これまでの研究成果

2021年

2021.12

坂東弘教先生の総説が「Best Practice & Research Clinical Endocrinology & Metabolism」に掲載されました。

我々がこれまで報告してきた、抗PIT-1下垂体炎・腫瘍随伴後天性ACTH単独欠損症、免疫チェックポイント阻害薬関連下垂体炎の病態解析から提唱した、新たな疾患概念“傍腫瘍自己免疫性下垂体炎”についての総説論文です。

Best Pract Res Clin Endocrinol Metab. 2021 Nov 25;101601.

小川渉先生、廣田勇士先生が作成に参加された「日本人の肥満2型糖尿病患者に対する減量・代謝改善手術に関するコンセンサスステートメント」の英語版が 「Diabetology International」に掲載されました。

日本糖病学会、日本肥満学会、日本肥満症治療学会の3学会からなる合同委員会が、日本人の肥満2型糖尿病患者に対する減量・代謝改善手術に関するコンセンサスステートメントをまとめて発表しました。

Diabetology International

小川渉先生、廣田勇士先生が参画されたインスリン抵抗症に関する委員会報告が掲載されました。

糖尿病学会に設定された「インスリン抵抗症の疾患分類と診断基準策定のためのWG」により、新たなインスリン抵抗症の疾患分類と診断基準が策定されました。インスリン遺伝子異常によって起こる遺伝的インスリン抵抗症と,インスリン受容体に対する自己抗体によって起こるB型インスリン抵抗症の2型に分類され、それぞれの診断基準および重症度が示されました。

小川 渉, 荒木 栄一, 石垣 泰, 廣田 勇士, 前川 聡, 山内 敏正, 依藤 亨, 片桐 秀樹
糖尿病64(11):561~568,2021

2022年1月 下記に英語版が同時掲載されました。
2021.11

森山記念病院との共同研究が「Pituitary」に掲載されました。

ドパミン作動薬抵抗性プロラクチノーマは治療に難渋し、薬物選択が限定されています。本論文は、難治性プロラクチノーマにCAPTEM療法(テモゾロミド+カペシタビン)が効果を示すことを示した初めての論文で、その効果を三次元培養系を用いて検討しました。

Pituitary. 2021 Nov 13. doi: 10.1007/s11102-021-01192-x

2021.09

医学部6年生土田仁美さんの論文が「Diabetology International」に掲載されました。

最近注目されているメトホルミンの消化管作用の中でも、人を対象としたFDG PETイメージングで明らかとなった知見についての総説論文です。

Diabetology International (2021). doi: 10.1007/s13340-021-00545-y

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2021.09.03

小川渉先生らが実施した医師主導治験で難治希少性糖尿病に対するSGLT2阻害薬の有用性が明らかになりました。

小川渉先生らは、希少疾患である治療抵抗性の糖尿病(インスリン抵抗症および脂肪萎縮性糖尿病)の患者を対象に、世界で初めてSGLT2阻害薬エンパグリフロジンの有効性および安全性を評価する医師主導治験を実施し、良好な成績を得ました。この結果は、神戸大学よりプレスリリースされました。

2021.08

竹内健人先生の論文が「Diabetology International」に掲載されました。

血糖変動性を反映するGAおよびGA/HbA1c比について、高結合能・低親和性インスリン抗体陽性糖尿病患者と、インスリン抗体陰性糖尿病患者とで比較したところ、前者では後者よりGAおよびGA/HbA1c比が高値であり、インスリン抗体の性質を予測するマーカーの一つとなることが示唆されました。

Diabetol Int (2021). doi: 10.1007/s13340-021-00528-z

芳野啓先生の論文が「Diabetology International」に掲載されました。

淡路医療センターとの共同研究で、免疫法でHbA1cが偽高値を示したα鎖の異常ヘモグロビン症(Hb Chad)の詳細な解析を行いました。
α鎖の異常ヘモグロビンの置換部位の抗原性の増加により免疫法で測定したHbA1cが偽高値となったことを世界で初めて報告しています。

Diabetology International. 13 August 2021

2021.07

末松那都先生の論文が「Journal of Diabetes Investigation」誌に掲載されました。

糖尿病患者の心機能が、収縮能・拡張能とも、クランプ法で測定したインスリン感受性と相関することを見いだしました。

J Diabetes Investig. 2021 Jun 3. doi: 10.1111/jdi.13608.

2021.06

山本雅昭先生・医学部6年中尾高浩君の論文が「Frontiers in Endocrinology」に掲載されました。

難治性Cushing病の病態と治療法についての最新の治験と展望についての総説論文で、医学部6年生の中尾高浩君も本論文の執筆に加わってくれました。

Front. Endocrinol., 16 June 2021

辻本泰貴先生の論文が「Journal of Endocrine Society」に掲載され、同誌のFeatured articleに選ばれました!

