教授挨拶

 2021年5月1日付で小児外科の特命教授を拝命しました。神戸大学小児外科に教授職が配置されるのは歴史の中で初めてでありそのことが大変喜ばしいと同時に、その職に自分が就くことになり身の引き締まる思いです。
 外科学の領域では、国内外とも小児外科は消化器外科・心臓血管外科・呼吸器外科・乳腺外科と並ぶサブスペシャリティの一つと考えられています。その中で小児外科は手術を必要とするこどもを治しその後の長い人生に影響を与える責務を負う分野です。「技術・知識」と「心」をともに大切にする医師を育成し、地域の小児医療体制を整え、患者さんや医療・医学に貢献するチームを目指して引き続き尽力したいと思います。よろしくお願い申し上げます。

 小児外科は、新生児・乳児から成人まで幅広い年齢の患者さんを対象に、外科手術治療を行う診療科です。手術する臓器や疾患も、胸部・腹部・体表・泌尿器系など幅広く対象とします。小児外科の診療では、その対象の幅広さから高い技術・基礎力と多くのことに対応できる応用力を発揮します。外科医として、こどもを手術で治し、その後の成長を支え、未来を創るという、たいへん喜びとやりがいのある診療科です。一方で専門性が高い分野でもあります。基礎研究では未解明の先天性疾患発生や難病治療に対する研究、臨床医学では技術を磨くとともに低侵襲手術や傷の小さい手術の工夫などを研究し、追及しています。

神戸大学小児外科の特徴は、

教育・研修
小児外科を専攻できる研修病院を関連病院に複数もち、神戸大学病院が基幹施設となって関連病院と幅広く連携し、日々の診療や専門医育成・学生教育に力を注いでいます。学問としての小児外科学に接することは、小児外科の疾患を学ぶことで、発生・解剖・生理学など基礎医学を見直し、臨床では医療技術を習得しこどもの治療に生かすプロフェッショナルの在り方を学び、加えて医療の原点に立ち返ることのできる貴重な機会です。私たちはそれらを全て学生や若手医師の糧になるよう指導しています。

地域医療
地域のクリニックの先生方や在宅医療、教育機関、訪問看護などと連携し、患者さんの日常に寄り添い、地域医療に貢献するという、医療の原点を実践しています。

診療
肺・気管・頸部・体表・消化管・肝胆膵など様々な臓器や疾患の手術を手掛け、時には科内だけにとどまらず学内の外科学講座各分野や内科の先端技術とコラボレーションしてこどもに優しい先進的な小児医療を提供しています。

研究
基礎医学では発生学の研究室とともに質の高い共同研究を行い、小児外科学の発展に貢献しています。

交流
学会活動や国際交流を通じて、国内・海外の小児外科の発展に貢献しています。

私たちは、開かれた、人に貢献する、未来を創る、思いやりのある小児外科チームです。伝統ある神戸大学小児外科を、時代とともに発展させ、いつもこどもたちの未来に貢献するチームであるよう努力を続けています。見学やコラボレーションは大歓迎ですので、いつでもご連絡ください。