険適応となりました。粒子線治療は従来の放射線治療と比較して、高い線量集中性や生物学効果を有しているため、悪性腫瘍の治療に適しているとされています。

しかし一方で、膵臓は胃や十二指腸などの消化管と近接しており、消化管に高線量の粒子線があたると重大な障害(炎症や出血、穿孔など)を引き起こす可能性があるため、膵臓に十分な線量の照射ができないことが問題となっていました。そこで当科が中心となり、手術でスペーサーと呼ばれる人工物を消化管と膵臓の間に留置して消化管を遠ざけた上で、膵臓に十分に粒子線を照射できる治療法を開発しました(スペーサー治療参照)。

兵庫県立粒子線医療センターは膵癌に対する粒子線治療では日本最多の実績を有しており、当科では兵庫県立粒子線医療センターや神戸陽子線センターと連携して切除不能膵癌や進行膵がんの新しい粒子線治療もすすめています。

進行膵体部癌に対する吸収性スペーサーを用いた高線量粒子線治療の試み

粒子線照射後に生体内で自然吸収されるスペーサーを膵臓と胃や十二指腸の間に留置し、高線量粒子線を照射する治療法です。当科が日本で最も多く行っています(下図)。

局所進行膵癌に対する切除+粒子線治療

進行膵癌の切除後に粒子線照射を行い、さらに根治性を高める試みを行なっています。

当科または兵庫県粒子線医療センターにお問い合わせください。

図16.膵体部癌に対する生体吸収性スペーサー留置+粒子線治療

膵体部癌に対する生体吸収性スペーサー留置+粒子線治療

PAGE TOP