新しい検査・治療

気管支鏡検査における新しい技術の導入

気管支鏡検査は肺癌を始めとした呼吸器疾患の診断や治療に大きな役割を担っています。特に肺癌の診断においてはその診断感度を上げるために近年様々な新しい方法や光学機器が開発されつつあります。当院では患者さまの病気をいち早く診断に導くためにこうした方法や機器に精通した医師の指導のもと、積極的にこれらを導入し、診断の精度を上げています。以下に当院で既に使用している機器や方法についてご紹介します。

①気管支サーモプラスティ
近年、日本を含めた先進国において気管支喘息の罹患率は増加傾向にあります。これまでの治療法は吸入薬や内服薬など薬物治療が中心で、多くの患者さんは、吸入ステロイドや長時間作用性β2刺激薬などの治療でコントロール可能でした。しかし一方で、高用量の吸入ステロイドを適切に使用しても喘息発作を起こしてしまう患者さんがどうしてもおられました。そこで、これまでの薬物療法とは異なる治療方法として、気管支サーモプラスティ(Bronchial Thermoplasty:BT)という方法が注目されています。
重症喘息の患者さんでは気管支平滑筋が発達(肥厚)した状態になっています。気管支サーモプラスティでは、気管支鏡を用いて専用のプローブを気管に挿入し、その肥厚した気管支平滑筋組織を高周波電流によって65℃で10秒間温めて焼灼するというものです。この処置によって喘息発作が抑えられ、救急外来受診する機会が減るなどの効果が得られています。喘息の薬物治療だけではコントロール不十分であった患者さんにとって、新たな治療の選択肢のひとつと期待されています。

②呼気中一酸化窒素(FeNO)濃度測定検査
吐いた息に含まれる一酸化窒素(FeNO)の濃度を測定して、気道の炎症を評価するぜんそくの診断法です。この値が高いと、気道でアレルギー性の炎症が見られる可能性が高くなります。

  • これまでぜんそくと診断されたことがない方の場合、ぜんそくの可能性があります。
  • ぜんそくで治療中の方の場合、まだ気道に炎症が残っており、ぜんそくを十分にコントロールできていない可能性があります。

2013年度から保険適用になり、検査の所要時間も数分間で可能な検査です。

③ヴァーチャル気管支鏡ナビゲーションシステム
今やカーナビがついていない新車はないでしょう。目的とする場所に誘導してくれるナビゲーションシステム。目的地にたどり着くのに大変便利です。当科では肺末梢小型病変に対する気管支鏡検査にナビゲーションシステムを導入しています。3cm以下の肺末梢小型病変の診断は難しく、HRCT(高分解能CT)で病変の関与気管支を一生懸命読影しても、病変にたどりつけない場合があります。
ヴァーチャル気管支鏡ナビゲーションシステム(Bf-NAVI, オリンパスメディカル)は、検査前にHRCTを再構築して仮想気管支鏡を作成し、病変までのルートを作成します。後は気管支鏡検査時にナビゲーションの画像に従ってカメラを挿入するだけです。検査時に,気管支鏡での視野と、仮想気管支鏡の画像の方向(前後と回転軸)をリアルタイムに同調させることができるのがこのシステムのポイントです.これにより診断率の向上と検査時間の短縮が期待でき、患者さんに優しいシステムです。また、当科ではガイドシース併用気管支腔内超音波断層法(EBUS-GS)も標準的に併用していますので、高い診断率で検査しています。

④ガイドシース併用気管支腔内超音波断層法(EBUS-GS)
肺末梢病変に生検鉗子などが到達したかの確認は、以前からX線透視を用いて行われてきました。しかし、この方法では縦隔や横隔膜に隠れる病変、小型病変、スリガラス陰影などの位置確認は、困難な場合が多々あります。ガイドシース併用気管支腔内超音波断層法(EBUS-GS)は、シースをかぶせた外径1.4mmの細径超音波プローブを気管支鏡のワーキングチャンネルより入れ、病変の内部に挿入します。EBUS像が得られたら、病変に到達しているということですから、プローブのみ抜去し、留置したシースから生検・擦過などの検体採取を繰り返し行うことが可能です。したがって、この手法を用いることで、病変にヒットしているかどうかがが明確にわかり、その正確な場所から繰り返し検体を採取することが可能となるため、診断率が上昇します。当科では、多くの肺末梢病変に対し、EBUS-GSを標準使用して検査を行っています。

