医局からのお知らせ

  • 2020.11.17
  • お知らせ
  • 【研究成果】斎藤 雅史らの研究成果がBrain, Behavior, and Immunity (2020) に掲載されました

  • Saito M, Fujinami Y, Ono Y, H Sakahira, Ohyama S, Fujioka K, Yamashita K, Inoue S, Kotani J. Infiltrated regulatory T cells and Th2 cells in the brain contribute to attenuation of sepsis-associated encephalopathy and alleviation of mental impairments in mice with polymicrobial sepsis. Brain Behav Immun. 2020:S0889-1591(20)32386-2. doi: 10.1016/j.bbi.2020.11.010. Online ahead of print.

    このたび当科の斎藤雅史らは、敗血症関連脳症やその後に発症しうる精神障害における、リンパ球の重要性を明らかにしました。

    斎藤らは、まず敗血症関連脳症モデルマウスの脳内で炎症ががおき、リンパ球が増加している事、アストロサイトが減少していること、ならびにうつ様行動や不安様行動が増強していることを明らかにしました。
    興味深いことに、リンパ節から脳内へのリンパ球の浸潤をFTY720という薬物を使用し阻害すると、上記で観察された脳内炎症、うつ様行動、不安様行動、ならびにアストサイト数の回復がいずれも遷延しました。
    敗血症マウスの脳内において増加したリンパ球を解析したところ、その一部が制御性T細胞ならびにTh2細胞であることが分かりました。
    これらの結果は、制御性T細胞ならびにTh2細胞が、敗血症マウスにおける脳内炎症を抑制し、敗血症関連脳症および不安様行動の回復に寄与していることを示唆します。

    敗血症関連脳症は、死亡率増加および長期間の精神障害と関連する、非常に重大な疾患群です。本研究は本疾患の病態を、明瞭に描出した重要な研究成果であると考えられます。


    本研究成果の概要は、以下のリンクからご覧になれます:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0889159120323862?via%3Dihub

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