アドバンス・ケア・プランニング(人生会議)

死が近づいたときのACP

死が近づいたときにどのような治療・ケアを望むかについては、1つの医療機関などだけでの対応では不十分なことがあります。
特に患者が在宅での療養を希望した場合は、地域全体での情報共有が必要になります(例:在宅ケアを受けている場合、診療所、訪問看護ステーション、介護事業所、救急時に受診が必要となる病院など)。
そのような場合でも、患者が望む看取りを実現するために、主治医が患者と十分にACPの話し合いをした上で、医師がその内容を医学指示の形で定形書式に書き込み、地域で共有する取り組みが米国で行われており、POLSTと呼ばれています。
何らかの形でこのような取り組みがわが国でも行われることが望ましいと考えています。
傷病者が終末期の状態にあり、家族や医師等とACPの話し合いを行ったときに、可能な限り傷病者の医師を尊重できるような取り組みが、令和元年12月から東京消防庁で始まっています。
  1. ACPが行われている成人で心肺停止状態であること
  2. 傷病者が人生の最終段階≒終末期にあること
  3. 傷病者本人が「心肺蘇生の実施を望まない」こと
  4. 傷病者本人の意思決定に際し想定された症状と現在の症状が一致すること
以上4つの条件を満たした場合、救急隊から「かかりつけ医等」に連絡し、これらの項目を確認できた場合、心肺蘇生を中止し「かかりつけ医等」又は「家族等」に傷病者を引き継ぐ取り組みです。
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/hp-kouhouka/pdf/011120.pdf
注:なおこのWebページにおいては終末期医療・ケアを以下のように定義します。
死が避けられない状況にあり、「死に至るまでの時間が限られていることを考慮に入れる必要性のある状況下における医療・ケア」すべてを含み、「死に至るまでできる限りよく生きるように、また尊厳をもって死に至るように(to die with dignity)支援する」活動である。また、提供される時期は、疾患により、また個人により様々であるが、主として「人生の最後の数カ月ないし数年を生きている人々」が対象になることが多い。
東京消防庁救急業務懇話会答申書
「高齢者救急需要への取組はいかにあるべきか」

(2019年2月 第33期東京消防庁救急業務懇話会)
POLST(Physician Orders for Life-Sustaining Treatment)は重篤な状態の患者らの意思確認のうえで、最終段階の医療・ケア全般に関する医師の指示文書です。