研究概要
 私たちの研究室では、モノの「かたち」を詳細に観察して、その「はたらき」を知ることを基本姿勢としています。この形態学的手法は、歴史的には肉眼で見える形態の観察(マクロ形態学Morphology・解剖学Anatomy)から始まりましたが、時代とともに大きく進歩し、現在ではナノメートルレベルの分子の「かたち」やさらに小さい原子までも観察することが可能になりました(分子形態学Molecular Morphology)。私たちは、X線やクライオ電子顕微鏡を使用して様々な分子の「かたち」を観察してその「はたらき」に迫ります。発生のメカニズムを解明したり、難病の発症機構を明らかにすることで治療法の開発にも繋げたいと考えています。


主な研究課題
1) 細胞骨格ダイナミクス制御を切り口とした生理・病理機構解明
 ・微小管重合・脱重合ダイナミクスの構造基盤と軸索伸長制御の分子機構の解明
 ・神経細胞分化の分子機構の解明:原子レベルの構造からマウス・ゼブラフィッシュを用いた個体レベルの解析まで
 ・クライオ電子顕微鏡を用いた心筋細胞内部構造の解明:正常細胞と心筋症細胞の比較による病理構造基盤の解明

2) 転写制御を切り口とした生理・病理機構解明
 ・個体の恒常性を司る幹細胞制御システムの解明:造血幹細胞の維持機構からその破綻による白血病発症、老化メカニズムの解明
 ・新規白血病治療法開発に向けた転写メディエーター複合体CDKモジュールの転写制御機構の解析

主な研究手法
 ・クライオ電子顕微鏡構造解析:単粒子解析、クライオ電子線トモグラフィー
 ・X線結晶構造解析
 ・超分子複合体の組換えタンパク質調整

JEM1400-Plus Spring-8
日本電子JEM 1400-Plus Spring-8
Gatan 626 Cryo-transfer holder

recombinant
バキュロウイルス-昆虫細胞組換えタンパク質発現システムによる超分子複合体の組換えタンパク質調整