患者の皆さまへ ご挨拶

診療科の概要と取り扱う疾患

呼吸器内科では患者さまに対し外来、入院を通じエビデンスに基づいた、そして一貫した治療方針でチーム医療を行っております。

  1. 肺がん・悪性胸膜中皮腫に対する早期診断、集学的治療、緩和医療
  2. 気管支喘息・慢性閉塞性肺疾患に対する治療・患者指導
  3. 間質性肺炎・肺線維症に対する診断・治療
  4. 睡眠時無呼吸症候群に対する診断・治療
  5. 呼吸器感染症に対する診断・治療
  6. 慢性呼吸不全に対する在宅酸素療法・在宅人工呼吸療法

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1.肺がん

肺がん日本人の死因の第一位はがんですが、そのうち肺がんが最も多く、年間約7万人が命を落とされています。しかし、肺癌領域における治療の進歩は革新的で、分子標的薬・免疫療法といった期待できる治療法が次々と臨床導入されています。当院では肺がんに関して、呼吸器内科、呼吸器外科、放射線科、病理部が呼吸器グループとして緊密な連携をとりながら、症例ごとに最適と思われる治療を選択し、最新の知見を取り入れながら、早期診断、集学的治療を実践しています。当科では、術後化学療法、化学放射線治療、進行期の化学療法や免疫療法を行っています。近年、生活の質(QOL)の向上を考慮にいれた外来化学療法が主体となってきており、通院治療室と連携しながら、多くの患者さんが2コース目からは外来で治療されています。また、悪性胸膜中皮腫や縦隔腫瘍の治療も行っています。
また、緩和ケアチームとも連携しながら積極的な症状緩和に努めています。
肺癌診断のための気管支鏡検査では、仮想気管支ナビゲーションシステム、EBUS-GS/TBNAなどを早くから積極的に取り入れて診断の向上に努めており、近医で診断が困難であった症例の紹介も多数受けております。 また、気道狭窄に対する気管支内視鏡を用いたステント療法、高周波治療、レーザー治療などのインターベンションも行っています。
さらに、肺癌や気管支鏡検査について当科主導での臨床研究を行うとともに、がん専門の医療施設間で行っている多施設共同臨床試験(西日本がん研究機構WJOG, 阪神がん研究グループ, LC-SCRUM)に積極的に参画し、肺がんの治療成績の向上を目指しています。

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2.気管支喘息と慢性閉塞性肺疾患(COPD)

咳は医療機関を受診する症状としては最も多い症状の一つであり、その原因として気管支喘息とCOPDは非常に重要な疾患です。気管支喘息、COPDは非常にありふれた疾患ですが、正しく診断、治療されていないケースも多くあります。当科では、胸部レントゲン、胸部CT、肺機能検査など一般的な検査に加え、必要に応じて気道過敏性検査など限られた病院にしかない検査機器なども使用し適切な診断、治療を行っています。
気管支喘息患者さんのうち、10人から20人に1人ほどの割合で、適切な薬物治療を行っても症状や発作が十分に改善しない方がいらっしゃいます(難治性喘息)、当院では難治性喘息患者さんに対して、注射の生物学的製剤(抗IgE抗体、抗IL-5抗体など)を用いた治療や、気管支サーモプラスティ治療 (気管支温熱療法)も行っています。いずれも高額な治療となりますが、高額療養費制度などの自己負担額をなるべく少なくできる方法をご案内し、経済的事情も十分に相談させていただいたうえで治療選択を行っています。
一方、COPDは喫煙などにより慢性の咳、痰、息切れをきたす疾患で、日本での潜在的な患者数は500万人以上と言われており、今後は死亡原因の上位になることが予想されています。肺癌を代表とする合併症の多い疾患であり、慢性的に生活の質(QOL)を損なう疾患のため、早期の診断と適切な治療が必要です。
咳や痰、呼吸困難でお困りの方は、是非当科を受診してください。

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3.間質性肺炎

間質性肺炎間質性肺炎は、様々な原因によって肺を構成する肺胞壁に炎症や損傷が起こり、肺胞壁が硬くなることでガス交換の障害をきたす非感染性の肺炎の一種です。
種々の病型があり、経過も早いものから緩徐なものまで様々であることから、まずは画像診断や血液検査などを行い、必要時は気管支内視鏡や外科的肺生検などによる確定診断を行うことが大切です。当科では、間質性肺炎を疑う患者さまに対して、1泊2日の検査入院(気管支内視鏡検査)を実施しています。呼吸器外科、放射線科、病理部と連携をとって診断をしています。間質性肺炎には難治性のものが多く、慢性的な呼吸困難をきたしうる代表的な疾患ですが、当科では専門的見地から抗線維化薬、ステロイドや免疫抑制剤などによる治療を実施しています。

