患者様へ

低侵襲手術 (ロボット・内視鏡外科手術)

内視鏡外科手術

3Dモニターを用いた腹腔鏡手術の風景
3Dモニターを用いた腹腔鏡手術の風景
従来の消化管癌に対する手術は、腹部を大きく開き、病変を切除する開腹手術が第一選択でした。近年の手術技術の向上により、体壁の小さな創から二酸化炭素を注入してお腹を膨らまし、内視鏡カメラや腹腔鏡用鉗子を挿入し、高解像度モニター(3D・4K)を見ながら手術を行う内視鏡外科手術が行われるようになりました。従来の手術に比べ、①創が小さい、②術後の創痛が少なく回復・退院が早い、③内視鏡カメラの拡大視効果によるクリアな視野確保、といった利点があります。現在では、早期癌以外にも進行癌への適応が広がっており、当科でも内視鏡外科手術を第一選択としています。
 

ロボット支援手術

ロボット支援手術はその名のとおり、従来の腹腔鏡や胸腔鏡による内視鏡外科手術の一部に医療用ロボットを用いた手術です。現在までに食道癌、胃癌、大腸癌がロボット支援手術の保険適応となり、通常の開胸・開腹手術や内視鏡外科手術と同様に、保険診療で手術を受けていただくことが可能となりました。がんの進行状況によっては、従来の開胸・開腹手術や内視鏡外科手術が望ましい場合もあり、現時点では全ての患者さんにロボット支援手術を行えるわけではありません。しかし、患者様への手術侵襲の軽減や緻密な手術を提供するという点において、ロボット支援手術も有用な治療手段になると考えています。

ロボット支援手術は、ロボット本体(図1)を患者さんの近くにおき、体壁の小さな創からロボット専用内視鏡カメラとロボット用鉗子を体腔内に挿入します。ロボット支援手術といってもロボットが自動で手術をするわけではなく、外科医が操作室(図2)に座り、遠隔操作でロボットを動かし手術を進めます。
 
  • ロボット本体
    (図1)
  • 操作室
    (図2) 

通常の内視鏡外科手術の利点に加え、多くの利点があり、最大の特徴は、通常の内視鏡用鉗子が直線状であることに対し、ロボット用鉗子は関節を持ち、手ぶれ(振戦)が全くないことです(図3)。直線の鉗子がとどかない場所でも、ぶれのない精密な手術操作が可能となります(図4)。
 
  • ロボット用鉗子
    (図3)
  • ロボット用鉗子では精密な手術操作が可能
    (図4)
ロボット支援手術は、学会で規定された資格や所定のトレーニングを満たした外科医にしか行えません。当科では食道癌や胃癌、大腸癌それぞれの領域において、多くの外科医がこの基準を満たし、ロボット支援手術を行う体制を整えています。


 

集学的治療

癌の主な治療法には「手術」「抗癌剤」「放射線」「免疫療法」があります。これらの治療法を組み合わせて治療を行うことにより、治療効果をより高め、また副作用や合併症を軽減させることが可能となります。このように、複数の治療法を組み合わせて行う治療を「集学的治療」と言います。癌の発症部位や進行度、重複癌の存在、また基礎疾患の有無や既往歴などにより、患者さん一人一人に最適な治療法は異なります。

食道胃腸外科では、消化器内科や腫瘍血液内科、放射線腫瘍科、泌尿器科、産婦人科など様々な分野の専門科や緩和ケアチームと協力し、患者さん一人一人に適した最適な治療方法を検討し、最善の治療を行っています。

 
集学的治療


下記のようなカンファレンスを行い、最善の治療法について話し合っています。
   
カンファレンスの様子
 

 

受診方法

原則として予約診療を行っております。
 
臓器ごとの専門医が、外来・入院を通じて担当し、治療にあたります。
疾患にもよりますが、比較的短い待機期間での手術が可能です。

また、セカンドオピニオン外来も設置しています。
ご希望の際は、かかりつけ医療機関にご相談ください。

詳細については、神戸大学医学部付属病院ホームページ「外来受診のご案内」をご確認ください。
神戸大学医学部付属病院ホームページ「外来受診のご案内」


 

外来担当表

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初診 後藤 掛地教授(第1,3,5週)
金治(第2,4週)
掛地教授 担当医 金治(第1,3,5週)
長谷川(第2,4週)
再診 食道 後藤
雜賀
  小寺澤    
  金治(第2,4週)
原田
裏川   金治(第1,3,5週)
大腸   山下 松田
澤田
  長谷川
 
 

本院を初めて受診される方・当日の予約がない方

受付時間:午前8時30分~午前11時
 

再診の方

受付時間:予約時間までにお越しください
 

休診

土曜日、日曜日、祝休日、年末年始(12月29日~1月3日)
外来診察の予約・お問い合わせ先はこちらから


 

臨床研究の開示

National Clinical Database(NCD)への参加について

当科は、一般社団法人National Clinical Database(NCD)が実施するデータベース事業に参加しています。この事業は、日本全国の手術・治療情報を登録し、集計・分析することで医療の質の向上に役立て、患者さんに最善の医療を提供することを目指すプロジェクトです。この法人における事業を通じて、患者さんにより適切な医療を提供するための医師の適正配置が検討できるだけでなく、当科が患者さんに最善の医療を提供するための参考となる情報を得ることができます。何卒趣旨をご理解の上、ご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
一般社団法人 National Clinical Database(NCD) 一般のみなさまへ
 

臨床研究の開示について

臨床研究は原則として、対象となる患者さんに文書や口頭で説明を行い、同意を得た上で行われます。(この同意取得の形式を「オプトイン」といいます。)

一方で臨床研究のうち、患者さんへの侵襲や介入を行わず、カルテ上の診療情報や既存の試料等のみを用いて行う研究を、「観察研究」といいます。観察研究では、必ずしも対象となる患者さん一人一人から直接同意を得る必要がない場合があります。その場合には、国の倫理指針に基づき、研究の目的・実施情報を広く公開し、ご自身の情報が研究に用いられることを拒否する機会を、患者さんに対して可及的に保障することが必要とされています。(これを「オプトアウト」といいます。)

当科では、新たな医学的知見を得るため、患者さんを診療する過程で得られたデータや検体を用いて、様々な臨床研究・基礎研究が行われています。いずれの場合も、神戸大学医学部附属病院の倫理委員会の承認の下、臨床研究内容の開示・オプトイン・オプトアウトを行い、また患者さんの個人情報が決して公にならぬよう充分に配慮しております。

当科の研究の種類及びその詳細については、神戸大学医学部附属病院ホームページ「臨床研究について」に掲示されています。
神戸大学医学部附属病院ホームページ「臨床研究について」