研究成果

2025年

2025.04

小川渉先生らの論文がCardiovascular Diabetologyに掲載されました。

脂肪細胞特異的にインスリンシグナルを抑制したマウスでは、心臓の分岐鎖アミノ酸代謝の変調により心筋障害を発生することが明らかになりました。インスリン抵抗性による心筋症の新たな発症機構として注目されます。

Cardiovasc Diabetol. 2025 Apr 16;24(1):167. doi: 10.1186/s12933-025-02725-5.

齋藤先生、西影先生、廣田先生が参加された論文が「JMIR Research Protocols」に掲載されました。

1日6時間以下の睡眠しかとれていない2型糖尿病患者を対象に、就寝行動を改善して睡眠時間を延ばすモバイルヘルス介入(BedTime)の有効性を検証するパイロット試験です。ウェアラブル機器とSMSを用いた12週間の介入により、HbA1cや睡眠時間、介入の使いやすさなどを評価します。

JMIR Res Protoc 2025;14:e64023

藤井智子先生の論文が「Journal of Endocrinological Investigation」に掲載されました。

嚢胞性褐色細胞腫の嚢胞液にカテコラミンが高濃度に含まれ、末梢血カテコラミンパターンと嚢胞液のカテコラミンパターンが一致するわけではないことなどを示しました。

J Endocrinol Invest. 2025 Apr 16. doi: 10.1007/s40618-025-02579-4.

小川渉先生らの論文がObesity Research and Clinical Practiceに掲載されました。

肥満症治療薬ウゴービの国内第3相試験のサブ解析により、治療による内臓脂肪の減少が血清脂質プロファイル、肝機能、炎症マーカーの改善などと相関することが明らかとなりました。内臓脂肪の病理的意義の重要性を示すエビデンスの一つと考えられます。

Obes Res Clin Pract. 2025 Apr 4:S1871-403X(25)00040-7. doi:10.1016/j.orcp.2025.03.003.

岩橋泰幸先生の論文が「Diabetology International」に掲載されました。

脂肪滴蛋白であるCIDEファミリー(CIDEA、CIDEB、CIDEC)のうち、ヒトの脂肪組織ではCIDEC(マウスでは白色脂肪細胞の巨大な単房性脂肪滴形成に重要なアイソフォーム)が脂肪の貯蔵に最も密接に関連している事を解明しました。千船病院との共同研究です。

Diabetol Int (2025).

2025.03

坂東弘教先生の論文が「Endocrine Journal」に掲載されました。

下垂体機能低下症について先天性の原因遺伝子、後天性の病態について解説した総説です。同誌2025年6月号のFeatured Articleに選定頂きました。

Endocr J. 2025 Mar 27. doi:10.1507/endocrj.EJ25-0035.

西影星二先生の論文が「Journal of Diabetes Investigations」に掲載されました。

日本肥満学会との連携によって、電子診療録直結型肥満症データベース(J-ORBIT)を構築したことを報告しました。7施設から登録された1,169例を対象にベースラインデータの解析を実施し、BMIが高い群では、高尿酸血症・痛風、睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群、運動器疾患、腎疾患、小児期肥満の既往や肥満の家族歴の頻度が高い傾向を示し、耐糖能異常はBMI上昇とともに減少する傾向を認めることを明らかにしました。

J Diabetes Investig. 2025 Mar 27. doi: 10.1111/jdi.70021.

プレスリリース

福岡秀規先生の論文が「Endocrine Journal」に掲載されました。

Cushing病の発見から外科手術までの管理をこれまでのエビデンスと筆者のオピニオンを含めてまとめた日本内分泌学会からの招待総説論文です。同誌2025年5月号のFeatured Articleに選定頂きました。

Endocr J. 2025 Mar 7. doi: 10.1507/endocrj.EJ24-0309.

坂口一彦、菅原健二、細川友誠、伊藤潤、森田靖子先生の論文が「Communications Medicine」に掲載されました。

「グルコースが腸管内腔へ排出される」という現象を発見し、排出された糖は腸内細菌の栄養として使われ、短鎖脂肪酸という健康維持に重要な物質が産生されることを明らかにしました。本現象は、糖尿病治療薬メトホルミンによってその効果が増強されることもわかり、この増強作用がメトホルミンの血糖低下作用に関わる可能性も考えられます。

Commun Med (Lond). 2025 Mar 3;5(1):44.

