医局からのお知らせ

  • 2023.09.09
  • お知らせ
  • 【研究成果】大野雄康らの原著論文がKobe J Med Sciに掲載されました

  • Ono Y, Saito M, Shimomura K, Shinohara K, Yamada N, Iwasaki Y, Inoue S, Kotani J. Gender Disparities in First Authorship at Three Medical Universities in an Area Affected by the Great East Japan Earthquake. Kobe J Med Sci. 2023;69:E64-E78.

    2011年3月11日に発生した東日本大震災は、近現代に起きた最も大きな自然災害のひとつです。academic publicationにおける性差は、解決すべき喫緊の課題です。今回当科の大野雄康らの研究チームは、東日本大震災が「ストレステスト」として働き、既存のacademic outputの性差を拡大するのではないか、と仮説を立てました。

    研究チームは上記の仮説を検証するために、MEDLINE databaseを用い、被災地3つの医科大学より2007年3月11日から2015年3月11日の期間に出版された全ての医学論文を抽出し、震災前後4年間における女性第一著者の割合を比較しました。

    全部で5,873本の論文が解析され、女性第一著者の割合は、東日本大震災の後有意に低下することが分かりました (20.5% vs. 14.1%; OR 0.64; 95% CI 0.56-0.73)。同様の傾向は、原著論文、臨床医学系講座、インパクトファクター>6の医学雑誌、公立大学などの事前に設定したすべてのサブグループで一致していました。

    女性第一著者の低下は特に震災後2年間が著しく、震災の影響をほぼ受けていない、関西にある2つの医科大学からの参照データは、逆のトレンドを示しました。
    これらのデータは、総じて、大きな自然災害は既存のacademic outputの性差を拡大する可能性を示唆しています。大震災の後の女性研究者に、より支援が必要になる可能性が示されました。

    今後の災害後の支援等を考えるうえで重要な学術資料になると考え、ここに紹介させていただきます。

    この論文の全文には以下のリンクからアクセスできます:
    https://www.med.kobe-u.ac.jp/journal/contents/69/E64.pdf

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