これまでの研究成果

2024年

2024.12

辻本泰貴先生の論文が「Frontiers in Endocrinology」に掲載されました。

クッシング症候群患者に対するメチラポン単回投与後のコルチゾール応答性を評価しました。この知見は、メチラポンの個別化治療計画の指針となる可能性があります。

Front. Endocrinol. (2024) 15:1511155. doi: 10.3389/fendo.2024.1511155

芳村魁先生の論文が「Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism」に掲載されました。

1型糖尿病患者を対象に、インスリン量を予測する機械学習モデルを開発しました。体重や腹囲を用いて良好な精度で予測することに成功し、インスリン治療におけるAI・機械学習の可能性を示しました。

J Clin Endocrinol Metab. 2024 Dec 11:dgae863.

2024.11

坂東弘教先生の論文が「Hormones」に掲載されました。

SGLT2阻害薬使用中に血小板減少を起こした症例報告。頻度は稀ではあると考えられるものの、SGLT2使用時に血小板の評価を行うべきことを提案しています。

Hormones (Athens). 2024 Nov 14. doi: 10.1007/s42000-024-00614-2.

2024.10

多施設共同研究が「Diabetology International」に掲載されました。

1型糖尿病成人を対象に、isCGMとSMBGの費用対効果を比較したところ、isCGMは低血糖リスクを軽減し、QALY(調整生存年)を0.8年増加させ、費用対効果の閾値を下回る結果を示しました。昼間の低血糖が主な改善要因であることが示唆されました。

Diabetol Int (2024). doi:10.1007/s13340-024-00762-1

関連病院との共同研究が「Diabetology International」に掲載されました。

1型糖尿病成人を対象に、国際身体活動質問票短縮版(IPAQ-SF)の妥当性を、加速度計による客観的測定と比較検討しました。IPAQ-SFは各種身体活動の評価において加速度計との相関を示しましたが、過小評価の傾向が認められました。

Diabetol Int (2024). doi:10.1007/s13340-024-00759-w

2024.09

産婦人科との共同研究が「Journal of Diabetes Investigations」に掲載されました。

妊娠糖尿病(GDM)のスクリーニングにおける随時血糖(CBG)測定の有効性を検討。50gグルコース負荷試験(GCT)の1時間後血糖値と比較し、CBG測定単独では多くのGDMが見逃される可能性が示された。産婦人科との共同研究です。

J Diabetes Investig. 2024 Sep 18. doi:10.1111/jdi.14310.

大井佑夏先生の論文が「Pituitary」に掲載されました。

日本人AGHD患者を対象に、GHRTの効果を検討しました。脂質代謝、肝酵素、血圧、骨密度において有意な改善効果が見られました。一方で死亡や腫瘍、心血管イベントに 関連する有害事象の増加は認められませんでした。

Pituitary. 2024. doi:10.1007/s11102-024-01459-z

浦井伸先生の論文が「Endocrinology, Diabetes and Metabolism Case Reports」に掲載されました。

我々はこれまで悪性腫瘍や胸腺腫に随伴する自己免疫性下垂体炎に関する検討を行ってきました。しかしながら、悪性腫瘍を認め、下垂体機能低下症を呈する症例で、必 ずしも腫瘍随伴性下垂体炎を示すわけではないことを報告しました。

Endocrinol Diabetes Metab Case Rep. 2024 Sep 19;2024(3):23-0129.

小川渉先生が参画された、「サルコペニア肥満の診断基準」がGeriatrics & Gerontology Internationalに掲載されました。

日本肥満学会と日本サルコペニアフレイル学会の合同ワーキンググループで作成した「サルコペニア肥満の診断基準」が掲載されました。小川先生が委員として参加されておられます。

Geriatr Gerontol Int. 2024 Sep 10. doi: 10.1111/ggi.14978.

2024.08

一ノ瀬祐人、中辻萌先生の論文が「Journal of Neuroendocrinology」に掲載されました。

HPA axisのネガティブフィードバック機構に関する詳細は未解明な点が多いですが、大分子ACTHの変化過程を捉えることが出来たACTH非依存性クッシング症候群の一例を経験しました。この結果はHPA axisのフィードバック機構解明の一助になるかもしれません。

J Neuroendocrinol. 2024 Aug 13;e13438. doi: 10.1111/jne.13438.

多施設共同研究が「Diabetology International」に掲載されました。

1型糖尿病成人を対象に、isCGMのスキャン頻度とCGM指標(TIR, TAR, TBR)の昼夜変動との関連性を解析。スキャン頻度の増加は、午後にTIRの増加、夜間にTBRの減少に寄与することが示された。心理的要因がスキャン頻度に影響を与えることも明らかとした。

Diabetol Int. 2024;15(4):828-836.

