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 下まぶたの治療 


下まぶたは、実は老化が現れやすい部分です。 そして老化だけではなく、若い方でも下まぶたの形によっては影ができ、それがクマとなって疲れた印象を与えることもあります。 ここでは主に老化による下まぶたの変化を、手術によって改善する方法を説明しますが、若い方に提供する手術も同じですので、ぜひ参考になさってください。

|| 下まぶたの働きと解剖

下まぶたの構造

図1:下まぶたの構造(※クリックで拡大)

上眼瞼(上まぶた)のページでも述べましたが、手術を理解するためには、その働きと構造(解剖)を理解することが必要です。

下まぶたの構造は、上まぶたの『ミラーイメージ』、つまり上まぶたの構造を、そのまま鏡に映したように上下入れ替えたような構造になっています。下まぶたと上まぶたの一番の違いは、その動きです。上まぶたは瞬きのたびに大きく上下に動きますが、下まぶたの動きはわずかなもので上まぶたほど大きくはありません。

実際の構造は、皮膚の下には①眼輪筋があり、その下には②眼窩隔膜があり、眼窩隔膜の中には③眼窩脂肪が収まっています。 上まぶたの眼瞼挙筋のような大きく動く筋肉はありませんが、その代わりに④瞼板筋、下直筋と連続しています。 そして下まぶたの皮膚は頬の顔面骨と⑤眼窩頬部靭帯のような比較的しっかりした組織で結ばれているのも重要な構造です。


|| 下まぶたの老化

老化による下まぶたの構造の変化

図2:老化による下まぶたの構造の変化(※クリックで拡大)

下まぶたは、上まぶたと違って動きが問題になることは少ないので、美容外科では形態が問題になります。もちろん下眼瞼の内反症、逆睫毛や外反症などの機能的な問題もあるのですが、それらは保険診療の適応となることが多いので、形成外科の受診をお勧めしています。
特に美容外科で問題になりやすいのは、「しわ」や「たるみ」の変化です。
次のコーナーでは、その原因と治療について詳しくみていきましょう。


|| 「たるみ」の原因とその治療は?

老化による下まぶたの構造の変化

図2:老化による下まぶたの構造の変化(※クリックで拡大)

老化によって皮膚はたるんできます(図2―①)
その結果、下まぶたは非常に皮膚が薄いため、「ちりめん皺」と呼ばれる、細かい皺ができてます。
もちろん、たるんでくるのは皮膚だけではありません。眼輪筋、眼窩隔膜、靭帯のすべてがたるんできます(図2―①〜⑤)
もっと詳しく見ると、骨格も変化してきます。その結果として、つまり皮膚だけの手術では、その治療としては不十分なのです。

私は下まぶたの老化の治療を、「足し算」と「引き算」で説明しています。
余ってきた組織を「引き算」で減らし、減ってきた組織を「足し算」で増やすことで、その原因を根本的に治していこうという考え方です。

「引き算」の治療
老化による下まぶたの構造の変化

図2:老化による下まぶたの構造の変化(※クリックで拡大)

例えば③眼窩隔膜がたるんでくると、その中に収まっている④眼窩脂肪が前に溢れ出てきますので、目袋やクマの原因となります。
その場合は、④眼窩脂肪が余ってきているので、「引き算」の治療が必要です。
つまり④眼窩脂肪を減らすことで症状を改善することができます。
【→経結膜眼窩脂肪除去術へ】

たるんでくるのは、もちろん③眼窩隔膜だけではありません。
もちろん、その上の①皮膚②眼輪筋もたるんできます。
その場合、経結膜眼窩脂肪除去術で奥にある④眼窩脂肪だけを減量すると、その上にある①皮膚は余計に余ってしまい、ちりめん皺やたるみを余計に悪化させる可能性があります。
その場合は、やはり「引き算」の治療で、たるんでしまった①皮膚を切り取る手術が有効です。
【→下眼瞼リフトへ】

「足し算」の治療
老化による下まぶたの構造の変化
下まぶたのシワと構造

図2:老化による下まぶたの構造の変化
図3:下まぶたのシワと構造
(※クリックで拡大)

ここまで「引き算」の治療を中心にお話ししてきました。
が、下まぶたの老化は組織がたるむだけではありません。
たとえば⑥頬部脂肪体が下垂する(下方に垂れ下がってしまう)という変化です(図2―⑥)。これにより頬はこけ、頬ぼねは突出します。
皮膚と頬の顔面骨を結ぶ靭帯が付着している部分に、その上にある皮膚や脂肪が乗りかかってくるため、たるみと凹みが目立ってくるのです(図3―①〜⑤)

わかりやすい目袋を例に、説明します。
まぶたと頬の境目には、眼窩頬部靭帯(orbiculis retaining ligament)という丈夫な構造があります。丈夫な構造のために、眼窩隔膜や皮膚がたるんで、下の方に落ちてくるとこの靭帯でひっかかるために、たるみは大きくなり、目立ってしまいます(図2―①〜③)
丈夫な靭帯ですが、これも老化によりたるんで下の方に移動していきます。すると目袋は下の方に広がってしまいます(図2―⑤)
つまりか眼瞼のたるみである目袋が、膨れてくるだけでなく、大きくなってくるのです。
さらには靭帯の部分にできる皺は、溝となり、その凹みは深くなります(図2―⑤)

凹みを埋めるには「足し算」の治療が必要です。

一番簡単なのはヒアルロン酸による「足し算」の治療です。
ヒアルロン酸はもともと人体が有している成分で、注射で「足す」ことが可能です。
すべての治療には長所と短所があります。
ヒアルロン酸は手術ではなく、注射だけで非常に簡単に治療が終了します。
数ヶ月で人体に吸収されてしまいますので、繰り返しの治療が必要になります。
また万一血管内に入ってしまうと、血管をつまらせて、最悪の場合には失明を生じるなどのリスクもあることは知っておくべきでしょう。

「足し算」の材料として有力なものに脂肪注入があります。
お腹や太ももから脂肪吸引という方法で採取してきた脂肪を、遠心分離機にかけて余分な成分を取り除き、純度を高めた脂肪を注射器で注入するという方法です。
ヒアルロン酸に比べて脂肪吸引の負担が増えますが、一度生着した脂肪はずっと残ります。
【→ 参考:脂肪による豊胸術】

「引き算」と「足し算」の複合治療

ここまで「引き算」の治療で余った組織を捨てて、「足し算」の治療で他所から採ってきた組織を加える、というお話を進めてきました。
考えてみると、もったいないですね。捨てるくらいなら、その組織を活用すれば良いのです。
目袋で余っている脂肪を、凹んだ部位に移動させる手術があります。
【→眼窩脂肪移動術へ】

このように『下まぶたのたるみ取り』は実はとても奥の深い分野なのです。
ここに書いただけでなく、眼窩脂肪移動術と脂肪注入術を組み合わせたり、落ちた頬部脂肪体を引き上げる手術を組み合わせる手術も可能です。
ただし忘れてはならないのが、『やればやるほど良いわけではない』ということです。
例えば、眼窩脂肪の膨らみがさほど大きくもないのに、眼窩脂肪移動術を行う必要はまったくありません。
大事なことは、患者さんごとに老化の進み方は違うことを理解し、必要な治療を相談するということです。
ぜひしっかりと相談に乗ってくれるドクターを探して、相談に乗ってもらってください。
もちろん神戸大学美容外科ではゆっくりと時間をかけて、相談に乗らせていただきますので、本ホームページをご覧になって、興味を持たれた方は遠慮なく受診なさってください。

(文責:神戸大学病院美容外科診療科長 原岡剛一)
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