神戸大学大学院医学研究科腎泌尿器科学分野

Division of Urology, Department of Surgery Related, Kobe University Graduate School of Medicine

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専門外来のご案内

泌尿器科悪性腫瘍外来

泌尿器科では高齢の患者さんが多く、そのため悪性腫瘍(癌)の患者さんの割合が高いのが特徴です。腫瘍外来では泌尿器科各悪性腫瘍を臓器別に担当の医師を決め診療に当たっています。悪性腫瘍の診療においては癌そのものに対する治療および再発の予防と発見が主体となりますが、各臓器によってその考え方が大幅に異なるため臓器別に担当の医師を決めております。

前立腺癌

昨今では前立腺特異抗原(PSA)の普及に伴い早期の前立腺癌の発見率が急激に上昇しております。かつては前立腺癌の場合には発見された段階で遠隔転移を認める割合が半数を占めており、内分泌療法が主体となっていましたが、再燃(治療がだんだんと効かなくなること)の問題がありました。 早期の前立腺癌では手術療法あるいは放射線療法などで治癒が期待できますので、積極的に取り組んでいます。

さらに先進医療として手術療法では従来の開腹手術に代わってお腹を切らないで腹腔鏡下に摘出する方法を年間20-30例のペースで行っています。また兵庫県立粒子線治療センターとも提携しより安全で効果の高い粒子線治療を推進しています。

内分泌療法後の再燃前立腺癌に対して内分泌化学療法、遺伝子治療を行っています(遺伝治療外来を参照して下さい)。

〔担当:古川順也〕

腎細胞癌

CTやエコー等の普及により偶然に発見される腎細胞癌の割合が増えています。腎細胞癌では有効な抗がん剤がないため手術療法が治療の主体となっています。

近年ではより侵襲性の低い腹腔鏡下での手術の有用性が注目を浴びており、平成28年の4月からはロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術も保険適応となっています。今まで高度先進医療扱いであったため 患者さんにある程度の負担をお願いしていた治療法も保険が使える時代になっています。

また腎細胞癌の特殊な進展様式として静脈内に塞栓を形成するようなタイプの腎細胞癌もあり、血管外科との協力のもと人工心肺等を利用した大がかりな手術も行っています。

〔担当:桃園宏之〕

精巣腫瘍

精巣腫瘍は若年者に発生する稀ですが重篤な疾患で青壮年の間では上位の死亡率を占めています。

シスプラチンと言われる優れた抗がん剤の開発に伴い、転移を有する進行性精巣腫瘍でも約70%の症例では完治が望めます。しかしながら残りの30%の症例では難治性となることも多く、更なる治療成績の向上が望まれます。

当大学では末梢血幹細胞移植併用超大量化学療法も含めた集学的な治療により進行性精巣腫瘍患者さんにおいて良好な治療成績を治めています。

〔担当:岡村泰義〕

膀胱腫瘍

膀胱腫瘍の多くは経尿道的手術だけで済む表在性の膀胱腫瘍ですが、中には膀胱を全部摘出しなければならないような浸潤性の膀胱腫瘍もあります。

かつては膀胱を摘出した後は体に採尿袋を装着する必要がありましたが(ストーマといいます)、最近では採尿袋を装着せずに小腸や結腸を用いて代用膀胱を作成することにより、自排尿を可能とする手術が開発され(新膀胱造設といいます)、手術件数も増加してきています。当科では20年以上前からこの手術に積極的に取り組んでおり、長期的にも良好な成績を得ています。

〔担当:板東由加里〕