Greeting あいさつ

 近年、医療における様々な領域において、内視鏡を利用した外科医療の進歩は目覚ましく、内視鏡カメラ、腹腔鏡下手術、胸腔鏡下手術、ロボット支援下手術など、一般臨床の世界にもどんどんと導入されてきております。これらの、内視鏡や腹腔鏡やロボットをはじめとする鏡視下手術では、傷が小さく、整容性に優れ、手術侵襲が少ない点から術後回復が早く、社会復帰が早まるという大きな利点と、拡大視野により、より精密で繊細な手術操作が可能な点から、術中出血量が少なく、より精密な手術が可能となってまいりました。しかし、一方で、これら内視鏡手術の手技には、一定の修練を積む必要があり、そのための教育システムの充実が必要とされております。本センターは、兵庫県内の医師に対して、このような進歩する先端的医療機器を使いこなすためのシミュレーショントレーニングやアニマルラボによる手術トレーニングを行う施設として2014年4月に開設されました。開設後、食道胃腸外科、肝胆膵外科、呼吸器外科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、産科婦人科、救命救急科、小児外科など神戸大学の様々な領域の科において、若手医師の手術手技トレーニングのためのプログラムが実施されてまいりました。その成果は、兵庫県内の多くの医療施設で内視鏡手術手技を持った医師の派遣という形で、兵庫県地域医療に貢献することができてきたと思っております。今後も、様々な医療機器開発が行われ、一般臨床にも応用されてくると考えます。本センターが兵庫県内の医師の修練の場として、また新規医療技術習得の場として、多くの先生方に利用していただけるように広く広報してまいりたいと思います。そして、随時発展していく高度な先進医療機器を用いた外科系医師の生涯教育や次世代の手術機器や手術方法などの開発にも積極的に取り組み、これからの先端外科手術の発展に寄与し得る教育プログラムを実践し、真に安全かつ高度な医療を兵庫県地域の患者様に届けることができる人材を育成してまいりたいと思います。

2021年10月1日

先端外科医療・内視鏡トレーニングセンター長
神戸大学大学院医学研究科産科婦人科分野 特命教授