Training courses トレーニングについて

◇ 兵庫泌尿器腹腔鏡教育プログラム

トレーニング内容
 腹腔鏡下腎部分切除術、腹腔鏡下腎摘除術、腹腔鏡下腎盂形成術、腹腔鏡下膀胱腸吻合術などを行います。

実施診療科 神戸大学医学部附属病院泌尿器科
 泌尿器科では、腎臓、尿管、膀胱や男性生殖器に関するすべての疾患および副腎疾患について、最先端の技術を用いて患者さんにやさしい最高水準の医療を提供することを心がけています。手術においては早くから腹腔鏡手術を積極的に取り入れ、技術認定されたスタッフにより安全かつ適正な治療を行い良好な治療成績を得ており、若手泌尿器科外科医師の手技習得、育成にも熱心に取り組んでいます。  また近年になり、ロボット支援技術を用いてより複雑な手術を低侵襲に行うことが可能となり、泌尿器科手術領域においては、最初、前立腺癌に対するロボット支援根治的前立腺全摘除術(RARP)が適応となり、続いて腎癌に対するロボット支援腎部分切除術(RAPN)や膀胱癌に対するロボット支援根治的膀胱全摘除術(RARC)さらには腎盂尿管移行部狭窄症に対するロボット支援腎盂形成術(RALP)へと適応が拡大されています。神戸大学医学部附属病院では国内早期(2010年)にdaVinciを導入し、現在までRARP、RAPN、RARC、RALPの4種類の手術を積極的に行っています。
〔泌尿器科ホームページ〕
https://www.med.kobe-u.ac.jp/uro/index.html

神戸大学大学院医学研究科 腎泌尿器科学 亭島 淳

■指導講師 コメント
 泌尿器科領域では膀胱鏡下手術、腹腔鏡下手術などの低侵襲手術が古くから行われてきました。ロボット支援手術に関しては2010年からロボット支援根治的前立腺全摘除術が、2016年からロボット支援腎部分摘除術が、2018年からロボット支援膀胱全摘除術が, 2020年からはロボット支援腎盂形成術が保険適応となり、日々の診療に使用されています。当センターには手術支援ロボットdaVinci Sおよび、ロボット支援手術シミュレータdv-trainer、腹腔鏡下手術シミュレータlap-pass、i-simを備えており、常時シミュレータを用いたドライトレーニングやアニマルラボによるウェットトレーニングを行う事が可能です。ロボット支援手術と腹腔鏡下手術の基礎的トレーニングコースはもとよりアドバンストコースとして新規術式の開発や複雑な術式のトレーニングも行っています。

◇ 兵庫呼吸器外科胸腔鏡教育プログラム

トレーニング内容
 胸腔鏡下肺部分切除、肺区域切除、肺葉切除などを実施する。

実施診療科 神戸大学医学部附属病院呼吸器外科
 呼吸器外科では悪性疾患(原発性肺癌・転移性肺腫瘍)、縦隔腫瘍、良性腫瘍、気胸、肺膿瘍・膿胸などの感染性疾患など幅広い分野の疾患を扱っています。悪性疾患・腫瘍、また良性腫瘍・気胸・感染性疾患などにおいても、これらに対する手術を完全鏡下を中心にした低侵襲手術で行えるよう心がけおり、現在当科で手術を受けられる方の9割以上が完全胸腔鏡下手術を受けられています。小さな傷だけで手術を終えることで、感染や肺炎など手術後に起こる恐れのある合併症を減らすことができ、術後に抗癌剤など追加治療が必要な際にも手術による体への負担が少ないため、早期に治療を始めることができます。また最近では大血管や肋骨など周囲の臓器に広がっている肺癌も完全胸腔鏡下手術の技術を併用し、これまでより小さな傷で体への負担が少ない手術を行っています。
〔呼吸器外科ホームページ〕
https://www.med.kobe-u.ac.jp/gts/

神戸大学大学院医学研究科 呼吸器外科学 法華 大助

■指導講師 コメント
 呼吸器外科領域の手術は肺及び肺動脈、肺静脈、気管支といったVital Structureを対象とした手術です。開胸手術では直視下で手術を行いますが、胸腔鏡下手術では、モニターに映し出された映像を立体的に捉え手術を行わなくてはなりません。
 当センターは、若手医師が開胸手術、胸腔鏡下手術いずれにおいても、肺動脈の血管剥離から始まり、気管支形成、血管形成等の繊細かつダイナミックな手術手技を身に付けることのできるトレーニング施設であり、直ちに臨床の現場にフィードバックされるものであると自負しています。

