研究成果

2023年

2023.05

細川友誠先生の論文が「Hepatology Communications」に掲載されました。

遺伝的に脂肪組織インスリン抵抗性を生じるマウスに非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を誘導する食事を与えると、体重増加を生じることなく、肝臓の炎症、線維化が増悪することが明らかとなりました。本モデルは他のNASHモデルと比べて、より早期・より均質的にNASHが生じるため、今後非肥満NASH患者の病態解明につながる可能性があります。

Hepatol Commun. 7(6):e0161, 2023.

2023.04

清家雅子先生の論文が「Biochemical and Biophysical Research Communications」に掲載されました。

膵β細胞におけるmTORC1活性調節において、GCN2の下流で発現するl-アスパラギナーゼが、14-3-3との結合を介してTSC2を競合的に活性化し、mTORC1活性を制御していることが明らかにしました。

Biochem Biophys Res Commun. 2023 Apr 16;652:121-130.

滋賀医科大学との共同研究の論文が「Endocrinol Diabetes Metab Case Rep」に掲載されました。

学校検尿で尿糖陽性となった17歳高校生の受診を契機に、発端者、母、祖父がインスリン抵抗症と診断された。遺伝子解析を実施したところ、インスリン受容体に新規変異(p.Val1086del)をヘテロで認めA型インスリン抵抗症の確定診断に繋がった。母は50歳、祖父は77歳で糖尿病を発症しており、同変異であっても臨床経過が異なっていた。

Endocrinol Diabetes Metab Case Rep. 2023: 22-0362.

2023.03

権 映月さんの論文が「Journal of Diabetes Investigation」に掲載されました。

新規糖尿病治療薬であるイメグリミンは膵β細胞からのインスリン分泌促進作用を有するが、その作用メカニズムの詳細は不明な点が多い。本研究により、イメグリミンはマウスにおいて消化管ホルモンであるインクレチン分泌を促進するという新たな作用メカニズムを見出した。さらに、同機構がイメグリミンによる血糖降下作用の一部を担うことを示した。

J Diabetes Investig. 2023 Mar 28. doi: 10.1111/jdi.14001. Online ahead of print.

2023.02

杏林製薬との共同研究が「iScience」に掲載されました。

Ligand fishingという手法を用いて、Prohibitin1/2(PHBs)が、AMPKと結合しその働きを抑制するという新規メカニズムを明らかとしました。AMPKとPHBsの結合を阻害する化合物も得られており、新しいAMPK活性化薬の創出につながることが期待されます。

iScience. 2023 Feb 28;26(4):106293. doi: 10.1016/j.isci.2023.106293.

山田倫子先生の論文が「Scientific Reports」に掲載されました。

高齢者の入り口である65歳という年齢では、肥満は糖尿病や高血圧に対する高いリスクになりますが、脂質異常症に対するリスクはそれらほど高くありませんでした。またこの傾向は女性で顕著である事を明らかにしました。

Sci Rep. 2023 Feb 9;13(1):2346.

初期研修医 佐藤郷介先生の論文が「Journal of Diabetes Investigation」に掲載されました。

AIによる蛋白質立体構造予測プログラムAlphaFoldを用いてインスリンシグナルに関連する蛋白質の予測構造を俯瞰することで、その構造的特徴やシグナル伝達における機能を新たな視点から考察した報告です。(佐藤先生は2022年度に当科を初期研修医としてローテートされました)

J Diabetes Investig. 2023 Feb 14. doi: 10.1111/jdi.13988

国際症例カンファレンスに関する論文が「Journal of Endocrine Society」に掲載されました。

COVID-19によるパンデミック後に急激に進んだビデオ会議システムを応用し、2020年7月にいち早く内分泌疾患という希少疾患の教育方法として取り入れた、新たな国際症例カンファレンスの方法と実際、その成果を報告した論文です。

Journal of the Endocrine Society, Volume 7, Issue 4, April 2023, bvad023

2023.01

穂積かおり先生の論文が「Scientific Reports」に掲載されました。

新規経口血糖降下薬であるイメグリミンは肝細胞においてミトコンドリア呼吸、AMPK活性、遺伝子発現に対してメトホルミンと同様の薬理学的効果を発揮する一方で、ミトコンドリア機能に関連する特定の遺伝子の発現に対する効果はメトホルミンと異なることを明らかにしました。

Scientific Reports, Article number: 746 (2023),Published: 13 January 2023

廣田勇士、山本あかね先生が参加された論文が「Internal Medicine」に掲載されました。

SMBGのアドヒアランスとisCGM使用パターンによる階層クラスター分析を行った結果、3つのクラスターに分類でき、クラスター1(17.7%;主にisCGMデータを参考にし、SMBGをあまりしない)の者は平均年齢が若く、クラスター2(34.0%;SMBG頻度は高く、isCGMデータをあまり参考にしない)の者はリブレ使用期間が短く、クラスター3(SMBGとisCGMの両方のデータを参考にする)の者はTIRが低く、甘い飲料を飲む割合、重度の糖尿病ストレスの割合が多いことが明らかとなりました。

Internal Medicine,Article ID: 0639-22, Advance online publication: January 12, 2023

藤田泰功先生の論文が「Journal of Endocrine Society」に掲載されました。

癌に対する免疫チェックポイント阻害剤の使用により内分泌障害が生じることはよく知られていますが、1型糖尿病と下垂体炎の併発は極めてまれです。
本研究ではこの二つの内分泌障害を呈した自験例とこれまでの全報告例をまとめ、その特徴を明らかにしました。(奈良県立医科大学との共同研究)

Journal of the Endocrine Society, 2023;, bvad002,

千船病院との共同研究が「Obesity Surgery」に掲載されました。

術前血清コルチゾール値が10µg/mL以上の男性では腹腔鏡下スリーブ状胃切除術後の体重減少が乏しいことが示されました。

Obesity Surgery. 2023 Jan 10. doi: 10.1007/s11695-022-06415-z.

大町侑香、浦井伸先生の論文が「Frontiers in Endocrinology」に掲載されました。

Kenny–Caffey症候群2型は、2013年に報告された、副甲状腺機能低下症と低身長を含む稀な遺伝子疾患です。我々は比較的高齢で診断に至った症例を経験しました。大半は小児での診断例であり、加齢に伴いどのような経過を辿るのかを考える上で有益なものとなり得ます。

Front. Endocrinol., 04 January 2023