医師・医学生の皆さまへ 女性医師の方たちへ

長く仕事を続けるために

開・閉

医師の多くの皆さんが、仕事と家庭その他との両立で悩んでいませんか?働く女性も多い現在では、男性医師も家庭の事情などで仕事に十分な時間を確保することが難しいこともよくあります。当科は、約半数が女性医師で、また小さな子供をもつ男性医師も多く所属する医局ですので、できる限りのバックアップをしています。実際に、男性・女性医師とも幼稚園や学校の行事、子供の発熱などで早退したり、欠勤することもよくあります。働ける人が働けるときにしっかり働き、成果を上げるという、work sharing の考え方を取り入れて、業務内容を調整しています。必須の仕事は勤務時間内に終わるように、カンファレンスも勤務時間内に設定をしています。入院患者さんの受け持ちは、数人のグループ制で、特に長期休暇中は、病棟担当医であっても、休むことができるような体制にし、仕事から離れる期間を設けています。効率よく、長く仕事を続けるためにも、仕事から離れて休むことは非常に大切です。
医師という職業はやりがいのある仕事で、社会に対する責任もあります。家庭など仕事以外の他の事情との折り合いをつけながら、一旦第一線から離れたとしても辞めないで続けていくことが大事です。そのために、当科では、各人のその時々の事情にあわせて、フレキシブルに対応をしています。
また、当院には、D&N plus ブラッシュアップセンターがあります。同センターは、『出産と育児の経験をキャリアアップととらえ、妊娠・育児中の女性医師・看護師のブラッシュアップを図ることで、スムーズな臨床現場への復帰を支援する』という主旨で開設されました。復帰時にはライフスタイルに合わせた就労形態(時間短縮勤務、当直免除など)を選択できます。また、子育ての先輩と知り合い、日々の時間の作り方や仕事の進め方など細かなことまで相談できます。
様々な事情を持つ医師が所属していますので、柔軟な勤務形態の実現が可能です。ぜひ一度ご相談ください。充実した人生になるように、一緒に働いてみませんか。

働き方改革は意識改革から

開・閉

平成22年卒 羽間大祐

 今朝も何度「早くして!」と言っただろうか。保育園から大学に向かう車の中、イライラした自分にため息が出る。共働き世帯の朝は早い。もっとゆっくり登園するお友達もいる。その点は申し訳ないと思う。 私の妻は消化器内科医である。今は別の病院で働いている。医者同士の夫婦にはいい点がたくさんある。お互い困ったらコンサルトできる。あやしい肺の影のCTが送られてきたこともあるし、よくわからない胆道系酵素上昇の相談をしたこともある。しんどいあるあるも理解できる。学会前とか、時間ギリギリの緊急入院とか、理不尽な上司命令とか。「あーわかる。お疲れさんやな。」2人のときはそれで良かった。自分のことぐらいは自分でできるから。どれだけ相手が忙しくなっても、自分の時間が侵されることはないし、どれだけ自分が忙しくなっても、相手の時間を犠牲にすることはない。自分の“出力”が120%になっても、150%になっても、全て自分の中で処理できる。
でも子供ができるとそうはいかない。保育園は朝預かってくれる時間が決まっているし、そもそもそんなに朝早くは準備が整わない。起こしても起きないし、なかなか朝ご飯は終わらないし、着替えを出したら「ズボン脱いだらパンツまで脱げたよ!」とお尻を見せに来てくれる。かわいい、、いや「早くして」。上の子が夜勉強を始めると、下の子が自分もしたいと邪魔しに行き、ケンカが始まる。かつてはし○じろうのDVDという心強い味方がいたが、すぐに耐性ができてしまった。最近は本の読み聞かせをすると喜ぶのでそうしている。その間にできたはずの家事は後回しになってしまうが、読書が好きなのはいいことだ。昔、姉と私のために母が本を読んでくれたことを思い出す。「くまのパディントン」とかだったと思う。内容はもう忘れてしまったが、「今日はここまで」と毎日少しずつ読んでくれたことは今も鮮明に覚えている。子供はかわいいし、多くのことを教えてくれる。子育ての大変さを通して自分や妻の両親に生まれる感謝もその一つかもしれない。  
 いずれにしてもこれまで同様の時間の使い方ではまずいことに気がついた。女性は妊娠した時から母親になるが、男性は子供が産まれてからようやく父親になるという。まさにそんな感じである。完全に出遅れた。これまで同様の“出力”を維持するためには、自分の働き方を見直す必要性があった。そして、幸いにしてこのタイミングで自分にも若手の先生がついてくれるようになった。現在、私は病棟で入院主治医を務めている。自分が大学に戻ってきたばかりのとき、当時の主治医であった中田恭介先生(現甲南医療センター呼吸器内科部長)は、私たちに多くの裁量を与えてくれ、非常に働きやすかった。きっと「もっとこうすべきだ」と思うところもあっただろうが、細かいことには目をつぶってくださった。今、実際その立場に自分がなってみると、そのさじ加減はなんとも難しい。もともと自分で見たもの以外は信じないタイプだというのもあるが、そもそも彼らは既に十分にトレーニングを受けた医師であり、基礎研究を4年行ってきた自分と臨床経験は大差ない。“教える”という言葉自体に違和感がある。“相談を受ける”そんな感じだろうか。そこで、グループラインを作成し、休日や夜間は登院する医師は基本的に一人とするが、常にグループ内で情報を共有し、相談できるようにした。信じること、任せること。考え方を変えることで働き方は多少変えられる。このような働き方ができるのも、医師数の多い大学病院ならではであろう。当科には小さい子供をもつ医師も多く、それぞれの事情や不測の事態にも理解が得られやすい。一方で、多様な生き方が許容される社会の中で、独身だから、子供がいないからという理由で仕事が集まってしまうことはないし、そうであってはならないと思う。  
 妻は勤務先で信頼される消化器内科医であり、息子の耳にできた水疱を診て瞬時に水痘を疑える家庭医であり、子供の将来を考えて勉強の計画を立てる教師であり、今日も家族のために家事を行う主婦でもある。そして私よりも稼ぎも多い。。いや、それはもうね、チートだよ。ベジータじゃなくても「がんばれカカロット、お前がナンバー1だ」って言いたくなるよ。私もベジータ、、いやクリリンぐらいは頑張っていると信じたい。まだまだ修行中の身だ。
 以上のように、私の毎日はここで偉そうに述べられるようなものではない。妻におんぶに抱っこで、近くに住む義両親にも助けてもらっている。「もっと時間があればあれもこれもできたのに」と悔やむ毎日の中で、日々成長していく子供たちのように、夫としても父としても医師としても、一歩ずつでもレベルアップできるできるように、今後も努力を重ねていきたい。

   

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