多施設共同研究が「The Journal of Medical Investigation」に掲載されました。

FreeStyleリブレの第1世代アルゴリズム(Gen.1)と第3世代アルゴリズム(Gen.3)の精度を直接比較する観察研究を行い、Gen.3がプロポーショナルバイアスを示さないことを明らかにした。

J Med Invest. 2024;71(3.4):225-231.Volume 71,Number 3,4

2024.07

大井佑夏、浦井伸先生の論文が「Endocrine」に掲載されました。

1型糖尿病患者においてHbA1cに季節性変動があることは知られています。CGM指標に季節性変動があるか検討したところ、mean SG, TAR, TIR,SDは「夏・秋」に良いという季節性変動を認めたため、1型糖尿病患者の血糖管理においてCGM指標の季節性変動も考慮すべきであることが示されました。

Endocrine. 2024 Jul 25. doi: 10.1007/s12020-024-03971-5.

小川渉先生の論文が「Journal of Diabetes Investigations」に掲載されました。

3,463 人の日本人isCGM使用者のグルコース値を分析し、糖尿病病型や治療法別の様々なCGM指標の特性を明らかにしました。

J Diabetes Investig. 2024 Jul 29.doi: 10.1111/jdi.14233. Online ahead of print.

本村悠馬、浦井伸先生の論文が「Endocrine」に掲載されました。

クッシング症候群の特異的症候を患者自身が認識することは難しく、医師が問診・診察で積極的にそれらの症候を拾い上げることが、クッシング症候群の早期診断に重要である可能性を示しました。

Endocrine (2024). June 25 doi: 10.1007/s12020-024-03935-9.

2024.06

野村和弘先生の論文が「Molecular Metabolism」に掲載されました。

転写因子アクチベーターの PGC-1α スプライシングバリアントが刺激応答性に発現増加することで、運動によるエネルギー消費や寒冷環境での体温保持が制御されること が明らかとなりました。

Mol Metab. 2024 Jun 15:86:101968.

神戸大学研究ニュースで紹介されました!

下記サイトで取り上げられています

坂東弘教先生・山本雅昭先生の論文が「Endocrine」に掲載されました。

後天性TSH, LH, FSH欠損症の症例を解析し、これらの3ホルモンに共通するα-subunit陽性細胞を特異的に認識する抗体を同定しました。

Endocrine. 2024 Jun 21. doi: 10.1007/s12020-024-03922-0.

2024.05

多施設共同研究が「Diabetes Obesity and Metabolism」に掲載されました。

1型糖尿病患者に対するイプラグリフロジン投与は、食後のグルカゴン分泌を増加させ、食後高血糖を悪化させることはなかったものの、低血糖から保護し血糖変動を減少させる可能性があることを明らかにしました。インスリン供給が十分でない状況下ではグルカゴン分泌の亢進はケトン体上昇を促進する可能性も示しました。廣田勇士・山本あかね先生が参画されています。

Diabetes Obes Metab. 2024; 26(5):1605-1614.

廣田勇士先生の論文が「Journal of Diabetes Investigations」に掲載されました。

遺伝的インスリン抵抗症および脂肪萎縮性糖尿病の8名を対象にした医師主導治験(EMPIRE-01)に引き続いて行われたEMPIRE-02試験では、エンパグリフロジンが52週間にわたり一定の安全性および有効性を示すことを明らかにした。

J Diabetes Investig. 2024 May 4. Epub ahead of print.

2024.04

浦井伸先生の論文が「Journal of Neuroendocrinology」に掲載されました。

抗PIT-1下垂体炎が免疫チェックポイント阻害薬関連下垂体炎の形態として発症し得ること、共通したHLAハプロタイプ、発症初期からのホルモン障害の過程と血中自己抗体の変化について明らかにしました。兵庫県立がんセンター消化器内科・当院病理診断科との共同研究です。

J Neuroendocrinol. 2024 Apr 17:e13395. doi: 10.1111/jne.13395

永野浩平先生・本村悠馬先生の論文が「Hormones」に掲載されました。

特徴的な甲状腺機能異常が、セレンと亜鉛両方の補充により改善した症例報告です。短腸症候群や中心静脈栄養下の症例では、微量元素欠乏を鑑別に挙げることが重要です。栄養管理部との共同研究です。

Hormones (Athens). 2024 Apr 16. doi: 10.1007/s42000-024-00550-1.

