当科では年間400例ほどの手術を行っています。

脳腫瘍の分野では年間190例程度の手術を行い、関西で有数の経験を誇ります。
悪性脳腫瘍の代表ともいえる膠芽腫をはじめとする神経膠腫に対し、覚醒下手術、術中ナビゲーションシステム、術中電気生理学的モニタリングや蛍光色素（5ALA）、光線力学療法(PDT)などを用いて、摘出率と治療成績の向上に取り組んでいます。
さらに、特筆すべき手術設備として、2015年3月より3テスラの術中MRI撮影装置を導入しております（本邦では、導入時点で2台、2016年10月時点で3台のみ）。従来の1.5テスラ以下の術中MRIでは不可能であった精密なFiber tracking（運動や言語機能をはじめとする大切な神経線維の走行を描出し、温存する方法ための技術）や、MRS（成分分析）などの各種画像を撮影し、それらの情報を術中ナビゲーションに反映することが可能となりました。
また、頭頚部悪性腫瘍の頭蓋底・頭蓋内浸潤例に対して、耳鼻咽喉科・形成外科と協力して、頭蓋底手術や広範囲頭蓋底切除術を行っております。
良性疾患においては、とくに聴神経鞘腫に関し、国内屈指の実績を重ねてまいりました。また、通常の下垂体腺腫のみならず、頭蓋底の脊索腫など手術が困難な疾患に対しても、3Dおよび4K神経内視鏡を駆使し、積極的加療に取り組んでいます。
これらにより、安全かつ低侵襲な“患者さんにやさしい”手術をこころがけています。
県内外の他の脳外科病院で治療が困難とされた脳腫瘍の患者さんを多数紹介して頂き、良好な治療成績を築いています。

脳血管障害では、高リスクの内頚動脈狭窄症例に対する安全な外科治療に多くの経験を有し、ステント治療と併せて、最適な治療を提供しています。また脳動脈瘤治療について、破裂動脈瘤、未破裂動脈瘤ともに開頭クリッピング術、血管内コイル塞栓術を適宜使い分けることで良好な成績を得ております。一般的に治療困難とされる動脈瘤（巨大、血栓化、頭蓋底、バイパス併用など）についても、適宜バイパス術を併用し積極的に治療にあたっております。
手術機器としては、術中蛍光撮影（ICG）が可能な顕微鏡（ZEISSおよびLeica）や、術中脳血管撮影が可能なハイブリッド手術室などのシステムがあります。
救急の代表的疾患として、急性期脳梗塞における脳主幹動脈閉塞症に対し、カテーテルによる経皮的血栓回収療法も積極的に行っております。