医師・医学生の皆さまへ 初期・後期研修プログラム

呼吸器内科研修の紹介

 呼吸器内科は市中肺炎、気管支喘息といったcommon diseaseから、近年増加が著しい肺癌、COPDなどの疾患、易感染患者の日和見感染症や膠原病肺など他疾患の合併症、さらには重症患者の呼吸管理など非常に幅広い領域を取り扱うことが特徴で、呼吸器内科の需要は近年ますます大きくなっています。また他の診療科との接点も非常に多いため、他科を志す医師にとっても呼吸器内科での研修は将来必ず役に立つと思います。
 また、肺癌治療では抗癌剤に関する専門的知識だけでなく、緩和医療に関する理解と知識、患者・医療チーム間のパートナーシップなど内科医としての総合力が要求されますので、全人的医療を学ぶよい機会になるでしょう。

PageTop

初期研修の目標と特徴

 初期臨床研修では、呼吸器疾患を通じて幅広い内科的考え方、技術の習得を目指します。
 主に主治医団の一員として入院患者の診療にあたり、まずは基本的な病歴聴取や身体所見のとり方、症候や検査値の解釈の仕方、及び検査計画や治療方針の立て方を学び、さらに呼吸器感染症を通じた感染症診療の基本、肺癌治療を通じた化学療法・緩和治療の基本、呼吸不全患者を通じた酸素療法・呼吸管理の基本、そして胸部画像診断(特に胸部単純写真読影)の基本の習得を目指します。これらの目標を達成するため、主治医団では毎日担当患者についてディスカッションの時間を設け、常にフィードバックを行う体制をとっています。また、毎週のカンファレンスでは、担当患者のプレゼンテーションを通じて要領の良いプレゼンテーション技法を学ぶと共に、担当以外の患者についても経験を全員で共有できるようにしています。意欲があれば気管支鏡検査への参加も可能です。

PageTop

経験目標

(1)診療の基本

  • 適切な病歴聴取ができる
  • 系統的な身体所見がとれる
  • 適切なカルテの記載と診療情報の管理ができる
  • 要領のよい症例のプレゼンテーションができる

(2)臨床検査の理解と検査計画

  • 胸部X線写真の読影の基本を習得する
  • 胸部CTの適応と読影の基本を習得する
  • 以下の検査の適応を理解し、結果の解釈ができる
    動脈血液ガス分析 呼吸機能検査 喀痰検査 胸水検査 6分間歩行検査
  • 肺癌の病期分類ができる
  • 肺癌治療の効果判定ができる
  • 症候や疾患に応じた検査計画が立てられる

(3)基本手技

  • 以下の基本的手技できる
    採血、血管確保、注射(皮内、皮下、筋肉内、静脈)、点滴のミキシング 動脈採血、血液培養 気道確保・用手換気
  • 以下の処置が指導医とともに行える
    中心静脈カテーテルの挿入、気管内挿管、胸腔穿刺・ドレナージ、気管支鏡検査

(4)治療

  • 適切な酸素投与ができる
  • 肺炎のガイドラインを理解し、それに基づいた抗菌剤投与ができる
  • 肺癌の組織型に応じた治療が理解できる
  • 抗癌剤や免疫療法の特徴を理解し、正しい投与と副作用への対応ができる
  • WHO方式のがん疼痛療法を理解し、それに基づいた鎮痛薬処方、疼痛管理ができる
  • 喘息およびCOPDのガイドラインを理解し、それに基づいた治療ができる
  • 間質性肺炎の分類とガイドラインを理解し、治療計画を立てられる
  • 人工呼吸器の基本的なモードと設定を理解し管理ができる
  • 慢性呼吸不全をきたす疾患を理解し、病態・重症度に応じた対応ができる
  • 免疫不全患者で起こる感染症に関する検査・治療法について理解し対応できる

PageTop

指導体制

グループで入院患者さんの診療をしています。グループの一員として診療にあたっていただくので、主に各グループの指導医が指導をします。また、研修医向けのレクチャーや医局会での発表など、勉強できる環境が整っています。

PageTop

研修の週間スケジュール

毎日の病棟主治医団ミーティングでは2グループに分かれて活発にディスカッションしています

  • 呼吸器合同カンファレンス:月曜日16時15分から呼吸器内科・外科・放射線科・放射線腫瘍科・病理診断科が一同に会して、気管支鏡症例について、画像診断、病理所見から診断と治療方針をディスカッションします。手術前後の症例提示や術前後化学療法の相談、間質性肺炎のVATS症例の相談も行います。
  • 気管支鏡検査:火曜日9時からその日に行う気管支鏡症例について枝読みとアプローチ方法についてディスカッションします。
  • 医局会:火曜日15時から症例プレゼンテーション、抄読会などを行います。

  • モーニングレクチャー:水曜日の朝8時から30分程度のミニレクチャーを呼吸器内科にまつわるいくつかのテーマに分けて行います。

  • 呼吸器病棟カンファレンス:金曜日15時から入院患者について研修医のプレゼンテーションののちディスカッションします。

*上記以外にも毎日主治医団でディスカッションの時間を設けています。

PageTop

後期研修以降のプログラム

  初期研修で全般的な知識と技能を身につけた後、呼吸器内科医としてさらに研鑽を積みながら、まずは日本内科学会のプログラムに沿って総合内科専門医の取得を目指します。
 当科で研修を行うことも、関連病院で研修を行うことも可能です。神戸大学病院プログラムと市中病院プログラムのどちらでも神戸大学病院での研修が可能で、それぞれの方の事情に沿ってアレンジの相談にのります。
 総合内科専門医の取得後に日本呼吸器学会呼吸器専門医の取得を目指しますが、総合内科専門医の研修に呼吸器専門医のサブスペシャリティに特化した研修を組み込むことが可能で、最短での呼吸器専門医の取得を目指します。日本呼吸器学会新専門医プログラムに対応しています。また、総合内科専門医取得後に呼吸器内科研修を続けて呼吸器専門医の取得もできます。
 大学院へ進学する場合は3年ないし4年間研究に打ち込み、学位(博士号)の取得を目指します。学位取得後はさらに研究を続け留学を目指すこともでき、あるいは基礎研究で培った広い視野で臨床の第一線で活躍することも可能です。

PageTop

HOMEへ戻る

PAGE TOP