
先輩スタッフの声
senior doctors interview
医学物理⼠ 清水 康之

- 出身大学
- 東京薬科大学
- 役職
- 特命技術員
- 専門領域
- 医学物理学
- 研究分野
- Amelioration of Radiation Enteropathy by Dietary Supplementation With Reduced Coenzyme Q10.
医学物理士と聞いて何を連想するでしょうか?
診療放射線技師の方はご存知の方も多いでしょうが、日本では一般的にまだあまり知られていない職種です。医学物理士認定機構によると『医学物理士とは、放射線医学における物理的および技術的課題の解決に先導的役割を担う者で、医学物理士認定機構が実施する医学物理士認定試験および認定審査に合格した者です。』とあります。医学物理というと広い意味にとることができますが、放射線治療の分野における医学と物理学のスペシャリストです。昨今では技術の発達により放射線治療は日々より高い精度が求められるようになり、専門的な技術、知識のニーズが高まりつつあります。これを受けて医学物理士は患者により安全で高度な放射線治療を提供するために不可欠なものとなってきています。実際私たちが行っている日常的な実務としては概ね下記の内容が挙げられます。
放射線治療装置の精度管理
がん治療の患者の放射線治療計画の補佐
完成した放射線治療計画の安全性、精度の確認
放射線治療の物理学、生物学的な研究
医学物理コースではこれらに必要な専門知識、技術の習得や研究を行い、神戸大学医学部附属病院や関連病院の医学物理士として放射線治療を支え、発展させていくこと目標としています。神戸大学の医学物理コースの特徴として様々な背景を持った人が所属しているということが挙げられます。現在では放射線技師を背景としている人だけでなく理工系、生命科学系の大学の出身人もいます。そのため、各々によって医学物理士として必要なカリキュラムが異なります。医学系や放射線物理学など多くは楠キャンパスで受講し、必要に応じて基礎物理系の一部の科目については六甲台キャンパスで開講される理学部の講義を受講するといった柔軟に対応しています。私は生命科学出身だったため物理系については専門外でしたが、カリキュラムの甲斐もあり知識を深め、現在では医学物理の資格を取得できています。また、神戸大学の医学物理士は放射線腫瘍科の医師と距離が近く、医学物理士は学生も含め、放射線腫瘍科の治療カンファレンスに参加します。そのカンファレンスを通して放射線治療の有用性を知ることができ、また患者にとって何が必要か?医学物理士の立場から何ができるのか?など考えさせられることも多く、デスク上での勉強だけでは学べない多くの知識、刺激をうけることができます。また、研究のカンファレンスにおいても医師と物理士で垣根なく、互いに高めあえる環境となっています。
神戸大学の医学物理コースは医学物理士認定機構の認定コースでもあり、教育の環境は整っています。今、放射線医学や物理学に詳しくなくても問題ありません。未来の放射線治療をより良いものとする気持ちがあれば大丈夫です。神戸大学放射線腫瘍科は医学物理の学生を募集しています。神戸大学の医学物理士に興味を持ったならぜひ見学にお越しください。