山田倫子先生の論文が「Journal of Endocrine Society」に掲載されました。

SGLT2阻害薬服用時の血糖値は、インスリン作用を示す DI/cle では規定できず、グルカゴン作用である PI/cle で規定されることを数理モデル解析により見出しました。本研究は、東京大学との共同研究です。

J Endocr Soc. 2024 Apr 8;8(6):bvae067.

2024.03

髙吉倫史先生の論文が「Diabetology International」に掲載されました。

MDI治療中の暁現象を伴う1型糖尿病患者における、起床時の超速効型インスリン投与(0.5~1単位)は、暁現象を改善させるだけでなく、朝食後の血糖上昇を抑制することを明らかにしました。

Diabetol Int (2024). doi.org/10.1007/s13340-024-00709-6

リーズ大学との共同研究論文がEuropean Journal of Heart Failure に掲載されました。

HFrEFに対するSGLT2阻害剤の投与は、心機能だけでなく、骨格筋機能にも好影響を与えることをヒト及びマウスを対象とした検討で明らかとしました。

European Journal of Heart Failure. 2024 March 11;10.1002/ejhf.3192

坂東弘教先生の論文が「Journal for ImmunoTherapy of Cancer」に掲載されました。

ICI関連下垂体炎を発症患者において、発症前にACTHが一過性上昇する症例が存在することを見出しました。この現象はICI関連下垂体炎の発症予測につながるかもしれません。

J Immunother Cancer. 2024 Feb 28;12(2):e008634.

2024.02

病理診断科との共同研究が「Endocrinology」に掲載されました。

クッシング病に対する腫瘍免疫治療の効果が期待されると仮説を立て、本腫瘍の微小環境を検討したところ、コルチゾール環境の違いによって腫瘍におけるリンパ球やマクロファージ浸潤が異なる事を見出しました。

Endocrinology. 2024 Feb 20;165(4):bqae016.

廣田勇士先生の論文が「Diabetes Therapy」に掲載されました。

遺伝的インスリン抵抗症および脂肪萎縮性糖尿病の8名を対象に実施した医師主導治験の結果、24週の治験期間中、エンパグリフロジンが一定の有効性および安全性を示すことを明らかにしました。

Diabetes Ther. 2024;15(2):533-545.

小川渉先生の論文が「Endocrine Journal」に掲載されました。

日本における肥満の経済・社会的影響や個人のQOLへの影響についてシステマティック文献レビューを行った結果、日本の肥満の基準であるBMI25を超える個人では肥満関連健康障害のリスクと医療費の増大に加え、身体的・心理的QOLの低下を生じることが明らかとなりました。

Endocrine Journal. 2024 Feb 03. doi: 10.1507/endocrj.EJ23-0416.

2024.01

小川渉先生が参加されているEMPA-KIDNEY Collaborative Groupの論文が、Lancet Diabetes Endocrinologyに掲載されました。

Empagliflozinの慢性腎臓病進展予防効果を示したEMPA-KIDNEYの二次解析によって、Empagliflozinの糖尿病、糸球体腎炎、腎硬化など様々な原因による慢性腎臓病に対 する有効が明らかになりました。

Lancet Diabetes Endocrinol. 2024 Jan;12(1):51-60.

小川渉先生が参加されているEMPA-KIDNEY Collaborative Groupの論文が、Lancet Diabetes Endocrinologyに掲載されました。

Empagliflozinの慢性腎臓病進展予防効果を示したEMPA-KIDNEYの二次解析によって、Empagliflozin投与はアルブミン尿の程度に影響されず有効性を示すことが明らかに なりました。

Lancet Diabetes Endocrinol. 2024 Jan;12(1):39-50.

大町侑香先生の論文が「Endocrine」に掲載されました。

褐色細胞腫・パラガングリオーマの術前管理薬として、α1遮断薬(ドキサゾシン)にメチロシンを併用する有益性を評価しました。ドキサゾシン単独群と比較し、メチロシン併用群は術中の収縮期血圧の最低値が低く、レミフェンタニル・ジルチアゼムの使用量の減少を認めました。本研究は、麻酔科・泌尿器科・病理診断科との共同研究です。

Endocrine. 2024 Jan 11. doi: 10.1007/s12020-023-03681-4.

鈴木正暉先生の論文が「JCEM case reports」に掲載されました。

甲状腺癌の中で極めて予後不良な甲状腺未分化癌において腫瘍内部にair を認めたClinical imageです。

JCEM Case Rep. 2024 Jan 4;2(1):luad165. doi: 10.1210/jcemcr/luad165.