教育・研修

研修医の先生へ

消化器内科研修プログラム・後期研修医募集

はじめに

消化器内科では食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、膵臓、胆道といった様々な消化器疾患の診療を行っています。対象疾患としてはまず、癌が重要であり、食道癌、胃癌、大腸癌、肝臓癌、膵臓癌などについて内視鏡、超音波を用いた各種検査、内科的治療(内視鏡的粘膜下層剥離術、内視鏡的粘膜剥離術、経皮的ラジオ波焼灼術、胆膵内視鏡、癌化学療法など)を行うとともに、放射線科や外科とも協力して積極的に集学的治療を行っています。

近年内視鏡的治療、内視鏡的診断法の進歩は顕著であり、消化器内科医が担当する検査、治療の適応範囲は年々拡大しています。大学病院では、基本的な手技から経験豊富な指導医が指導を行っており、早期に消化器内科で必要な手技を効率的に身につける事が可能です。

次に重要な疾患は難治性疾患であり、潰瘍性大腸炎、クローン病、原発性胆汁性肝硬変、劇症肝炎などがあります。病態のアップデートが日々進んでいる中で常に知識を更新し、患者さんに最適な治療が行えるように努力しており、まずは病態を考えるという基本姿勢が身につくように心がけています。大学病院ではガイドラインに基づいた医療に加え世界レベルの先進医療に触れる事が可能です。

また、病態解析を目的とした基礎研究、臨床研究にも積極的に取り組んでおり、臨床現場で生じた疑問が研究に結びつくような環境整備を行っています。ぜひ我々のチームの一員になって世界で活躍できる消化器内科医を目指しましょう。

診療実績

消化器内科の2017年度の1年間の外来患者延数は30251人、新入院患者数は1531人でした。病床数は54床あり、年間を通じてほぼ満床の状態です。
光学医療診療部での2017年度1年間の各検査の件数は以下の通りです。

上部消化管内視鏡検査 7528件
下部消化管内視鏡検査 2423件
ERCP 569件
超音波内視鏡・関連手技(胆膵) 603件

研修(初期・後期とも)では主に入院患者様を担当し、後期研修では検査や外来問診などの当番があります。
以下、当科での入院患者様の特徴を挙げます。

食道疾患
早期食道癌ESDが主ですが、当科では特にアカラシアの新規治療(POEM)に力を入れております。全国でもトップクラスの症例数(2017年度:120件)です。早期食道癌は積極的にESDを行っておりますが、進行食道癌に対しては放射線・化学療法を組み合わせた集学的治療を行っています。
胃疾患
早期胃癌ESDと進行癌の化学療法が中心です。
小腸・大腸疾患
早期大腸癌・腺腫の内視鏡治療の症例が多いです。切除不能大腸癌も近年抗癌治療が進歩しており、長期生存も可能になってきました。炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)や消化管ポリポーシスのような難治性疾患に対する特殊治療(生物学的製剤、血液浄化療法、新規免疫抑制剤)などを用いた治療も多数行っています。また、小腸疾患に対するカプセル内視鏡検査(2017年度:43例)やダブルバルーン小腸内視鏡検査(2017年度:25例)を行う症例も増えてきました。
肝臓疾患
肝臓癌と慢性肝炎が主です。肝癌では、経皮的ラジオ波焼灼療法(RFA)・経皮的エタノール注入療法(PEIT)・肝動脈化学塞栓術(TACE)・肝動脈持続動注療法を含む化学療法を行っています。2017年度は152例の肝細胞癌治療を行いました。肝硬変に伴う胃食道静脈瘤に対しては内視鏡的結紮術および硬化療法・BRTOを積極的に行っています。B 型慢性肝炎、C 型慢性肝炎には、インターフェロンや抗ウイルス剤を用いた治療を行い良好な治療成績を得ています。
また、肝移植に関しても移植外科とタイアップして診療を行っており、全国でもトップクラスの症例数です。
胆・膵疾患
悪性疾患に加えて結石や慢性膵炎の症例が多く、2017年度の胆・膵内視鏡検査・治療としては、全国でもトップクラスの症例数となっております。特に超音波内視鏡下吸引針生検(EUS-FNA)、超音波内視鏡下胆道ドレナージ術(EUS-BD)、仮性膵嚢胞ドレナージ術(EUS-PCD)等のInterventional EUSに力を入れており、良好な診断や治療成績を得ています。また他科とも定期的に合同カンファレンスを行い診療科の垣根を超えて個々の症例について積極的な討議を行っています。

