医師・医学生の皆様へ│初期・後期研修

教育システム

総合内科での教育プログラム、教育システムを病棟、外来、その他について簡単に紹介します。

1.教育プログラム

当科には、様々な先生方が学びに来られています。
経験年数も卒後3年から10年以上、将来総合内科医を目指す先生だけでなく、臓器別診療科に進む先生、どの診療科に進むか未定の先生、既に内科医として経験を積まれた先生、様々な先生方がおられます。
研修期間や次の研修先等は当科スタッフと相談の上で決定しますので、その期間も異動先も下記のようにまちまちですが、全人的な医療を提供できる医師になる、医師を育てるという目標は同じです。
同じ目標をお持ちの先生方、是非一緒に学びませんか。
(異動先例(50音順):赤穂市民病院、沖縄米国海軍病院、加古川市民病院機構、亀田総合病院、神戸大学病院(他診療科)、神鋼病院、高松平和病院、東京大学、東京ベイ・浦安市川医療センター、西淀病院、ハワイ大学内科、六甲アイランド病院など)

2.病棟での教育システム

指導医、医員、研修医からなる主治医団チームによる診療を行います。
時期によって6年次、5年次医学生も各チームに配属されますので、「屋根瓦方式」の教育をチーム内で行います。 ベッドサイドではiPadを用い、UpToDateや総合内科独自のデジタルアーカイブに リアルタイムでアクセスしながら学ぶ体制を整えています。デジタルアーカイブには当科で行われたLecture、EBMカンファレンス、話題になったTopicのまとめ、Keyとなる文献資料が含まれており、院内のどこからでもアクセス可能です。病棟でのスケジュールは下記の通りです。簡単に内容を紹介します。

(1) Morning conference (MC)

毎朝、全ての症例を対象に全員参加で行われるカンファレンスで、医学生、研修医がプレゼンテーションを担当します。目的は以下の3つです。月曜日と火曜日は6Fカンファレンスルーム。水曜~金曜日は9Fカンファレンスルームにて重症症例、教育的症例を対象として以下の3つを目的としています。

  • プレゼンテーションを学ぶ
  • 他のチームの担当症例を学ぶ
  • 症例に対するアプローチ(problem、hypothesisの考え方、EBMなど)を学ぶ

(2) Round (Team Conference + Team Round)

MC終了後、主治医団チームによる担当症例のカンファレンスと回診を行います。目的は以下の2つです。

  • 医員をリーダーとして新しい問題をチェック、チームとしてのアセスメント、プランを検討
  • 医員、研修医、医学生が主に面談、診察を行い患者さんから学ぶ

(3) Mini Lecture

BSL学生が各自自由にテーマを決め、5分間でプレゼンテーションし、質疑応答の練習をするものです。プレゼンテーションする学生の練習、発表の場、だけでなく、参加者の知識の習得、ディスカッションの練習の場でもあります。

(4) Lecture

研修医・学生にとって必要な知識やSkillについて、できるだけ入院症例に合わせたトピックを選んで行われるレクチャーです。診断推論や身体診察、また各専門分野を持ったスタッフ、医員から、専門分野的内容を総合内科の立場からの見方などのレクチャーです。またスタッフだけでなく、医員、専修医が担当することでレクチャーから学ぶだけでなく、教育的レクチャーを今後行っていけるスキルを身につけます。

(5) Physical Examination Round

診療科長による身体所見に重点を置いた回診です。医師にとって身体診察は重要な過程ですが、知識だけではなく実際の症例から学ぶことがポイントです。

(6) 退院プランニングカンファレンス

ソーシャルワーカーを含む患者支援センタースタッフ、病棟看護師、当科全員が参加、当科入院中の全ての患者さんを対象に退院に向けたプラン及び退院後のプランをディスカッションするカンファレンスです。患者さんの全人的問題にどのようにアプローチしていくのか、どのようにチーム医療を進めていくのかを学ぶ機会です。

(7) Lecture+医局会

(i) 医員、指導医によるレクチャー
各専門分野を持ったメンバーからの基本的内容から最新情報までのレクチャー
(ii) EBMカンファレンス
EBMとは「批判的に原著論文を吟味した内容」と「患者の価値観」及び「患者の臨床的状態」の3つを、「医師の臨床的専門技能」を用いて統合することです。自分の担当する患者さんのRealな問題に関する原著論文を検索し、その内容を批判的に吟味し、最終的にその患者さんにどのように還元するのか、をフォーマットに沿って発表することでこの一連の過程を学んで頂くカンファレンスです。
(iii) M&M(mortality & morbidity)カンファレンス
死亡症例や重大な合併症を来した症例を題材として,悪い転帰に至った原因を医療システムや環境・組織レベルであぶり出し,次の失敗を回避することで医療の質向上をめざすカンファレンスです。その症例に関わった診療科との合同カンファレンスを行うことで、多面的な見地からの有益なディスカッションができます。
(iv) 退院サマリー検討会
退院サマリーをメンバー全員で再検討することにより、各症例の再認識・再検討、今後の方針に関する再調整を行うことができ、見逃し症例の回避や症例からのフィードバックが可能となります。

3.外来での教育システム

専修医、医員は必修、時期においては2年目研修医から参加頂きます。週に一度を原則として診察ブースを担当し、主に初診症例、コンサルテーション症例を対象に診察、初期対応を行います。診察時は上級医が常にバックアップ体制をとっており、同日中に症例についての振り返りを行い、鑑別診断の考え方、初期対応について学びます。

4.その他の教育システム

当院では、2005年より国内外よりClinician educatorとしてご高名な内科医師の先生方を招聘しています。2010年から毎年11月には、当科が中心となり、UCLAサンフランシスコ校よりLaurence M Tierney先生をお招きし英語によるケースカンファレンスを行うのが恒例となっています。又、兵庫医科大学、神戸市立中央市民病院、明石医療センター、神戸労災病院、伊丹市民病院、県立柏原病院といった多くの施設とケースカンファレンス等の交流を定期的に行っています。
又、心肺蘇生法の習得、指導を全ての医師必須のスキルの一つに位置付けており、 日本内科学会認定JMECCコース、救急医学会認定ICLSコースを受講するだけでなく、指導者参加を行っています。