神戸大学大学院医学研究科 内科学講座・循環器内科学分野

Kobe University Graduate School of Medicine / Division of Cardiovascular Medicine / Department of Internal Medicine

患者の皆様へ

診療実績

2023年度 入院・疾患構成

冠動脈疾患260例
不整脈669例
心筋症108例
弁膜症195例
先天性心疾患40例
大動脈・末梢血管疾患94例
肺高血圧260例
その他76例
1,702例

心臓カテーテル検査・インターベンション

私共は、日常臨床においては、循環器疾患の診断と治療に中心的役割を果たしている心臓カテーテル法を駆使して活動しております。
冠動脈造影検査 (CAG)は年間約1,000例以上を数え、さらに血管内超音波 (IVUS)や光干渉断層映像(OCT)を用いたより詳細な形態学的評価を必要に応じて行なっています。

狭心症および急性心筋梗塞症治療法としての経皮的冠動脈形成術 (PCI) は冠動脈ステントやRotablatorも積極的に用いて、患者さん一人一人に最適で高度な医療を提供しています。

これらの高度の診断治療手段は重症の循環器疾患急性期治療の場であるCCU (Coronary Care Unit)においても遺憾なく発揮され、経皮的人工心肺(PCPS)や大動脈内バルーンパンピング(IABP)などの機械的補助も的確に使用し、重症の循環器疾患の治療を行っています。

さらに当院心臓血管外科とも密に連絡をとり、救命のみならず、Hybrid治療のような低侵襲かつ高度な治療も展開しています。

過去三年間の実績 2023 2022 2021
冠動脈造影489507558
経皮的冠動脈形成術185157162
ローターブレーター353480
末梢血管形成術958382
心筋生検382927
経皮的中隔心筋焼灼術234
ASDカテーテル閉鎖術9813
PDAカテーテル閉鎖術100
経皮的僧帽弁裂開術(PTMC)111
経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)485849

不整脈 診断および治療

私共は、電気生理学的検査、カテーテルアブレーション、ペースメーカー/埋込型除細動器(ICD)/両心室ペーシングペースメーカーの植え込み手術、T波オルタナンス等の特殊な心電図解析などを通して、不整脈およびペースメーカー患者様の診療、臨床研究を行なっています。

頻脈性不整脈に対しては、電気生理学的検査による診断および高周波カテーテルアブレーションによる治療を、難治性の上室性頻拍、心房細動、心房粗動、心室性頻拍に対して積極的に行なっています。
特に心臓で起こっている電気現象を三次元的にコンピューターで再構築して視覚的に把握できる最先端のシステムを駆使しております。また心室頻拍、心室細動に対するICD植え込み術についても、多くの症例に対応しております。
さらに重症心不全患者様に対し、心臓再同期療法として両心室ペーシングペースメーカーの植え込み術を早くから導入しておりますが、2006年8月より保険認可を得た両心室ペーシング機能付ICDの植え込み術積極的に行い、良好な成績を得ています。

過去三年間の実績 2023 2022 2021
電気生理学的検査643
カテーテルアブレーション367341345
ペースメーカー857972
植込み型除細動器(ICD)393530
心臓再同期療法(CRT)383533
皮下型除細動器(S-ICD)348
リード抜去術162920
リードレスペースメーカー13136

心臓超音波検査・心臓核医学検査

心臓超音波検査は外来・病棟・CCUを問わず数多く行っていますが、経食道心エコー法やドプラ法をはじめ近年めざましい進歩を遂げた新しい超音波装置を駆使することにより、従来困難であった血行動態の定量的かつリアルタイムの評価を行い、諸種心疾患の診断や治療効果の判定に役立てています。研究面では、長年にわたり拡張型および肥大型心筋症の病態・予後に関する臨床・病理学的研究を行なってきました。

特に従来は投与禁忌とされていた拡張型心筋症に対するβ遮断薬療法の有効性に関しては、わが国でも有数の症例数を観察しており引き続き検討がなされています。また、突然死の原因となる重症不整脈と拡張型心筋症の予後、家族性拡張型心筋症の臨床的特徴ならびに病因について、さらに心筋細胞間接着機構と心筋症の病態などの新しいテーマにも着目し、臨床的観察に免疫組織学的、分子生物学的手法を加えた解析を始めています。

心臓核医学とは心臓に集積する放射性同位元素を用いて、心筋血流や心筋脂肪酸の取り込みや心臓交感神経の機能を測定する検査法です。これらの検査により狭心症・心筋梗塞の診断、心筋細胞障害・心不全の評価が可能となり、疾病診断に役立つのみならず、治療法の選択や治療の成否の判定に役立っています。

過去三年間の実績 2023 2022 2021
心臓超音波検査   
  経胸壁心エコー図10,11610,7759,894
  経食道心エコー図547588576
  運動負荷エコー図21916
心臓核医学検査   
  血流イメージング328355420
  脂肪酸代謝イメージング111
  交感神経機能イメージング031
  FDG-PET263741
  心臓CT728537468
  心臓MRI134152150

