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脳浮腫・血液脳関門

脳浮腫

頭部外傷、脳血管障害、脳腫瘍など各種の中枢神経系疾患において、脳浮腫は本来の病態を悪化させる大きな要因である。脳浮腫の治療法としては脱水、高浸透圧剤投与など古典的な治療法が依然として主流を占めているが、重症な脳浮腫はコントロールすることが困難であり、生命の危機に及ぶこともしばしば認められる。

VEGF(Vascular endothelial growth factor)は成長因子の1つであり、虚血後の血管透過性亢進による脳浮腫と、血管新生による神経保護を誘導することが報告されている。VEGFを脳虚血ラットに投与すると、脳血管関門の透過性が亢進し、脳浮腫が増大したとの報告もあり、VEGFシグナルの抑制が脳浮腫を軽減させるのではないかと考えられる。

現在までに幾つかのVEGF阻害剤が開発され、血管新生抑制作用等の報告は散見されているが、脳浮腫や脳梗塞に対する効果を検討した報告は殆どない。当教室の研究グループは、新たなVEGF阻害薬を用いて、脳梗塞や頭部外傷による脳浮腫に対する治療効果について、動物モデルを用いて行っている。

血液脳関門

血液脳関門の病態生理学的な研究を行うために、脳毛細血管内皮細胞の培養系を用いて様々な病態における内皮細胞の機能的変化を解析している。In vitroの血液脳関門モデルによる内皮細胞と星状神経膠細胞の相互関係の解明、無酸素・再酸素化における内皮細胞障害機序の解明、あるいは、血液脳関門の人為的な調節法の開発に取り組んでいる。

また、in vivoの脳血管透過性研究法としてin situ脳環流法を用いて、人為的な血液脳関門制御法の開発を行っている。

研究費
  • 文部科学省 基盤研究(B)  平成16年~平成18年
    VEGFを分子標的とした新規抗脳浮腫療法の開発
    研究代表者 甲村英二