週間スケジュール

17:30 胆膵臨床カンファレンス(光学診療部)
8:30 病棟カンファレンス(8北カンファ室)
13:00 胆膵研究カンファレンス(医局セミナー室)
肝臓カンファレンス(8北カンファ室)
14:30 大腸・IBDカンファレンス(8北カンファ室)
15:00 ESDカンファレンス(光学診療部)
16:00 医局会(8北カンファ室)
17:00 放射線化学療法カンファレンス(8北カンファ室)
18:00 (月一回)肝胆膵病理カンファレンス(10北カンファ室)
18:00 肝臓カンファレンス(外科 放科 合同)(8北カンファ室)
19:00 (月一回)消化器病理カンファレンス(地下一階剖検カンファ室)
18:30 膵臓カンファレンス(外科 放科 化療科 合同)(研究棟A5階外科医局)
8:00 肝IVRカンファレンス(研究棟A5階放射線科IVR医局)
17:30 肝臓病棟カンファレンス(8北病棟)

※開催時間・場所は変更になる場合があります

新内科専門医制度における消化器内科研修

卒後3年目から5年目までは必修臨床科と消化器内科の基本的な診療技術を習得することを目標としており、6年目以降は個々人の個性を伸ばすように、多彩な進路を用意しています。

卒後3-5年目:消化器内科に入局し、大学病院または関連病院(下記参照)にて内科専門研修とともに消化器内科臨床研修を行います。新・内科専門医制度の専門研修プログラムに則り、研修を行うため、卒後3-4年目は原則として各内科領域の研修を行うことになりますが、卒後5年目以降は消化器専門研修を中心として行うことになります(初期研修で症例が十分にある場合には消化器内科の専門研修も可能、できるだけ並行研修を推奨)。

この研修期間内に一般的な消化器内科疾患の診療を、自力で行えるようにするとともに、救急疾患にも対応できることを目標とします。すなわち、消化器内科としての基本的な検査手技(内視鏡、超音波、透視、肝生検等)、治療手技(緊急内視鏡による消化管出血の止血、閉塞性黄疸に対する経皮的ドレナージの留置、肝細胞癌に対するラジオ波焼灼治療等)の修得を目指します。関連病院での研修は内科学会認定教育病院、教育関連病院およびそれに準ずる施設にて行うため、指導体制の整った症例数の多い病院での研修が可能であり、専門医としての十分な経験、技量が備わります。さらには、同門の先生を含め様々な先輩医師との人間関係が構築できるはずです。

卒後6年目以降:大学院に入学して基礎研究や臨床研究で学位(医学博士)を目指す、あるいは関連病院で臨床研修や臨床研究を行う、国内外への留学など多彩な選択肢を用意しています。また卒後6年目以降に消化器内科に必要な学会専門医資格(消化器病専門医+消化器内視鏡専門医 or 肝臓専門医など)の取得を目指します。

教室所属後の進路(例)取得可能な資格
1年目初期臨床研修
2年目
3年目後期専門研修
大学病院または関連病院での研修
4年目
5年目日本内科学会専門医取得
6年目大学病院または関連病院での研修
大学院
消化器各学会の専門医取得
7年目大学院
大学病院、関連病院、留学など
8年目
9年目
10年目~博士号(医学)の取得
10年目~大学病院、関連病院、留学など 

後期研修医募集

消化器内科は診療に必要な知識とともに様々な診断治療手技を必要とする診療科です。初期研修を終え、卒後3年目を迎えた先生に対しては、消化器内視鏡や腹部超音波の基礎から応用まで経験豊富な指導医から幅広く学べるプログラムを組んでおります。卒後3年目から内視鏡や腹部超音波研修に取り組んでもらい、早期の技術習得を目指しています。また、内科専門医取得に必要な症例の収集(消化器内科以外の症例もローテートで対応可能)、学会発表、症例報告や講習会受講なども大学病院では容易に行う事が可能です。内科専門医プログラムにおいては大学での研修に加えて豊富な教育関連病院とのseemlessな教育連携システムを構築しており、内科専門医をはじめ、消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、肝臓専門医など学会の専門医取得を効率的にできるようになっています。。

また、後期研修終了後、または研修期間中に大学院に入学し基礎及び臨床研究を目指す先生も広く募集します。

取得可能な専門医資格
日本内科学会専門医、日本消化器病学会専門医、日本内視鏡学会専門医、日本肝臓学会専門医、日本消化管学会専門医、日本超音波学会専門医など
主な教育関連病院
明石医療センター、丹波医療センター、加古川中央市民病院、加西市民病院、川崎病院、北播磨総合医療センター、県立淡路医療センター、県立加古川医療センター、県立がんセンター、甲南医療センター、神戸医療センター、神戸赤十字病院、神戸労災病院、公立宍粟総合病院、済生会中津病院、三田市民病院、神鋼記念病院、製鉄記念広畑病院、高砂市民病院、高槻病院、千船病院、日生病院、西神戸医療センター、西市民病院、西脇市立西脇病院、三菱神戸病院、淀川キリスト教病院

興味を持たれた方は常時相談、見学に応じますので気軽にご相談ください!

お問い合わせ

神戸大学大学院医学研究科消化器内科学分野
小林 隆(医局長)
E-mail:kobatak@med.kobe-u.ac.jp
Tel: 078-382-6305