喘息死は防止できることを前提に「喘息死ゼロ作戦」を推進しています。

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喘息死ゼロ作戦詳細患者さん向け医療従事者向け

喘息診療サポート

救急外来患者の治療の手順

患者が来院したら、症状を観察して表を参考に、喘息発作強度の判定を速やかに行いましょう。帰宅可能と判断しても、喘息の慢性期治療を参考に、従来の治療をステップアップして継続するよう指示しましょう。また、ステロイド薬投与例では経口ステロイド薬の追加ないし増量を、通常は1~2週間を基準に考慮してください。

 
発作
強度
呼吸
困難
動作 検査値 治療 自宅治療可、
救急外来入院、
ICU管理
PEF SpO2 PaO2 PaCO2
喘鳴/
息苦しい
急ぐと苦しい
動くと苦しい
ほぼ普通 80%
以上
96%
以上
正常 45mmHg
未満
β2刺激薬吸入、頓用
テオフィリン薬頓用
自宅治療可
軽度
(小発作)
苦しいが
横になれる
やや困難 β2刺激薬吸入、頓用
テオフィリン薬頓用
自宅治療可
中等度
(中発作)
苦しくて
横になれない
かなり困難
かろうじて歩ける
60

80%
91

95%
60mmHg
45mmHg
未満
β2刺激薬ネブライザー吸入反復
ボスミン(0.1%アドレナリン)皮下注
アミノフィリン点滴静注
ステロイド薬点滴静注
酸素
抗コリン薬吸入考慮
救急外来
・1時間で症状が改善すれば帰宅
・2~4時間で反応不十分、1~2時間で反応なしの場合は入院治療→高度喘息症状治療へ
高度
(大発作)
苦しくて
動けない
歩行困難
会話困難
60%
未満
90%
以下
60mmHg
以下
45mmHg
以上
ボスミン(0.1%アドレナリン)皮下注
アミノフィリン持続点滴
ステロイド薬点滴静注反復
酸素
β2刺激薬ネブライザー吸入反復
救急外来
・1時間以内に反応がなければ入院治療
・悪化すれば重篤症状の治療へ
重篤 呼吸減弱
チアノーゼ
呼吸停止
会話不能
体動不能
錯乱
意識障害
失禁
測定
不能
90%
以下
60mmHg
以下
45mmHg
以上
上記治療継続
症状、呼吸機能悪化で挿管・人工呼吸
気管支洗浄
全身麻酔を考慮
直ちに入院、ICU管理

喘息の慢性期治療の実際

まず、未治療患者においては、表1に示したような症状を目安にして治療ステップを選択してください。これを参考にして、表2に示すような各ステップに応じた治療薬を選択してください。

既に薬物治療中の患者では、表3に示すコントロール状態の評価を参考にしてください。コントロール良好なら現在の治療の続行あるいは良好な状態が3~6ヶ月持続しておれば、ステップダウンして1段階軽症の治療を選択してください。コントロール不十分なら現行の治療ステップを1段階アップ、コントロール不良なら現行の治療ステップを2段階アップしてください。

表1
  治療ステップ1
(軽症間欠型相当)
治療ステップ2
(軽症持続型相当)
治療ステップ3
(中等症持続型相当)
治療ステップ4
(重症持続型相当)
対象となる症状 症状が週1回未満
症状は軽度で短い
夜間症状は月に2回未満
症状が週1回以上、しかし毎日ではない
月1回以上日常生活や睡眠が妨げられる
夜間症状は月2回以上
症状が毎日ある
短時間作用性吸入β2刺激薬がほぼ毎日必要
週1回以上日常生活や睡眠が妨げられる
夜間症状が週1回以上
治療下でもしばしば増悪
症状が毎日ある
日常生活が制限される
夜間症状がしばしば
表2
    治療ステップ1 治療ステップ2 治療ステップ3 治療ステップ4







吸入ステロイド薬(低用量) 吸入ステロイド薬(低~中用量) 吸入ステロイド薬(中~高用量) 吸入ステロイド薬(高用量)
上記が使用できない場合以下のいずれかを用いる
LTRA
テオフィリン徐放製剤
上記で不十分な場合に以下のいずれか1剤を併用
LABA(配合剤の使用可)
LTRA
テオフィリン徐放製剤
上記に下記のいずれか1剤、あるいは複数を併用
LABA(配合剤の使用可)
LTRA
テオフィリン徐放製剤
上記に下記の複数を併用
LABA(配合剤の使用可)
LTRA
テオフィリン徐放製剤
上記のすべてでも管理不良の場合は下記のいずれかあるいは両方を追加
抗IgE抗体
経口ステロイド薬
追加
治療
LTRA以外の抗アレルギー薬 LTRA以外の抗アレルギー薬 LTRA以外の抗アレルギー薬 LTRA以外の抗アレルギー薬
発作治療 吸入SABA 吸入SABA 吸入SABA 吸入SABA

LTRA:ロイコトルエン拮抗薬、 LABA:長時間作用性β2刺激薬、 SABA: 短時間作用性β2刺激薬

表3
  コントロール良好
(すべての項目が該当)
コントロール不十分
(いずれかの項目が該当)
コントロール不良
喘息症状
(日中および夜間)
なし 週1回以上 コントロール不十分の項目が
3つ以上当てはまる
発作治療薬の使用 なし 週1回以上
運動を含む活動制限 なし あり
呼吸機能
(FEV1.0およびPEF)
正常範囲内 予測値あるいは
自己最高値の80%未満
PEFの日(週)内
変動
20%未満 20%以上
増悪 なし 年に1回以上 月に1回以上
喘息コントロールテスト(ACT)
この質問票を用いると、12歳以上の喘息患者さんの現在のコントロール状況が把握できます。
喘息カード
治療内容などを記載していただき、患者さんに携帯させてください。患者さん別の治療内容や救急対応法が把握できるようになっています。

患者向けパンフレット

喘息を理解してもらうための患者さん向けのパンフレットです。病状説明にご利用ください。

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