教室紹介

教授挨拶

神戸大学大学院
医学研究科内科学講座
消化器内科学分野
教授 児玉 裕三

神戸大学大学院医学研究科 内科学講座 消化器内科分野は2007年に創設された教室です。この度、初代 東健先生の後任として、2018年4月に教授を拝命いたしました。世界をリードする最先端の内視鏡技術をベースに、疾患の本質を見る眼と患者さんを診る心を育み、若い力が集まり発揮できる明るい医局創りを目指したいと思います。私たちの新たな出発に際し、一言ご挨拶申し上げます。

私たちには、「診療」「研究」「教育」の3つの使命があります。なかでも「診療」は私たち臨床医の基本であり、質の高い診療なくして良い研究や教育は成し得まえせん。私たちの診療は、消化管・肝・胆膵の幅広い臓器領域において、急性期疾患から癌・難病にいたるまで、すべての消化器疾患を網羅します。このため、医師・看護師・臨床工学技士を含む医療スタッフとのチームワークにより、患者さんひとりひとりに合わせた診療を行う体制を築いてきました。神戸大学消化器内科の内視鏡診断・治療技術は世界レベルを誇っており、これからも先進的な技術を世界へ向けて発信しながら、広い地域の患者さん、そして医療施設に頼られる存在となることを目指します。

私たちは、現在の医療技術では及ばない問題点の克服に向けて、様々な「基礎研究・臨床研究」に取り組んでいます。特に癌の死因の上位5位のうち4つをしめる消化器癌、そして食生活の欧米化に伴い急速に増加傾向にある炎症性腸疾患や脂肪性肝疾患など、様々な難治性疾患の病態解明や、新しい診断法・治療法の開発に取り組んできました。これからも、歴史ある神戸大学の基礎医学講座との連携や、国際的医療産業都市 神戸の地の利を生かした産学連携により、私たちの研究レベルの向上に努めたいと思います。私たちが全力で患者さんと向き合う中で生じた疑問に対し、「臨床医ならではの研究」を積極的に進め、患者さんへのfeedbackを推進します。

私たちの将来を考えるうえで「教育」は極めて重要です。そして、教育においても最も重要なのは、私たち全員が医師としての経験年数にかかわらず常に教育の心を持ち、真摯に診療と研究に取り組むことだと思います。神戸大学消化器内科では各診療科や豊富な基幹病院との連携により、学生教育・初期研修・専門研修・大学院とシームレスな医師の生涯教育システムを構築してきました。そのなかで、医学生・研修医・医局員それぞれの個性と多様性を重視し、ひとりひとりの将来の夢をサポートできる医局をつくりたいと思います。疾患の本質を見る眼と、患者さんを診る技術と心を合わせ持つphysician scientist の育成、そして次世代の医師を教育できる人材の育成に力を注ぎます。

このような診療・研究・教育は、決して一人の力で成し得るものではありません。大事なのは人と人のつながりです。患者さん、医学生、医療スタッフ、教室のチームメイト、地域や他施設・他大学の先生方、すべての人との出会いを大切に、医療と科学の進歩に邁進したいと思います。教室員一同、皆様との出会いを心よりお待ちしております。