平成20年度 神戸大学 グローバルCOEプログラム

次世代シグナル伝達医学の教育研究国際拠点
−基礎・臨床医学実質融合によるClinician-Scientistの育成−

Global Center of Excellence for Education and Research on Signal Transduction Medicine in the Coming Generation − Bringing up clinician-scientists in the alliance between basic and clinical medicine −
拠点形成計画の目的と概要

「シグナル伝達医学」は生体の恒常性を維持する情報システムから疾患を捉え、 疾患メカニズム、診断、治療、予防について研究する分野である。シグナル 伝達医学の進歩は個々の疾患の理解を格段に深める一方で、従来の疾患別・ 専門分野別のアプローチでは解明できない疾患の複雑性を浮き彫りにした。 本拠点形成の目的は、本学におけるこれまでのシグナル伝達医学の成果を踏 まえて、全く新しい視点とアプローチにより、疾患の病態を捉え、その本質 を理解すること、革新的医療戦略を構築すること、さらに、次世代の医学・ 医療のリーダーとなる人材を育成することである。そのために、基礎・臨床 医学の実質的な融合を基にした分野横断的・統合的なアプローチにより、社 会的に根本的な解決が急務となっているがん、代謝疾患、感染症、神経・筋 疾患を対象とし、それらの疾患が互いに関わり合う核心メカニズムの解明、 並びに画期的な診断・治療・予防法の確立を目指すと同時に、新分野を創成 する能力を有するclinician-scientist・医学研究者の育成を目指した、シ グナル伝達医学の教育研究国際拠点を形成する。






(1) 拠点内制度・組織の抜本的改革:従来の基礎・臨床医学講座の教員を主に、 (a)生命科学研究、(b)基礎医学研究(実験を主とする疾患基礎研究)、 (c)臨床医学研究(患者を対象とする臨床研究)を行う教員に分け、 (b)と(c)の教員を同一講座に実質的に配置して教育研究を行う、 基礎医学と臨床医学を融合させた、新しい分野横断的・統合的な教育 研究体制を構築する。

(2)  拠点の運営体制:@グローバルCOE推進委員会:大学の学術研 究推進本部の中に個々のグローバルCOE拠点を管理するグローバル COE推進委員会を設置し、学長と研究担当理事のリーダーシップの下、 予算、人員、施設スペースや国際的連携等で大学として拠点に対する 組織的支援を行う。AグローバルCOE企画・実行委員会:拠点リーダーは、 事業推進担当者、教育と研究を担当する専属コーディネーター (准教授を採用)とともに、グローバルCOE企画・実行委員 会を組織し、教育研究活動のグランドデザインを企画立案する。グラン ドデザインは国内外の著名な学識経験者と大学院教育専門家から構成さ れる国際外部評価委員会から評価と助言を受け、それらを拠点の運営に 適切に反映させることにより、グローバルスタンダードにかなう「質」が 担保される。

(3) 大学院教育: 講座・分野横断型のclinician-scientist・医学研 究者リーダー育成コースを設置し、博士課程1、2年次学生から英文リサ ーチプロポーザルの厳正な審査を行い、毎年10名以内の優秀者を選抜し、 自主的研究費の支給・経済的支援並びにコーディネーターを中心とした 適切な教育研究指導を行うことにより、独創性を持った国際的活動能力 を有するclinician-scientist・医学研究者を育成する。グローバルな 観点から大学院のレベルをより充実するために、国外から世界トップレ ベルのclinician- scientistや医学研究者約20名(約半数は女性)を International Visiting Professor (IVP)として定期的に招聘し、 大学院セミナーの開催や大学院生と短期集中的に議論する機会を設ける。 また、リサーチプロポーザルについても助言を受ける。

(4) 若手研究者育成・独立支援: 従来型ポスドク制度、及びポスドク終了後 のclinician-scientist・医学研究者を対象にしたトラックAとトラックB の3段階システムを並行して実施する。トラックAは、3又は5年後に評価を 経てテニュアポスト(准教授)へ移行するテニュアトラックであり、主任研 究者(PI)として若手研究者を採用し、研究面での完全な独立性を 保障し、研究費とスペースを配分する。トラックBは、Aへ移行するイン キュベーション期間として位置付け、主に所属するPIの研究に従事しつつ、 将来PIとなるための萌芽的研究を展開する。いずれも採用は世界公募又は 他薦とし厳正な審査を前提とするが、一部は拠点内の最優秀学生・ポスドク が本学で指導的活動を継続できるキャリアパスを設定する。各段階からの 移行については数値目標を設定することによりキャリアパスとして明確に 位置付ける。

(5) 研究: がん、代謝疾患、感染症、神経・筋疾患を対象にして、全く新しい 視点による疾患メカニズムの解明と医療戦略の構築を目指したシグナル伝達 医学研究を展開する。そのために、分野横断的・統合的研究チームを編成し、 独創的な発想に基づいた共同研究を推進する。病理診断・遺伝子診断・質量分 析・画像解析を包括的に行う総合診断センターと密接に連携し、研究活動を推 進、強化する。また、全研究期間を通じ、参加研究者による研究発表・交流会 を定期的に開催し、横断的な知識及び方法論を共有すると共に地域・国際連 携による共同研究を推進する。さらに、IVPの研究機関との共同研究の実施 やポスドクや教員の双方向性交流を推進し、国際連携を強化する。研究に 参画する全ての教員、ポスドク、大学院生が合宿形式で研究討論を行う。 年度末に研究成果報告会を開催して内部評価を行う。期間中に英語での研 究成果報告会を開催し、国際外部評価委員会による外部評価を受ける。

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