入院について

糖尿病支援入院について

当院の糖尿病支援入院では、糖尿病の状態や合併症の評価を行うとともに、多職種のスタッフが連携したチームによる治療支援(サポート)を行っています。以前は糖尿病“教育”入院という言葉が用いられてきましたが、近年では糖尿病“支援”入院、と称されることが増えてきました。

現在、日本には糖尿病のある方が1000万人いる(令和5年国民健康・栄養調査)とされ、その病態は一人ひとり異なります。近年は新たな治療薬が次々と登場しており、薬物療法の選択肢が広がっています。適切な治療を行うためには、それぞれの糖尿病の状態を正確に把握し、状態(病態)に応じた治療を選択することが重要ですが、当院では通常の検査に加えて、「糖を処理できる力(=耐糖能)」を詳しく評価するグルコースクランプという特別な検査も行うことができます。また、持続血糖モニター(CGM)やインスリンポンプ(CSII)といった最新の機器(デバイス)を活用した治療法についても、積極的にご提案しています。

日本糖尿病学会では、糖尿病治療の目標は「血糖値や血圧、脂質、体重を適切にコントロールし、細小血管や大血管の合併症の発症や進展を阻止し、糖尿病のない人と変わらない寿命と生活の質(QOL)を確保すること」としています。ただし、この目標は、ご年齢や合併症の状態、お持ちの他の疾患(併存症)によって、個々人で異なるでしょう。糖尿病は、残念ながら現段階では「完治する」病気ではありませんが、「糖尿病とともに、いきいきと自分らしく生きる」ことが全ての糖尿病のある皆さんにとって共通の目標だと私たちは考えています。

日本は2010年に超高齢社会(65歳以上の人口が21%以上)に突入し、高齢者率は現在も上昇しています。これに伴い、ご高齢の糖尿病をもつ方も増加していますが、ご高齢の方々においては、フレイル(健康と要介護の間の状態)やサルコペニア(筋量や筋力の低下)の予防が重要です。従来の「カロリー制限」を重視した食事療法や、「〇〇が痛いから動かない」といった考え方から、「よく食べて、よく動く」ことの必要性があらためて注目されています。健康寿命を延ばすには、日常的な活動と栄養の両立が鍵となります。また、糖尿病のあるご高齢の方では、低血糖や薬剤の相互作用や有害事象(副作用)が起こりやすく、血糖コントロールの目標も個別に設定することが望まれます。支援者であるサポーターとの連携も欠かせないため、退院後も安 心して生活できるように、サポーターの方とも話し合いの場を設けさせていただきます。

当院では医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士、臨床検査技師、公認心理士がチームとなって糖尿病支援に携わっています。当院が目指しているのは、「型通りの指導」ではなく、糖尿病のある方々ご自身で「自己管理」ができるようになるための支援(サポート)です。食事療法や運動療法についても、「最適」な治療方法は、人それぞれ異なります。「やらされている」と感じる治療では継続が難しいので、「これならできる」と思える治療を一緒にみつけていくことを大切にしています。そのような「糖尿病のある方々を中心とした医療」を実践するために、それぞれのお声に耳を傾け、それぞれの価値観を重視した治療支援を行いたいと考えています。また、糖尿病治療をしながら、日常生活を送る際には、様々な負担を感じることがあるかもしれません。負担感が少なく満足度を感じられる治療内容をご選択いただくことで、前向きに退院後の生活を送っていただけると考えております。「入院して良かった」「入院したことで人生が変わった」と思っていただけるような入院となるよう、当院の糖尿病チーム一同、心をこめてサポートいたします。

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