明石医療センターとの共同研究で、グルココルチコイド(GC)抑制により腫瘍が縮小した初めてのクッシング病症例を報告しました。また、患者由来組織の3D培養系を用いた新たな実験系を確立し、ACTHの特異な反応性を再現しました。

J Endocr Soc. 2021 Mar 30;5(6):bvab055. doi: 10.1210/jendso/bvab055.

2021.05

Abott社、英国リーズ大学との共同研究が「Diabetes & Vascular Disease Research」に掲載されました。

SAP療法中の1型糖尿病患者51名を対象に、kinetic parameterとglucoseレベルに基づいたcalculated HbA1c(cHbA1c)を評価したところ、estimated HbA1c(eA1c)やglucose management indicator (GMI)といった既存の血糖関連指標よりlaboratory HbA1cとの相関が強く、cHbA1cは優れた血糖関連指標となることが示された。

Diabetes & Vascular Disease Research May-June 2021: 1–6

蟹江慶太郎先生の論文が「Cancer Immunology, Immunotherapy」に掲載されました。

免疫チェックポイント阻害薬は、がん治療に広く用いられていますが、免疫関連有害事象(irAE)が問題となっており、その発症メカニズムは不明でした。本研究では、悪性腫瘍における異所性抗原の発現がirAEによる下垂体機能低下症の発症に関与することを明らかにしました。

Cancer Immunol Immunother. 2021 May 11. doi: 10.1007/s00262-021-02955-y. Online ahead of print.

小川渉先生の論文が「Diabetes, Obesity and Metabolism」に掲載されました。

EMPA-REG OUTCOME試験の結果をBMI層別化によるサブ解析を行った結果、非肥満、肥満、高度肥満に関わらず、エンパグリロフジンは心血管関連死亡を減少させることが明らかとなり、アジア人に限定した解析をおこなっても結果は同様でありました。

Diabetes Obes Metab. 2021 May 5. doi: 10.1111

2021.04

芳野啓先生の論文が「Biochemical and Biophysical Research Communications」に掲載されました。

SGLT2阻害薬は血糖改善作用に加え、NAFLD/NASHに対する改善作用を有する可能性が示されていますが、そのメカニズムは不明でした。本研究では、SGLT2阻害薬カナグリフロジンが肝臓において脂質メディエーターであるプロスタグランジンE2濃度を増加させることにより肝細胞に蓄積した脂肪滴を減少させるという新規メカニズムを同定しました。

Biochem Biophys Res Commun. 2021 Apr 13;557:62-68.

2021.02

藤田泰功先生の論文が「Frontiers in Endocrinology」に掲載されました。

ACTH単独欠損症は不均一な病態を呈するがその明確な分類はなされていなかった。
本疾患が抗下垂体抗体の有無や臨床的特徴に基づいて3つに分類され、異なる病因・病態の関与が示唆されることを明らかにした。

Front. Endocrinol., 19 February 2021

伊藤潤先生の論文が「Diabetes, Obesity and Metabolism」のカバーイメージに採択されました。

Diabetes, Obesity and Metabolism, Volume 22, Number 3, March 2021

倉本尚樹先生の論文が「Scientific Reports」に掲載されました。

運動では骨格筋への力学的負荷によって筋量が増加します。この過程にPDK1が重要な役割を担い、PDK1の上流ではβ2アドレナリン受容体からのシグナルが機能することを明らかとしました。

Sci Rep. 2021 Feb 10;11(1):3447. doi: 10.1038/s41598-021-83098-z.

2021.01

生天目侑子先生の論文が「Journal of Diabetes Investigation」に掲載されました。

褐色脂肪細胞は熱産生のエネルギー基質として脂肪酸やグルコースを利用しますが、これらのエネルギー基質利用の変換メカニズムは不明でした。本研究により、KLF15と呼ばれる転写因子が、褐色脂肪細胞において摂食・絶食に伴うエネルギー状態の変化による脂肪酸とグルコースの間のエネルギー基質利用変換を制御することが明らかとなりました。

J Diabetes Investig. 2021 DOI: 10.1111/jdi.13511

蟹江慶太郎先生の論文が「Journal of Endocrine Society」に掲載されました。

胸腺腫瘍ではなく悪性腫瘍を伴った抗PIT-1下垂体炎の2症例を初めて報告しました。悪性腫瘍における異所性抗原提示が、本疾患の病因に関連することも明らかとなりました。

J Endocr Soc. 2020 Dec 31;5(3):bvaa194. doi: 10.1210/jendso/bvaa194.