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先輩スタッフの声

senior doctors interview

放射線腫瘍医 妹尾 悟史

出身大学
神戸大学 2012年卒
役職
特定助教
専門領域
婦人科腫瘍、膵臓癌
研究分野
CoQ10を用いた放射線治療の有害事象の軽減、膵臓癌に対するスペーサ併用高精度放射線治療

皆さんの放射線治療科に対する印象はどのようなものでしょうか。学生の方にとっては親族や友人に放射線治療を受けた人がなければ、ほぼ印象がないも同然でしょうし、研修医の方にとっては病院の端にある部屋で癌に放射線を照射している医者といった程度でしょうか。確かに医学部に入る前に抱いている一般的な医師像とはかけ離れているかもしれません。しかし、放射線治療は「科学のメスで癌を斬る」との考えのもと、全身の癌を治療対象とし、根治治療から緩和まで幅が広く、他科と比較して独自性もある非常に魅力ある診療科なのです。私はいわゆる再受験生として医学部に入学し、医者となりました。医学部に入学当初は救急医ないし麻酔科医を志していましたが、6年間の学生生活と2年間の研修医生活を経て、放射線腫瘍科を志望するに至りました。この8年の間で私が放射線治療に魅せられた経緯をお伝えし、この文章を読んだ後に少しでも放射線治療に魅力を感じていただければ幸いです。

私は18歳で歯学部に入学し6年間を過ごしました。歯学部の学生時代で最も興味を持ったのが麻酔科での全身管理や歯科救急で、卒業後は歯科麻酔科に入ることも一時は考えましたが、「せっかく全身管理を学ぶなら、医学部で全身のことを十分に勉強してからでも遅くはない」と考え、一念発起して26歳で医学部に入学しました。入学後は救急の初期体験臨床実習への参加など色々と勉強しましたが、授業で色々と勉強していくうちに、癌治療に興味を持つようになりました。そのきっかけとなったのは佐々木教授の授業で、食道癌や子宮頸癌、肺癌など手術のイメージの強い腫瘍を、放射線治療で治すという内容でした。授業を受けるまでの癌治療の印象は、手術が主体で、術前や術後に抗癌剤治療も行われる程度で、放射線治療に関しては存在を知っている程度の知識しか持ち合わせていませんでした。その印象が根本からひっくり返され、手術と同等ないし癌種によっては手術以上の治療成績があることに衝撃を受けたことは今でも覚えています。それ以降は放射線腫瘍科医を目標としてぶれることなく現在に至り、無事に専門医試験にも合格しましたが、神戸大学という環境も良かったように思います。神戸大学は関連病院が多く、粒子線治療を行う兵庫県粒子線センターや神戸陽子線センター、高精度の放射線治療を専門的に行う神戸低侵襲がん医療センター、臨床研究に秀でた県立がんセンターや国立がんセンターなど多様性があり、お互い協調して放射線治療科医を教育するとういう統一した意識があります。この環境で勉強できたのは非常に有用であったと感じています。
以上が簡単ではありますが、放射線腫瘍科医を目指した経緯です。どのように感じたでしょうか。放射線腫瘍科に対する印象が変わったでしょうか。少しでも興味を持って頂けたのであれば、見学に来てください。いつでもお待ちしています。文章だけでは伝えきれない放射線治療の魅力を直接感じることができると思います。