成人喘息、特に高齢者喘息の診断は他の慢性気道疾患との鑑別が困難です。喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性鼻炎などの慢性気道疾患は、有病率が低下してきている他疾患と異なり、依然増加傾向にあるため、これらの疾患に対する質の高い医療を普及させることは重要です。慢性気道疾患患者の治療にあたるのはプライマリケア医ですが、エビデンスに基づく国際的ガイドラインは専門的で難しく、一般のプライマリケア施設で利用できない診断・治療手法の使用を推奨しているため実践的ではありません。そこで、プライマリケア医にも診断できるように企画されたのがIPAGガイドラインです。IPAGはいくつかの世界的な喘息のガイドラインに基づいて、プライマリケア施設で実践できる実用的診断法と治療法を抽出し、慢性気道疾患患者への最良なケアの提供を助ける
「IPAG診断・治療ハンドブック」(▼ダウンロード)を作成しています。
気管支喘息とCOPDの鑑別
喘息の診断には、40歳以上で喫煙歴がある成人に対してCOPDを鑑別することが重要ですが、難しいケースも少なくありません。IPAGの作成した
「COPD質問票」(▼ダウンロード)はCOPDの簡易スクリーニング問診票です。プライマリ医師の先生方には当質問票を活用していただき、喘息の診断に役立てください。
COPD質問票の評価方法は下記のとおりです。
患者さんの回答から総ポイント数を計算してください。
17ポイント以上 |
COPDの可能性が考えられます。スパイロ検査(気管支拡張薬吸収後の1秒率測定を含む)や身体診察などによってCOPDの診断を確定する必要があります。 |
16ポイント以下 |
COPDの可能性は低いと考えられます。
ぜん息などの別の診断を検討する必要があります。 |