研修案内

後期卒後臨床研修

研修の概要

すでに、初期卒後臨床研修を終了した医師、あるいは基礎や他科で勤務していた医師で、精神科医を目指す方は、まず当科の後期卒後臨床研修プログラムに参加し、3ないし5年間の研修を神戸大学医学部付属病院精神科および関連連携病院で受けます。連携病院との密接な協力体制のもと、標準的、科学的精神医療を身に付けた優秀な精神科医の育成に力を入れております。後期研修終了後、精神保健指定医・精神科専門医の資格が取得でき、精神科医療に貢献できる臨床家の育成を目指しています。

研修プログラムのイメージ

        
2年間 1~2年間1~2年間1~2年間
初期研修 後期研修プログラム
大学病院総合病院精神科病院
大学病院 精神科病院 総合病院

研修の内容

 後期卒後臨床研修1年目
後期卒後臨床研修1年目は大学病院で精神科医療の基礎を学ぶことを目標にしています。
大学病院での後期卒後研修は基本的には前述の初期研修に準じた週間スケジュールとなり、主として病棟を中心とした研修となりますが、上級医の指導の下に研修を深めつつ、主治医団の中でイニシアチブを取る場面が増えていくでしょう。またバックアップ体制の下で当直業務も経験して頂きます。疾患群としては一般的な疾患のほかに、認知症を中心とした老年期の精神疾患や摂食障害、アルコール依存症など、より専門性の高い精神科医療を経験することができます。また神戸大学精神科では司法精神医学領域においても積極的に取り組んでいますので、精神鑑定事例や医療観察法関連症例を通じてより深く精神障害における精神内界を学ぶことができます。症状性精神病など総合病院精神科でしか経験できないような症例を経験することもできます。
また大学病院においては近年、下記のような事業も行っております。

 神戸市認知症疾患医療センター(神戸大学 医学部附属病院内)
神戸大学医学部附属病院では、認知症専門外来“メモリークリニック”を設置し、神戸市の認知症診療の中心的役割を担ってきました。2009年には神戸市の指定を受けて認知症疾患医療センターを開設。地域のかかりつけ医との連携を深め、地域全体の認知症医療の活性化に取り組んでいます。

 難治性精神疾患地域連携ネットワーク事業
精神病床に入院中の難治性患者は、退院が困難となり入院が長期化しやすいですが、クロザピン等の専門的な治療により地域生活へ移行する例も少なくないとされており、その治療を実施するには、精神科病院と他科とのネットワークの構築等、地域での支援体制の構築が必要なため、将来の一般制度化に向けたモデル事業が厚労省精神保健対策費補助金として実施されています。兵庫県は全国で8カ所のモデル地区に選定され、神戸大学付属病院精神科がコア医療機関として管下医療機関である精神科病院との間にネットワークを構築し、連携に必要な体制を整備しています。
 後期卒後臨床研修2年目
後期卒後臨床研修2年目は、引き続き大学病院で研修を続ける場合と関連の単科精神科病院あるいは日本精神神経学会専門医研修施設である総合病院精神科で研修を行う場合とがあります。どの場合でも3~5年間の後期卒後臨床研修終了後は精神保健指定医および日本精神神経学会専門医に取得に必要な症例を経験することができます。
大学病院で研修を行う場合は、週に1枠外来を担当頂き経験の幅を広げて頂きます。病棟においてはシニアレジデントとして一年目後期研修医および初期研修医の指導にあたります。コンサルテーション・リエゾンではリエゾンチームの医師として参加し、指導医の指導のもとリエゾン症例を経験します。また緩和ケアにおいても緩和ケアチームと協働して緩和ケアチームの兼任精神科医の指導のもとで研修を行います。

関連研修病院

神戸大学医学部付属病院精神科神経科の関連研修病院での研修では、それぞれの病院の特性を生かした臨床を体験することができます。多様化してきている精神科医療において、優秀な精神科医になるためには、より多くの疾患を経験し、対応できる技術を獲得することが重要です。当科では関連研修病院の臨床経験豊富な指導医との連携により、専門性の高い研修を行っています。

 総合病院精神科
総合病院精神科では、外来診療、コンサルテーション・リエゾン、緩和ケアが研修の中心となります。外来で多くみられる疾患としては、うつ病、双極性障害、不安障害、身体表現性障害などがあげられます。
 単科精神科病院
単科精神科病院では、精神科救急を体験し、急性期精神医療、統合失調症、重症双極性障害、重症うつ病、認知症の周辺症状などの重症精神疾患を中心に経験を積みます。治療抵抗性統合失調症患者さんへのクロザピンによる治療は、当科と連携して単科精神科病院でも積極的にクロザピンによる治療を行えるような体制ができています。

後期卒後研修終了後の進路

後期臨床研修プログラム終了後の進路については、大学病院での臨床研修の継続、総合病院や民間の精神科病院での勤務だけでなく、大学院への進学・研究、海外留学など様々な進路に進むことができます。後期研修期間中、精神保健指定医取得をサポートし、修了後は、それぞれのキャリアプランに合わせて、希望に添えるよう対応していきたいと考えております。

後期臨床研修プログラム後の取得可能な資格

・精神保健指定医
・日本精神神経学会専門医
・日本総合病院精神医学会専門医
・日本老年精神医学会専門医