神戸大学附属病院は平成12年度からスーパーローテート制度を採用しており、麻酔科も当科を希望したものに研修を行っており、来た時期・期間によって研修内容に違いがあります。 期間を3カ月とした場合の研修業務と目標を簡単に示します。
実際に麻酔管理の場に立ち会って、どのように行っているか見学する。指導者が行うことを見るのを中心とし、一部は指導者の監督のもと実践していく。覚えるべき事は多いが、まず基本的なことから自分で出来るようにしていく。この期間、麻酔マニュアルの基本編を中心に熟読しておく。
- 術前
- ・担当症例の確認(患者名、入室時間、術式、麻酔法)
- ・術前指示(前投薬、絶飲食、病棟・コンピューターでの指示)
- ・患者さんへの麻酔の説明
- 麻酔準備
- ・麻酔回路の組み方、麻酔器の使い方
- ・使用薬剤の準備
- ・麻酔時使用物品の準備
- ・廃棄物の分別廃棄
- 麻酔管理
- ・患者さんの入室から導入までの対応
- ・麻酔チャートの記載方法
- ・薬剤の使用方法
- ・モニターの種類とその目的の理解
- ・血液ガスの測定・解釈
- ・薬品伝票の記載方法
- ・パラメディカルとの連携
- 術後
- ・使用物品の片づけ(麻酔器・廃棄物品・再利用物品)
- ・術後訪問
- ・コンピューター入力(回診記録など)
- 麻酔管理に伴う手技の理解
- ・末梢静脈確保(V-Line)
- ・マスク換気、気管内挿管
- ・観血的動脈圧測定(A-Line)
- ・中心静脈圧測定(CVP)
※ V-Line、気管内挿管など人形で練習できるものはそれらにて基本的手技を修得する。
最初のStepで学ぶべきことは十分理解しておく。ここからは症例を直接担当することになるため、この時点で十分理解できていない項目はそのままにせず、この期間で理解するように努力する。麻酔マニュアルの基本編は十分理解できる状態にしておく。
この期間から一人で行う項目も出てくるが、勝手な自己判断をせずに指導者への報告、確認をすることを忘れない。
- 術前
- ・Step 1で学んだことが指導・監督のもとできる。
- ・術前訪問、指示、麻酔の説明といった基本的な事に関しては一人でも出来るようにしていく。
- ・患者の術前状態(合併症・気道確保の評価)を把握し、リスクがあれば指導者に報告し指示を仰ぐ。
- ・担当症例の麻酔プランを指導者と共に立案する。
- 麻酔準備
- ・Step 1で学んだことが指導・監督のもとできる。
- ・廃棄物の分別廃棄、麻酔時使用物品の準備といった基本的な事は一人でも出来るようにしていく。
- ・麻酔回路の組み方、使用薬剤の準備などは必ず指導者と共に行う。
- 麻酔管理
- ・Step 1で学んだことが指導・監督のもとできる。
- ・呼吸管理の方法とモニタリングの理解ができ、正常かどうか判断できる。
- ・循環管理の方法とモニタリングの理解ができ、正常かどうか判断できる。
- ・動脈血液ガスの値の解釈と対処ができる。
- 術後
- ・Step 1で学んだことが指導・監督のもとできる。
- ・術後訪問にて気づいた疑問点があれば指導者に質問する。
- 麻酔管理に伴う手技の理解
- ・末梢静脈確保(V-Line)
- ・マスク換気、気管内挿管
- ・観血的動脈圧測定(A-Line)
- ・中心静脈圧測定(CVP)
- ・脊椎麻酔
- ・硬膜外麻酔
※ この期間中にスタッフの前で挿管人形を使って手技の確認を行う。この過程を通らないと、実際に患者さんに挿管をすることは出来ない。