心臓リハビリテーション

心血管病を持つ入院患者さんに対して、退院後の生活がより良いものになるように、運動耐容能や生活の質を改善させることを目的として、包括的心臓リハビリテーションを行っています。
循環器内科・心臓血管外科の医師、理学療法士、看護師、管理栄養士、歯科衛生士など多職種がチームとなり、高度医療機器を用いた運動療法、ならびに栄養指導、生活指導を含めたカウンセリングを行っています。
主な対象は、急性冠症候群、慢性心不全(肺高血圧症/心筋症/弁膜症)、心臓血管術後の患者さんです。病態把握や各種治療前後での身体機能評価を目的にCPX (Cardio Pulmonary Exercise Test:呼気ガス併用心肺運動負荷試験)という運動負荷検査を積極的に行っています。筋力低下があり、歩行も困難なFrailty(フレイルティ:虚弱)を合併した心血管病患者さんが増えており、入院早期から患者さんの活動量改善を目的に、適切なタイミングでの身体機能評価、それを基にした安全な運動指導を行っています。

過去三年間の実績 2023 2022 2021
心臓リハビリ 実施延べ人数8,3266,9457,722
疾患別 人数   
  急性冠症候群(人)372728
  慢性心不全(人)475452483
  開心術後(人)335270287
呼気ガス併用心肺運動負荷試験 延べ人数192209299

肺高血圧症 診療

神戸大学循環器内科では肺高血圧症に対して、兵庫県下で最も活動的な専門的診療を行っています。肺高血圧とは、種々の原因によって肺動脈に病的変化が生じることにより肺動脈の血圧が上昇する病気です。以前は極めてまれな疾患と考えられていましたが、最近診断技術の向上や治療選択肢が増えた事により、実はこの疾患を発症している方は少なくないことが明らかになってきました。

肺高血圧症には、慢性肺血栓塞栓症や呼吸器疾患、そして先天性心疾患・膠原病・原因不明の特発性などが含まれます。これらの疾患に関しては、最近肺動脈バルーン形成術(BPA)やエポプロステノール持続静脈注射や、経口・吸入・皮下注の肺血管拡張薬などの画期的な治療薬が使用できるようになり、症状や予後を大幅に改善できるようになりました。しかし、これらの手技や薬剤の使用は難しい面があり、専門的な知識と経験が必要です。

私どもは、当院膠原病内科および心臓血管外科・呼吸器内科との協力体制のもと、一般病院では診断や治療が困難な症例に対して、最新の治療法を提供しています。

過去三年間の実績 2023 2022 2021
延べ入院人数260261237
新患数   
  全肺高血圧症525768
  肺動脈性肺高血圧症111420
  呼吸器疾患に伴う肺高血圧症377
  慢性血栓塞栓性肺高血圧症262634
  その他の肺高血圧症12107
肺動脈バルーン形成術数118119108
エポプロステノール持続静注管理数766
トレプロスティニル持続皮下/静注管理数012

成人先天性心疾患センター 診療

私どもは、「成人になられた、生まれながらに心臓病をお持ちの患者さん(成人先天性心疾患)」に対する外来及び入院治療を行なっております。
心房中隔欠損症、心室 中隔欠損症および動脈管開存症などの単純形態の先天性心疾患はもとより、ファロー四徴症、大血管転位症、修正大血管転位症、房室中隔欠損症、さらにはフォンタン循環を含む単心室循環、未修復チアノーゼ性心疾患などの複雑な先天性心疾患も診察しております。
当センターでは15歳以上の成人先天性心疾患患者へのカテーテル治療を 積極的に行なっており、心房中隔欠損症(ASD)、卵円孔開存症(PFO)、動脈管開存症 (PDA)への経カテーテル的閉鎖治療の他、側副血管への塞栓治療などにも対応しています。

2022年に兵庫県立こども病院と病院間で連携協定を締結し、定期的に症例検討カンファレンスをおこなっています。
また、複雑な治療 (外科治療やカテーテル治療)が必要な際には、兵庫県立こども病院から先天性心疾患診療に長けたスタッフが治療に加わ ることもあります。

その他、循環期疾患合併妊娠の妊娠・出産管理や他臓器疾患の治療の際にも積極的にサポートしています。産科、麻酔科、その他関連診療科と必要に応じて密に連携し、複雑先天性心疾患患者に対しても包括的な成人先天性心疾患診療を行っています。
2013年1月に成人先天性心疾患センターを開設後、紹介患者数、外来管理患者数、および入院患者数は年々増加しており、2022年12月現在、600名を越す患者さんを担当させていただいています。

過去三年間の実績 2023 2022 2021
年間のべ患者数(人)922837882
新規紹介患者数(人)614944
入院患者数(人)402719

重症心不全・補助人工心臓(VAD)

2017年より神戸大学医学部附属病院では植込型補助人工心臓(VAD)治療を開始しております。
心臓移植までの橋渡しのみならず、DT実施施設としてVAD治療での心不全管理も行っており、重症心不全チームとして多職種でVAD診療をサポートしております。
他院からのVAD装着患者さまの対応も可能です。重症心不全診療でお困りなことがあればご相談ください。

担当医:循環器内科 久松恵理子、近都正幸、永井駿

ページのトップへ戻る