⑤コンベックス走査式超音波気管支鏡(CP-EBUS)
気管・気管支周囲の病変に対しては、コンベックス走査式超音波気管支鏡(CP-EBUS)を導入しています.CP-EBUSは気管支鏡と超音波が一体となった内視鏡です。縦隔肺門のリンパ節や病変は、気管支壁を穿刺して組織を採取する必要があります。しかし、気管支には多数の血管がとりまいており、従来は血管を穿刺するかもしれないという危険と隣り合わせに、盲目的に穿刺していました。CP-EBUSを使用することで、経気管支的に超音波で病変をリアルタイムに確認しながら、穿刺生検が可能となりました。超音波機能はBモードの他、カラードップラーモードも備えており、穿刺ルート上の血管を避けて、正確に病変から検体が採取できるため、安全で確実な穿刺が可能です。適応病変は,気管・気管支周囲のリンパ節や腫瘍で、肺癌などの悪性疾患だけでなく、サルコイドーシスや結核などの良性疾患も高率に診断することができます。

 

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肺がん患者における遺伝子変異の検索

現近年肺がん治療において分子標的薬剤が注目されています。従来の殺細胞性薬剤ではなく、ある特定の遺伝子変異や融合遺伝子を持つ患者さまに選択的に使用することで高い奏効率が得られることが近年の研究で分かってきました。
その中で代表的なものでは肺がん組織中に EGFR遺伝子変異を有する患者さまにおけるEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(イレッサ・タルセバ・ジオトリフ)や、EML4-ALK融合遺伝子を有する患者さまにおけるALK阻害剤(ザーコリ・アレセンサ・ジカディア)などが挙げられます。これらによる治療はオーダーメード治療のひとつとして注目されており当院でも積極的にこうした遺伝子変異の検索を行っています。

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モストグラフ

気管支喘息やCOPDは主に末梢気道に病変があり、その機能の評価が重要といわれています。その診断には呼吸機能検査が不可欠ですが、呼吸抵抗を測定しても末梢気道病変の存在を推測することが可能です。それは、オシレーション法という方法を用いて通常の呼吸をしていただくだけで呼吸抵抗が測定でき、3Dグラフとして表示されるため、典型的なCOPD患者さんでは呼吸抵抗が上がっていることを一目で確認できます。これにより、治療効果や、禁煙効果などの判定が視覚的に確認できます。通常の呼吸機能検査よりも短時間でしかも通常の呼吸で測定できるため、患者さんの負担がより少ない検査です。

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局所麻酔下胸腔鏡検査

局所麻酔下胸腔鏡検査胸腔検査近年石綿関連疾患である悪性胸膜中皮腫が社会問題となっており、今後急速に患者数が増加すると考えられています。
当科ではこの悪性胸膜中皮腫が疑われる患者さまや、原因不明の胸水の原因精査のため、局所麻酔下で行う胸腔鏡検査を積極的に行っています。
この検査は、胸水をドレナージ(チューブを挿入して水を抜くこと)する際にあける孔を利用して簡便かつ低侵襲に行え、また胸膜を観察しながら病変部を狙って組織を採取できるという利点があります。
石綿暴露歴があり胸水を指摘された方や原因不明の胸水で診断がつかない患者さまは、この胸腔鏡検査の適応について当科にご相談下さい。

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呼気凝縮液

呼気凝縮液呼気凝縮液採取装置気管支喘息やCOPD、睡眠時無呼吸症候群などでは肺組織や気道の炎症が病態に関与していると考えられています。従来、気道の炎症を評価するには、気管支内視鏡や誘発喀痰検査など、やや侵襲的な検査を行う必要がありましたが、近年、呼気凝縮液が気道の炎症を非侵襲的に評価できる新しい手法として注目されています。
当科ではこの呼気凝縮液を用いて、気道炎症の観点から呼吸器疾患の病態解析や治療効果の評価に役立てるべく検討を行っています。

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