症例を直接担当してもらう。(麻酔科スタッフ・ローテーターの指導のもと)今までに得た知識・修得した手技を駆使し、麻酔管理に生かす。勝手な自己判断で術前評価・麻酔管理を行わず、必ず指導者の判断を仰いで行動する。この頃からは患者さんと接する機会が多くなってくるが、相手は手術直前という特殊な状況下にある。短期間の接触である故に言葉遣いには十分注意し、決して相手に不快な思いをさせず良好な人間関係を築けるようにする。
- 術前
- ・いままでに学んだことが指導・監督のもと実践できる。
- ・術前訪問、指示、麻酔の説明の基本的な事に関しては一人でできる。
- ・患者の術前状態の把握をし、リスクがあれば指導者に報告し指示を仰ぎ、場合によってはまず自分で対策を考える。
- ・ 担当症例の麻酔プランを指導者と共に立案し、時には自分で事前に立案し指導者に評価してもらう。
- 麻酔準備
- ・いままでに学んだことが指導・監督のもとできる。
- ・麻酔回路の組み方、使用薬剤の準備などは一人で行えるようにする。しかし、必ず指導者の確認をもらう。
- 麻酔管理
- ・いままでに学んだことが指導・監督のもとできる。
- ・呼吸管理の方法とモニタリングの理解と対処ができる。
- ・循環管理の方法とモニタリングの理解と対処ができる。
- ・動脈血液ガスの値の解釈と対処ができる。
- 術後
- ・いままでに学んだことが指導・監督のもとできる。
- ・術後訪問にて気づいた問題点があれば指導者に報告し、指示を仰ぐ。
- 麻酔管理に伴う手技の理解
- ・末梢静脈確保(V-Line)
- ・マスク換気、気管内挿管
- ・観血的動脈圧測定(A-Line)
- ・中心静脈圧測定(CVP)
- ・脊椎麻酔
※ 硬膜外麻酔は麻酔科の方針として、初期研修医にはさせないことにしてます。
- 当直
- ・1人ずつ当直メンバーになって麻酔科スタッフと当直をする。
- ・緊急手術に対する対処
- ・ICU入室症例の理解と対処
- ・モニターの種類とその目的の理解
- ・検査の方法、血液製剤の処方とその取り扱い
これらのうち可能なものは指導のもと実践し、基本的なことは自分で出来るようにする。
症例を直接担当してもらう(麻酔科スタッフ・ローテーターの指導のもと)。この期間で得た知識、修得した手技を駆使し、麻酔管理に生かす。勝手な自己判断で術前評価・麻酔管理を行わず、必ず指導者の判断を仰いで行動する。
- 術前
- ・2ヶ月間で学んだことを監督のもと実践できる。
- ・術前訪問、指示、麻酔の説明の基本的な事に関しては一人で行う。
- ・患者の術前状態の把握をし、まず自分で麻酔プランを考える。
- ・事前に立案した麻酔プランを指導者に評価してもらう。
- 麻酔準備
- ・2ヶ月間で学んだことを監督のもと行う。
- ・麻・酔回路の組み方、使用薬剤の準備などは一人で行う。しかし、必ず指導者の確認をもらう。
- 麻酔管理
- ・2ヶ月間で学んだことを監督のもと行う。
- ・呼吸管理の方法とモニタリングの理解と対処ができる。
- ・循環管理の方法とモニタリングの理解と対処ができる。
- ・動脈血液ガスの値の解釈と対処ができる。
- 術後
- ・2ヶ月間で学んだことが監督のもとできる。
- ・術後訪問にて気づいた問題点があれば指導者に報告し、指示を仰ぐ。
- 麻酔管理に伴う手技の理解
- ・末梢静脈確保(V-Line)
- ・マスク換気、気管内挿管
- ・観血的動脈圧測定(A-Line)
- ・中心静脈圧測定(CVP)
- ・脊椎麻酔
硬膜外麻酔は麻酔科の方針として、SRにはさせないことにしてます。
- 当直
- ・緊急手術に対する対処
- ・ICU入室症例の理解と対処
- ・モニターの種類とその目的の理解
- ・検査の方法、血液製剤の処方とその取り扱い
- ・分で病態を把握し、指導者に指示を仰ぐ。