◇ 兵庫消化器外科腹腔鏡教育プログラム(食道胃腸外科)

トレーニング内容
 腹腔鏡下幽門側胃切術、腹腔鏡下胃全摘術、腹腔鏡下結腸切除術、腹腔鏡下直腸切除術、腹腔鏡下小腸部分切除術、腹腔鏡下胃空腸吻合術などを実施する。

実施診療科 神戸大学医学部附属病院食道胃腸外科
 食道胃腸外科では、食道、胃、大腸の3領域でそれぞれ高い専門性を持ったスタッフが診療・教育・研究を行っており、内視鏡外科手術を中心とした低侵襲治療技術の進歩と新たな開拓を目指しています。特に、若手外科医に対しては癌などの消化器疾患に対する知識を習得することだけでなく、洗練された内視鏡外科技術の習得を目指した育成に力を注いでいます。その一環として、「先端外科医療・内視鏡トレーニングセンター」の充実した環境で、若手外科医を中心に随時トレーニングコースを開催しています。

〔食道胃腸外科ホームページ〕
https://www.med.kobe-u.ac.jp/surg1/index.html

神戸大学大学院医学研究科 食道胃腸外科学 裏川 直樹

■指導講師 コメント
 消化管領域における内視鏡外科手術は広く普及しており、近年ではロボット手術も一役を担っています。私が研修医のころと比べ、現在の若い先生方は開腹手術のみならず、腹腔鏡手術、ロボット手術と多岐にわたるアプローチ方法を習得する必要があります。兵庫県の医療を支える若手医師を中心に、充実した本施設のトレーニングセンターを活用し、「兵庫消化器外科腹腔鏡教育プログラム」を通じて様々な手術手技を習得してもらい、地域における日常診療に還元されることを期待しています。

◇ 兵庫消化器外科腹腔鏡教育プログラム(肝胆膵外科)

トレーニング内容
 腹腔鏡下肝切除、腹腔鏡下脾臓摘出術、腹腔鏡下尾側膵切除、腹腔鏡下胆嚢空腸吻合、開腹小腸切除・吻合などを実施する。

実施診療科 神戸大学医学部附属病院肝胆膵外科
 肝胆膵外科では肝胆膵疾患に対する手術治療と肝・膵移植を2つの柱として診療を行っています。とくにがん治療では既存の治療法と生体肝移植、経皮的肝灌流化学療法、粒子線治療など、肝胆膵領域の最先端治療を病態に応じて組み合わせて神戸大学独自の治療戦略を構築しております。肝胆膵外科は外科の中でも最も高度な知識と技術を要求される専門性の高い分野で、その基礎として十分な一般外科技術の習得は必須です。若手医師の育成も重要な課題であり、当科では知識と技術を幅広く習得することを主眼に置き、専門性の高い外科修練を積みながら国際的に活躍できる人材の育成に積極的に取り組んでいます。
〔肝胆膵外科ホームページ〕
https://www.med.kobe-u.ac.jp/hbps/index.html

神戸大学大学院医学研究科 肝胆膵外科学・低侵襲外科学 柳本 泰明

■指導講師 コメント
 肝胆膵外科領域の手術は高難度手術が多く、これまで安全性を担保した上での低侵襲手術の普及が滞っていました。その一方で、今後兵庫県の各地域ではますます高齢化が進み、低侵襲手術のニーズは拡大の一途をたどると思います。現状では都市部での低侵襲手術は徐々に定着してきましたが、地域ではまだまだ遅れているのが実情です。今後兵庫県の地域医療を支える若手医師が『兵庫消化器外科腹腔鏡教育プログラム』を通して、都市と地域の医療を結ぶ新たなる外科医教育のモデルケースとなれるよう、どんどん参加していただきたいと思います。

◇ 兵庫産婦人科腹腔鏡教育プログラム

トレーニング内容
 腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術、腹腔鏡下単純子宮全摘術、腹腔鏡下子宮筋腫核出術、腹腔鏡下附属器腫瘍摘出術等を想定した縫合結紮実習、リンパ節郭清や大血管損傷時の対応などを実施する。

