診療科長あいさつ

乳がんと向きあうあなたとともに

乳がんは女性のがんの中で最も多い疾患であり、今でも患者数は増加を続けています。一方で多くの医学的根拠(エビデンス)が豊富にある領域でもあり、個々の患者さんの病態に応じた個別化医療がとても進んでいる分野であります。

また病気の性質や進行度、患者さんの身体的、社会的背景や人生の価値観によってどういう治療が適しているかは多様で複雑です。我々の使命は単に病気を治す、あるいは寿命を延ばすことだけではなく、乳がん診療を通じて、患者さんの不安を少しでも解消できるように最良の医療を提供することと考えています。その為に多職種によるチーム医療で診療に取り組んでいます。

また自施設での診療のみにとどまらず、当院で研鑽を積んだ専門医が各地域での活躍を通じ、より多くの患者さんに最良の医療を提供できるようにしています。そして基礎研究や臨床試験による新たな診断技術、治療法の開発によって、世界中の患者さんにより多くの選択肢と希望を与えられるよう努力し続けています。

以下に具体的な我々の取り組みについて記載しておきます。

診療

大学病院という性質上、各診療科が協力して高度な専門知識と技術を提供することができます。また重篤な合併症を持つ患者さんへの治療も可能です。手術に際しては整容性と根治性を目指した治療を行っており、自己組織あるいは人工物による乳房再建も行っています。ホルモン療法や抗がん剤治療に際しては妊孕性(にんようせい、つまり妊娠する力)温存に対して連携施設と協力して取り組んでいます。遺伝的素因が原因で乳がんや卵巣がんを発症しやすい体質の方(遺伝性乳がん卵巣がん症候群)においては、遺伝カウンセリング、遺伝学的検査、リスク低減手術(予防的な乳房切除、予防的な卵巣卵管摘出術)を当院で実施することが可能です(保険適応には条件があります)。

研究

トリプルネガティブ乳がんはホルモン感受性とHER2発現が低い乳癌で、最も予後の悪いタイプの乳がんです。当教室ではトリプルネガティブ乳がんに対する基礎研究、医師主導型臨床試験を通じて、この疾患に対する先進的な研究を続けています。また神戸大学理学部とのマイクロ波マンモグラフィの共同研究開発や、涙液中のエクソソームの研究など様々な方法で乳がんの早期発見に取り組んでいます。

教育

臨床医としての豊富な知識と経験を経て、多くの専門医を輩出しています。また医師も子育てや家庭環境などライフステージに応じて多様な働き方ができるようなシステムを構築しています。大学院では基礎研究、臨床研究を通じて、科学的な思考法を身につけ、幅広い視野と専門知識を得ることができます。

診療科長 國久 智成

お知らせ

2023.09.26 業績に2022年論文を追加しました。
2023.09.11 水本 紗千子先生(社会人大学院生)の論文がanticancer researchにアクセプトされました。
2022.07.04 診療科長あいさつを更新いたしました。

日本乳がん学会

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