喘息とは、喘ぐ(あえぐ)ように息(いき)をすることから付けられた病名です。明け方や夜中に強く症状が認められることが多く、ヒューヒューやゼーゼーといった笛の鳴るような呼吸音(喘鳴)が特徴的で、激しい咳や息苦しさ(呼吸困難)を伴う疾患です。長い間、喘息は発作のときだけ気管支の収縮が起こる病気と考えられてきました。しかし研究が進むにつれて、気管支喘息は慢性的に(症状が見られないときでも)気管支に炎症が生じている疾患であることが分かってきました。慢性の気道炎症が喘息という病気の本体です。このため普段から(症状が無い状態でも)、定期的な治療が必要と考えられています。
十分な治療を受けておられない喘息患者さんは、慢性の気道炎症によって徐々に気管支が弾力性を失い、絶えず気道狭窄を起こした状態となり持続的な呼吸困難や、痰を産生する気道の細胞も増加によって、痰が絶え間ないなどの症状を訴えられます。喘息死はこうした狭窄した気管支に粘度の高い痰が詰まって引き起こされます。喘息死の予防には慢性の気道炎症を抑える治療が必要です。現在、この気道炎症治療に有効であると考えられているのが吸入ステロイド治療です。