実施診療科 神戸大学医学部附属病院産科婦人科
 産科婦人科では、周産期、婦人科腫瘍、生殖内分泌、女性ヘルスケアの各分野において、専門性を持って日々診療や研究に取り組んでいます。近年、特に婦人科分野においては手術治療の低侵襲化が進んでおり、基本的な腹腔鏡手術の技術習得はこれからの産婦人科医にとって必須となっております。当科ではロボット支援下手術をはじめ、婦人科悪性腫瘍においても積極的に低侵襲手術を施行しておりますが、若手医師においても良性疾患を中心に執刀を行い、段階的にレベルアップを図って人材育成に取り組んでいます。「産婦人科腹腔鏡教育プログラム」ではトレーニングセンターの充実した環境のなか、技術認定医指導のもと基本的な手技から応用まで若手医師を中心にトレーニングを行っております。また、同時に執刀機会の限られる子宮鏡においてもトレーニングを施行し、幅広い知識と技術を持った産婦人科医の育成を目指しております。
〔産科婦人科ホームページ〕
https://www.med.kobe-u.ac.jp/obgyn

神戸大学大学院医学研究科 産科婦人科学 長又 哲史

■指導講師 コメント
 産婦人科手術においても低侵襲化が目覚ましく進んでおり、当院においても良性腫瘍はもちろんのこと悪性腫瘍においても約7割の手術が腹腔鏡やロボット支援下手術となっております。腹腔鏡手術におけるhand-eye coordinationには鍛錬が必要ですが、ドライボックスでの練習に加えて、生体豚などを使用したウェットトレーニングは技術の向上に非常に有用と考えられます。本トレーニングセンターの充実した施設を活用し、安全な手術手技の獲得と地域医療への貢献を目標に、人材育成に取り組んで参ります。

◇ 外傷蘇生外科手技セミナー FRST in 兵庫

トレーニング内容
 静脈カットダウン、気管切開術、救急室蘇生的開胸(ERT)、開腹(ERL)、腹腔内や後腹膜のガーゼによる パッキング(圧迫止血)、一時的閉腹法(VPC:vacuum pack closure)やECMOの実習を行う。

実施診療科 神戸大学医学部附属病院救命救急科
 我々の教室では、救急医学の面で、院外心肺停止患者の蘇生、外傷・ショック・敗血症患者等の病態解明・治療などに関する研究、病院前救護におけるMC体制の充実強化の推進などを行っております。災害医学の面では、災害医学の教育プログラムの実用化、大規模事故対応時の災害医療対応の整備や災害医療対応能力の評価等に関する研究を通じて、国際的視野を持った総合救急医の育成を図っています。
〔救命救急科ホームページ〕
https://www.med.kobe-u.ac.jp/dem/index.html

神戸大学大学院医学研究科 災害救急医学 小谷 穣治

■指導講師 コメント
 近年、外傷症例については症例数自体が減少していること、外傷治療においても非手術治療が発達してきていることから、また外傷症例に対する手術はその多くが緊急手術となるため若手医師にとっては十分な手術教育の機会があるとはいえません。本セミナーでは外傷手術(総論・各論)や解剖学、ケースディスカッションを座学で行ったのち、アニマルラボで処置・治療に関する実技指導を行い、ヒトに対し安全な手術ができる外科技術を習得する事をトレーニングの到達目標にしています。

◇ 兵庫小児外科腹腔鏡・胸腔鏡教育プログラム

トレーニング内容
 腹腔鏡下胆嚢摘出術、腹腔鏡下腸切開縫合術、腹腔鏡下噴門形成術、腹腔鏡下脾臓摘出術、腹腔鏡下ヒルシュスプルング病根治術、胸腔鏡下肺葉切除術、胸腔鏡下食道閉鎖症根治術

実施診療科 神戸大学医学部附属病院小児外科
 神戸大学医学部附属病院小児外科は、出生前の胎児から新生児、乳幼児、学童、成人にいたるまでの幅広い年齢の消化器、呼吸器、泌尿器、体表疾患の外科治療を行っています。気道疾患(声門下腔狭窄症など)や内視鏡外科(胸・腹腔鏡や内視鏡治療)などの低侵襲外科治療を得意とし、西日本を中心に全国から患児をご紹介頂いております。新生児や乳幼児に対しても積極的に内視鏡治療・胸腔鏡・腹腔鏡手術を行い良好な治療成績を収めています。当院は各科の連携も良好で、総合周産期母子センターでは出生前診断された新生児外科疾患をもつ多くのベビーを救命しています。また成人に至った重症心身障がい児・者の外科治療も成人外科と合同で担当し、QOL向上を目指した手術を行っています。
 対象とする患者様の年齢、体格、疾患、臓器は幅広く、高度の専門性と同時に広い範囲の知識・技術・応用力が求められる領域であるため、外科医にトレーニングを課すことで経験と技術をより高いものとし、社会に貢献できる真に力のある小児外科医師を育成することに注力しています。
〔小児外科ホームページ〕
https://www.med.kobe-u.ac.jp/geka2/ped_sur/index.html