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4.呼吸器感染症

呼吸器感染症肺炎は、細菌・ウイルスや真菌などの病原微生物により肺に炎症を起こす病気です。大きく分けると細菌による細菌性肺炎と細菌以外のマイコプラズマ、クラミジア、ウイルスなどによる非定型肺炎があります。発症した場所の違いによって、市中肺炎、医療・介護関連肺炎や院内肺炎に分けられ、重症度や耐性菌リスクが異なります。診察所見・胸部画像・血液検査・尿中抗原検査・喀痰培養検査などで病原微生物を推定し、適切な診断・治療を行います。通常は1週間程度の治療で改善しますが、肺組織の構造が破壊されておこる肺膿瘍や胸腔内に感染を起こす膿胸では長期間の抗菌薬投与や侵襲的なドレナージ処置、治療への反応が悪い症例への気管支鏡検査を適宜行います。
肺結核は、結核菌による病気で人から人に感染します。胸部画像・血液検査・喀痰培養検査で診断します。3~4種類の抗結核薬を6~9か月の長期間にわたって確実に服用することが必要ですが、多くの患者さんで治癒します。結核菌が大量に排出されており、隔離のための入院加療が必要な場合は、結核病院と連携して治療を行います。
非結核性抗酸菌症は、結核菌以外の抗酸菌である非結核性抗酸菌による病気で、土壌や水中などの自然環境に広く存在しており、人から人へと感染することはありません。100種類以上の菌が報告されていますが、人に感染するのは10種類ほどです。喀痰培養検査で2回以上菌が確認されれば確定診断となります。数年から10年以上かけてゆるやかに進行しますが、症状や胸部画像の悪化があれば、同定された原因菌に対して複数の抗菌薬を組み合わせて年単位での治療を行います。一定期間治療を行っても変化が乏しく病変が限局している場合は、呼吸器外科と連携して手術を検討します。また当科では、本疾患と腸内細菌叢の関連を調べる研究を進めています。

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5.睡眠時無呼吸症候群

日本では成人の5人に1人が睡眠に関する問題を抱えていると言われています。睡眠障害の代表的なものとして閉塞性睡眠時無呼吸症候群(Obstructive Sleep Apnea Syndrome;OSAS)があります。OSASは日中の眠気などの症状があり、かつポリソムノグラフィーまたは検査室外での睡眠検査で10秒以上続く無呼吸か低呼吸が1時間に5回以上記録された場合、もしくは眠気などの症状がなくても1時間に15回以上の無呼吸か低呼吸があった場合に診断されます。
OSASでは睡眠中にからだの中の酸素濃度が低下し、息苦しさによって睡眠が浅くなります。十分な睡眠が得られないために、記憶力・集中力の低下、疲労感、日中の眠気などの症状が起こります。また交感神経の過緊張のため、心血管への負荷が増えます。重症のOSASでは心筋梗塞や脳梗塞などの病気のリスクが増え、命にかかわることがわかっています。 さらに、OSASの患者さんではそうでない方にくらべて交通事故を起こす危険性が増えます。日本でも、2018年にバス運転手による居眠り死傷事故が起きており、運転手は重症OSASと診断をされていたことが明らかになっています。中等症・重症のOSASを診断し治療してゆくことは、ご自身の健康のためにも、周囲の方の安全のためにも大事なことです。当科外来では、現在PSG検査とCPAPの導入(数か月程度)を中心に診療を行っており、導入が問題なく済めばお近くの医院にご紹介させていただきます。

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6.禁煙外来

タバコは「百害あって一利なし」と言われるとおり、タバコは様々な癌のリスクとなります。バコを吸うことによって肺がんのリスクは4倍以上となりますが、禁煙をすることによりそのリスクを減らすことができます。
それだけではありません。タバコをやめた時点から、さまざまな効果を実感できます。たとえば、家族や周囲の人が受動喫煙を受けるリスクがなくなり、衣服や部屋、車にタバコのにおいがつくこともなくなり、周囲が不快に感じることもなくなります。食べ物をおいしく感じるようになる、目覚めがさわやかになる、肌の調子がよくなる、口臭がなくなるなど、日常生活の中で効果を実感できます。
ニコチン依存症は病気であるということが認識されるようになり、2006年4月から、一定の条件を満たせば、健康保険等を使って禁煙治療を受けることが出来るようになりました。医師が処方し、健康保険等が使えるのは、ニコチンを含まない飲み薬と、ニコチンパッチがあります。禁煙治療は12週間の間に、診察を5回受けます。ぜひ、医師と一緒に禁煙治療を受けましょう。

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