診療

炎症性腸疾患・機能性腸疾患グループ

グループ紹介

化学療法グループ

当グループは、主に下部消化管疾患、炎症性腸疾患などの難治性疾患を取り扱っております。難治性疾患では、特に炎症性腸疾患を専門にしております。炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)とは、腸管免疫の異常あるいは破綻により小腸、大腸を初めとする消化管に慢性の炎症を引き起こす原因不明の疾患で、潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)とクローン病(Crohn’s disease:CD)という二つの疾患を指します。

本邦においては、ベーチェット病の腸管型という特殊型(腸管ベーチェット病)も同じカテゴリーの疾患として取り扱われております。

また、好酸球性胃腸炎、消化管ポリポーシス、慢性特発性偽性腸閉塞などの消化管の希少疾患も積極的に受け入れております。また、近年過敏性腸症候群を初めとする消化管機能異常の疾患も増加傾向です。当科ではそうした機能性疾患にも専用外来を設け診療にあたっております。

診療実績

炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)

中等度以上の活動性があれば、厚生労働省の特定疾患(いわゆる難病)に指定される疾患に当たります。若年発症の傾向があり,生涯QOLを脅かしますが、生活習慣の欧米化などにより我が国でも著しい増加傾向を示しています。軽症例も含めるとUCは20万人強・CDは5万人弱の方が罹患していると予想されています。当科では約160名の潰瘍性大腸炎の患者様と約70名のクローン病の患者様が通院中です。

21世紀になってから血球成分除去療法(GMA・LCAP),生物学的製剤(抗TNF-α抗体製剤infliximab・adalimumab・golimumab・抗IL-12/23p40抗体ustekinumab)、免疫抑制剤(tacrolimus)、免疫調節剤(azathioprine)などが相次いで承認され、治療概念・治療目標の大きな転換期を迎えました。CDに対するinfliximabの効果は劇的で寛解導入・維持効果も含め粘膜治癒(mucosal healing)にもきわめて有効であることが報告され,今や生物学的製剤が治療の中心的役割を担うようになっています。難治性UCにおいても従来はステロイドが無効であれば外科手術を余儀なくされていましたが、難治例・重症例でも高い効果を発揮する薬が複数上梓され、寛解を達成できる患者様も多くおられます。

また、患者様の多数を占める軽症・中等症例においても薬剤のラインナップが整備され、CDに対しては経口ブデソニド、UCに対してPH依存型放出制御特性をもつメサラジン製剤2剤、メサラジン局所製剤、日本初のブデソニド(ステロイド)注腸フォーム製剤が保険認可され幅広い患者層にきめ細かい対処ができるようになりました。

2018年には潰瘍性大腸炎にJAK阻害剤(tafacitinib)、抗α4β7インテグリン抗体(vedolizumab)が新規に保険承認され、vedolizumabは2019年にクローン病にも適応追加となりました。また、新薬の治験も複数行っており、消化器領域で最もホットな分野です。

下部消化管難治性疾患(腸管ベーチェット病・好酸球性胃腸炎・消化管ポリポーシスなど)

当科では膠原病リウマチ内科の先生方のご協力の下、前述の腸管ベーチェット病の患者様も多く診察させていただき(約30名)診療実績を積んでおります。炎症性腸疾患以外でも消化管の難治性疾患を複数扱っており、消化管ポリポーシス、好酸球性胃腸炎、遺伝性毛細血管拡張症、慢性特発性偽性腸閉塞症の患者様も多数通院されております。

免疫チェックポイント阻害剤の副作用(irAE)における腸管障害

近年のがん化学療法で多く使用されるようになった免疫チェックポイント阻害剤は従来の抗がん剤と違い、免疫関連の有害事象を起こすことがあり、その中でも大腸炎は炎症性腸疾患類似の腸炎を起こすことが知られています。当科では当院や関連病院で発生した症例を多くご紹介していただき症例の経験を蓄積しております。

機能性腸疾患

当科では、過敏性腸症候群と慢性便秘症を主体とする機能性腸疾患の患者様の診療を行っています。通常の検査では原因となる器質的異常または代謝異常が認めず、腹痛を伴った下痢や便秘を繰り返す過敏性腸症候群や、難治性の慢性便秘症の患者様を対象とした検査・治療に取り組んでおります。