プレスリリース

2025.02

浦井伸先生の論文が「Nature Reviews Endocrinology」に掲載されました。

当研究室の多くの先生方が積み重ねてきた研究を基に、抗PIT-1下垂体炎が免疫チェックポイント阻害薬によって発症し得ることをCommentとして報告しました。

Nat Rev Endocrinol (2025).

福岡秀規先生の論文が「Pituitary」に掲載されました。

成人GH分泌不全症(AGHD)と診断がついた症例において、GH補充療法が行われていない症例は少なくありません。本研究は日本最大級の医療データベースであるMDVデー タベースを用い、未治療AGHD患者を抽出し、健常者よりも代謝合併症頻度が高いことを明らかにしました。

Pituitary. 2025 Feb 18;28(2):32.

当院が参加した多施設臨床研究の事後解析論文が「Journal of Diabetes Science and Technology」に掲載されました。

isCGMの効果を検討した多施設クロスオーバー試験であるISCHIA研究の事後解析として、1型糖尿病患者におけるCGMで得られた変動係数(%CV)と重症・非重症低血糖の リスクとの関連を調査しまし。%CVが約42%を超えると重症低血糖のリスクが高まり、非重症低血糖のリスクに関しては37%が閾値となる可能性が示唆されました。

J Diabetes Sci Technol. 2025: 19322968251318756.

髙吉倫史先生の論文が「Diabetology International」に掲載されました。

当院に通院しているSAP使用中の1型糖尿病患者78名を対象に、緊急事態宣言前・中・後の血糖管理を比較しましたところ、緊急事態宣言中に平均血糖値の低下、TIRの改善が認められ、特に宣言前のTIRが70%以下の患者で顕著な改善が認められました。本研究は、緊急事態宣言が血糖管理に与える影響を示し、今後のパンデミック時の糖尿病管理戦略の参考となる可能性があります。

Diabetol Int (2025)/doi:10.1007/s13340-025-00802-4

2025.01

小川渉先生らの論文がObesity Research and Clinical Practiceに掲載されました。

肥満症治療薬ウゴービの国内第3相試験のサブ解析により、体重が低めの例、女性、2型糖尿病を伴わない例などに本剤の減量効果が大きいことが明らかになりました。

Obes Res Clin Pract. 2024 Nov-Dec;18(6):457-464. doi:10.1016/j.orcp.2025.01.00

西影星二先生の論文が「Obesity Research & Clinical Practice」に掲載されました。

耐糖能障害または軽症糖尿病のある過体重者において、間歇スキャン式CGM(isCGM)をセルフモニタリングツールとして使用することは、有意な体重減少には繋がらなかったものの、食行動に影響を与え血糖変動を減少させる可能性を示しました。

Available online 30 January 2025/ doi:10.1016/j.orcp.2025.01.008

西影星二先生の論文が「Endocrine Journal」に掲載されました。

明らかな骨病変を伴わない成人型低ホスファターゼ症患者において、アスフォターゼアルファが有効であった新規ALPL遺伝子変異症例を報告しました。

Endocr J. 2025 Jan 29. doi: 10.1507/endocrj.EJ24-0431.

西影星二先生の論文が「Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism」に掲載されました。

CPR/IRIモル比は、インスリン抵抗症の診断指標であるIRI値単独よりも高い精度で、A型インスリン抵抗症と2型糖尿病とを判別できることを見出し、A型インスリン抵抗症の早期かつ正確な診断のための信頼性の高い臨床マーカーであることを明らかにしました。

J Clin Endocrinol Metab. 2025 Jan 28:dgaf043.

鈴木正暉先生の論文が「Hormones」に掲載されました。

免疫チェックポイント阻害薬(ICI)誘発性糖尿病患者において、発症早期にMRI拡散強調画像で膵に高信号強度を呈した症例報告です。ICI使用中の高血糖時には同診断の 一助になりうることを提案しています。放射線科との共同研究です。

Hormones (2025).