診療

胆膵疾患グループ

グループ紹介

肝臓疾患グループ

胆膵グループでは、良悪性を問わず、胆道、膵臓疾患を専門に扱っております。特に私達は、超音波内視鏡(EUS)や内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)などの内視鏡診断・治療を得意としており、年間1500件以上施行する国内でも有数のhigh volume centerです。兵庫県内ではほとんど導入されていないEUSを用いた経消化管的な治療(EUS下胆管・膵管ドレナージ術、EUS下膵嚢胞ドレナージ術など)を積極的に行っており、より低侵襲な医療提供を目指しております。

毎週、肝胆膵外科、放射線科、腫瘍血液内科と合同でカンファレンスを行い、患者さん一人一人に合った最適な治療法を検討し、外科的治療、放射線療法、化学療法、IVR、内視鏡治療を組み合わせた集学的治療を導入しています。また、月1回、病理診断科も交えて術後病理の検討会を開催し、診断レベルの向上を図っています。

診療実績

膵腫瘍(膵癌、膵嚢胞性腫瘍)

膵癌は、早期発見が難しく、診断時には進行していることが多い非常に予後不良な疾患です。私達は、膵癌の危険因子をもつ患者さんに対して、積極的にEUSを施行することにより、早期発見を目指しております。また膵腫瘍を発見した際には、超音波内視鏡下穿刺吸引生検(EUS-FNA)やERCPを施行し、正確な診断を心がけています。

膵癌に伴う閉塞性黄疸の治療は、通常ERCPよる経乳頭的ドレナージが行われます。しかしながら、時に膵癌の十二指腸浸潤によって治療ができないことがあります。そのような場合は従来、経皮経肝的胆道ドレナージ術が選択されますが、体外へドレナージチューブが出るため患者様のQOLが著しく低下します。近年、超音波内視鏡を用いて胃や十二指腸から直接胆管へチューブを留置する超音波内視鏡下胆道ドレナージ術が開発され、我々は積極的に行っており、患者様のQOLの向上を目指しております。

膵良性疾患(急性膵炎、慢性膵炎、自己免疫性膵炎など)

重症急性膵炎は、致死率が10%以上と高く、集中管理が必要な疾患であるため、集中治療部と連携して集学的な治療を行っております。重症急性膵炎後、被包化された感染性膵壊死は、容易に敗血症に移行するため非常に予後が不良です。この場合は早期の壊死物質の除去が必要であるため、私達はEUSを用いて胃と壊死領域との間に瘻孔を作成し、内視鏡を用いて直接壊死物質の除去(内視鏡的ネクロセクトミー)を行っています。

膵石は、腹痛などの症状がある症例が治療適応となります。膵石は非常に硬く、膵管内に鋳型状に存在していることが多いため、内視鏡単独では難しく、体外衝撃波結石破砕術を併用して、完全切石を行っています。

自己免疫性膵炎は、日本から世界に発信した特殊な膵炎です。私達は、厚生労働省の自己免疫性膵炎の事業に長年携わりながら、他の大学とも連携して積極的に診断、治療に取り組んでいます。

胆道腫瘍(胆管癌、胆嚢癌、十二指腸乳頭部腫瘍)

胆道癌の診断には、EUSやERCPに加え経口胆道鏡にて胆管内の腫瘍を直接観察することにより、良悪性の診断、手術適応や術式決定に必要な範囲診断を行っています。

十二指腸乳頭部腫瘍は、膵頭十二指腸切除術という侵襲度の高い外科手術が標準治療ですが、私達は正確な術前診断を行い、内視鏡治療が可能である症例に対しては内視鏡的乳頭切除術(EP)による低侵襲な治療を行っています。

胆道良性疾患(胆石症、胆管炎、胆管狭窄など)

胆管結石の治療は、内視鏡胆道結石除去術を行っています。巨大結石症例や術後再建腸管症例などの治療困難症例を近隣の病院から数多くご紹介いただき、経口胆道鏡下の切石やバルーン小腸内視鏡を用いた切石術を導入し、可能な限り低侵襲な治療を心がけています。