神戸大学大学院医学研究科 小児外科学 大片 祐一

■指導講師 コメント
 こども達が手術を受けるということは、本人・家族にとって非常に大きな精神的・身体的な負担となります。そして、私たち小児外科医はこれらの負担を軽減し、患児のこれからの人生に思いを馳せて治療を行う必要があります。小児外科医が扱う疾患は幅広く、一つ一つの疾患数は少ないのが現状ですので、実際の手術で経験を積むことも大切ですが、何より普段からのトレーニング・シュミレーションが重要です。
 我々は、設備の整った当センターにて、基礎技術を確立し、小さく目立たない傷にこだわり、手術の目的を高いレベルで達し、こどもの負担が軽減されることを常に意識してトレーニングを行っております。新たな術式やデバイスの開発も視野にいれ、手術を受ける世界中のこども達に貢献することを目標にしています。

◇ 兵庫耳鼻咽喉科鏡視下手術教育プログラム

トレーニング内容
 内視鏡下鼓室形成術、乳突削開術、アブミ骨手術、人工内耳植え込み術、内視鏡下鼻副鼻腔手術、眼窩・頭蓋底の損傷時の処置、内頚動脈損傷時の止血処置の実習を行う。

実施診療科 神戸大学医学部附属病院耳鼻咽喉科
 耳鼻咽喉科頭頸部外科は、難聴・平衡機能障害・顔面神経麻痺などの神経耳科学、中耳疾患・鼻副鼻腔疾患・咽喉頭疾患などの機能外科、そして頭頸部外科と多岐にわたります。内視鏡下手術に関しては、以前より、鼻副鼻腔疾患では発展してきています。近年、耳科手術においても内視鏡下手術が行われるようになり、これらの領域でのトレーニングが重要となっています。本プログラムを通じて若手医師を中心に講義と手術手技のトレーニングを施行し、幅広い知識と技術の習得を目指しています。
〔耳鼻咽喉科ホームページ〕
https://www.med.kobe-u.ac.jp/jibi/index.html

神戸大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉科 柿木 章伸

■指導講師 コメント
 耳鼻咽喉科領域では耳や鼻といった狭い空間での手術操作が求められることが多く、内視鏡下操作は必須の手術手技である。また、この手技は従来、外切開で行われていたものに取って代わるものであり、術後の創痛の軽減など手術を受けるもののmeritは大きい。しかしながら、内視鏡下手術は狭い術野での微細手術であり、高難度の手術であるため、専門的な訓練が必要である。特に、研修医・専攻医をはじめとする若手医師では、十分なトレーニングを行った後に実際の臨床現場で手技を行う必要がある。本研究はこれら専攻医をはじめとする若手医師や、これから鏡視下でおこなわれる耳科手術・鼻科手術の技術を習得しようとする医師に対し、より実臨床に近いかたちでのトレーニングを目的とする。

◇ 若手消化器外科腹腔鏡トレーニングコース

トレーニング内容
 ドライラボ(シミュレーターを用いた縫合結紮、消化管吻合など)、ビデオクリニックなどを中心に実施する。

実施診療科 神戸大学医学部附属病院食道胃腸外科・肝胆膵外科
 食道胃腸外科・肝胆膵外科では、外科専攻医や初期研修医を対象に、消化器外科領域における基本手技の習得を目的に年2回開催しています。ドライラボでは経験豊富なスタッフが直接指導を行い、日々の疑問点や今後に向けた改善点を一緒になって解決していきます。また、ビデオクリニックでは外科専攻医の先生が実際に執刀した手術ビデオを供覧し、同世代の外科医がどのような手術をしているのか、他施設ではどのような手術が行われているのか、様々な情報を共有できる場を提供しています。

神戸大学大学院医学研究科 食道胃腸外科 裏川 直樹

■指導講師 コメント
 当セミナーでは、兵庫県下の外科専攻医や初期研修医などを中心に、他の研究会とは異なる「若手の先生」を中心にした会です。ビデオクリニックでは日々の疑問点など活発に議論してもらい、同世代がどんな手術をしているのか、他の施設はどんな方法で手術をしているのか、自分に足りていない部分は何か、など刺激を受ける場になると思います。ドライラボでは、シミュレーターを用いた消化管吻合など日常のトレーニングでは経験できないタスクを設けていますので、興味のある先生方は是非参加してみてください。外科に興味のある医学生も是非ご参加ください。

◇ スタッフ

補助者 : 神戸大学医学部研究支援課  椎木 美恵

事 務 : 神戸大学医学部総務課    中町 祐司 吉岡 智明